笑う約束
name change
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五条side
あれから3日彼女を探し続けてるけど
全くと言っていいほど目撃情報がない
「みんな悪いけど今日も自習ね~」
それだけ言い残して教室を出ようとしたら
「五条先生名前さんまだ帰ってこないんですか?」
「先生、絶対なんかやらかしたろ?」
「俺らも探すの手伝おっか?」
帰って来ない?そりゃそうだろうよ
名前が僕と別れさせたんだから
名前はそれが最善だと思ってんだから
「うん。手伝ってもらおうかな。見つけたら彼女に声はかけないで僕に居場所を教えてくれる?」
みんなが声を掛けたら
ますます名前は委縮するだろうし逃げるだろう
「まず最初に僕に謝らせてほしいんだ」
みんなにそうお願いすると「任せろ」と
心強い言葉をもらった
たった3日なのかもしれないけど
僕には長すぎる
家に帰って
キッチンにも寝室にも君の気配は残ってるのに
名前がいなくて
名前が戻って来てないのを確認だけすると家を出た
苦しくて名前の残り香がするここにいられない
学校の廊下にも
校庭やよく一緒にお昼を食べた中庭にも
事務室や医務室にも
どこを見ても名前がいない
君が僕の名前を呼ぶ声が聞こえた気がして
何度、振り返っただろう
その度君がいなくて
何度、落胆しただろう
外に出てしばらく歩いて校門に差し掛かる時
雨が降っていることにその時気が付いた
前にずぶ濡れになった名前を
迎えに行った時を思い出す
どこかで雨に打たれてない?
寒くて震えてない?
もしかすると本当に
僕の事は必要じゃないかもしれないけど
僕には必要なんだ...
「何してるんですか?」
振り向くと七海がいた
「いなくなった名前さんを探していると聞きました。貴方はまだ、彼女を追い詰める 気なんですか?」
「七海、それ、どういう意味?」
こいつなに?
なんか知ってんの?
「まだ分かっていないようですが、彼女は貴方のためを思って離れたんです。それを追いかけて何になるというんです?」
「…僕が五条家 のごたごたに巻き込んだ」
「知っています。彼女は誰も貴方に傷つけて欲しくなかったから身を引いたんです。ただ追いかけて傍に置いても問題は解決していない」
ーーー
ーーーーー
ーーー
あれから何日過ぎたんだろう
今が朝なのか夜なのかさえ分からない
七海もそろそろバレそうだと言っていたし
潜伏先を変えなきゃいけない
誰も知らない場所へと
ふらふらと何かに呼ばれた気がして
ここに来て初めて外に出た
五条家から渡されたマンションの一室
ここがどこなのかすら
よくわからない
外に出るとしとしとと雨が降り注いでいて
雨に濡れるのも構わず
ただ導かれるままふらふらと歩いていく
雨が心地よい
全部
何もかも全部洗い流してしまいたかったから
しばらくどこに行くわけでもなく
ただ歩き続けていると
ふと目に止まったのは道路に佇んだ小さな男の子
こんな所で何をしてるのか
普段なら気にも止めないのに
何故か声をかけようとして近づいて
喉の奥ががヒュウっと音を立てて閉まった
男の子の足元に何かが巻きついている
私はそれがなにかを知ってる
男の子がこちらを見上げて
絞るように震えた声を出した
「お願い…これ、取って…歩けないの…」
私には祓えない
そんな力は持ってない
でも見捨てるわけにもいかない
近寄って彼の一歩手前で膝を折る
「僕、名前は?」
「さとる…すずき さとる。急にね、動けなくなっちゃったの」
全く”さとる”とは神様のいたずらなのか
さとるくんに微笑みかけながら言った
「私は力がないから取れるかわかんないの。でもやってみるから動けたら走って逃げてくれる?」
念のため帳を降ろす
私が出来なくてもきっと
窓の人あたりが気付いて誰か送ってくれるはず
七海あたりが近くに来てるかもしれない
そう願いを込めて
”彼”を助けてと
”闇より出て闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え”
帳を下ろしてから
さとるくんの足に絡む蔦のような何かを
鷲掴みにしてスペースを開けた
「足抜ける?!」
「うん!抜けた!」
「後は振り向かずに走って!悟!」
小さい”さとる”が帳の向こうへ消える瞬間
目の前にはクラクションを鳴らす車
彼の代わりに絡めとられた私は動けない
最後に言葉にしたのが”悟”だなんて
だって
大好きだったんだもん
頭を撫でる大きな手が
全てを包み込む腕や広い胸が
意地悪だけど優しい口調が
さらさらな
うらやましいほどのきれいな髪が
そして
まっすぐに私をとらえて離さない蒼い瞳が
悟の顔が脳裏に浮かんだ
もう、なんで泣きそうな顔してんの?
どうせなら笑ってる顔見たかったのに
強い衝撃と同時に帳が上がった
惜しい、あとちょい早く来てよ
文句の一つでも言おうと
最後の力を振り絞って瞳を開けると
蒼い瞳がまっすぐにこちらを見下ろしていた
.
あれから3日彼女を探し続けてるけど
全くと言っていいほど目撃情報がない
「みんな悪いけど今日も自習ね~」
それだけ言い残して教室を出ようとしたら
「五条先生名前さんまだ帰ってこないんですか?」
「先生、絶対なんかやらかしたろ?」
「俺らも探すの手伝おっか?」
帰って来ない?そりゃそうだろうよ
名前が僕と別れさせたんだから
名前はそれが最善だと思ってんだから
「うん。手伝ってもらおうかな。見つけたら彼女に声はかけないで僕に居場所を教えてくれる?」
みんなが声を掛けたら
ますます名前は委縮するだろうし逃げるだろう
「まず最初に僕に謝らせてほしいんだ」
みんなにそうお願いすると「任せろ」と
心強い言葉をもらった
たった3日なのかもしれないけど
僕には長すぎる
家に帰って
キッチンにも寝室にも君の気配は残ってるのに
名前がいなくて
名前が戻って来てないのを確認だけすると家を出た
苦しくて名前の残り香がするここにいられない
学校の廊下にも
校庭やよく一緒にお昼を食べた中庭にも
事務室や医務室にも
どこを見ても名前がいない
君が僕の名前を呼ぶ声が聞こえた気がして
何度、振り返っただろう
その度君がいなくて
何度、落胆しただろう
外に出てしばらく歩いて校門に差し掛かる時
雨が降っていることにその時気が付いた
前にずぶ濡れになった名前を
迎えに行った時を思い出す
どこかで雨に打たれてない?
寒くて震えてない?
もしかすると本当に
僕の事は必要じゃないかもしれないけど
僕には必要なんだ...
「何してるんですか?」
振り向くと七海がいた
「いなくなった名前さんを探していると聞きました。貴方はまだ、彼女を
「七海、それ、どういう意味?」
こいつなに?
なんか知ってんの?
「まだ分かっていないようですが、彼女は貴方のためを思って離れたんです。それを追いかけて何になるというんです?」
「…僕が
「知っています。彼女は誰も貴方に傷つけて欲しくなかったから身を引いたんです。ただ追いかけて傍に置いても問題は解決していない」
ーーー
ーーーーー
ーーー
あれから何日過ぎたんだろう
今が朝なのか夜なのかさえ分からない
七海もそろそろバレそうだと言っていたし
潜伏先を変えなきゃいけない
誰も知らない場所へと
ふらふらと何かに呼ばれた気がして
ここに来て初めて外に出た
五条家から渡されたマンションの一室
ここがどこなのかすら
よくわからない
外に出るとしとしとと雨が降り注いでいて
雨に濡れるのも構わず
ただ導かれるままふらふらと歩いていく
雨が心地よい
全部
何もかも全部洗い流してしまいたかったから
しばらくどこに行くわけでもなく
ただ歩き続けていると
ふと目に止まったのは道路に佇んだ小さな男の子
こんな所で何をしてるのか
普段なら気にも止めないのに
何故か声をかけようとして近づいて
喉の奥ががヒュウっと音を立てて閉まった
男の子の足元に何かが巻きついている
私はそれがなにかを知ってる
男の子がこちらを見上げて
絞るように震えた声を出した
「お願い…これ、取って…歩けないの…」
私には祓えない
そんな力は持ってない
でも見捨てるわけにもいかない
近寄って彼の一歩手前で膝を折る
「僕、名前は?」
「さとる…すずき さとる。急にね、動けなくなっちゃったの」
全く”さとる”とは神様のいたずらなのか
さとるくんに微笑みかけながら言った
「私は力がないから取れるかわかんないの。でもやってみるから動けたら走って逃げてくれる?」
念のため帳を降ろす
私が出来なくてもきっと
窓の人あたりが気付いて誰か送ってくれるはず
七海あたりが近くに来てるかもしれない
そう願いを込めて
”彼”を助けてと
”闇より出て闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え”
帳を下ろしてから
さとるくんの足に絡む蔦のような何かを
鷲掴みにしてスペースを開けた
「足抜ける?!」
「うん!抜けた!」
「後は振り向かずに走って!悟!」
小さい”さとる”が帳の向こうへ消える瞬間
目の前にはクラクションを鳴らす車
彼の代わりに絡めとられた私は動けない
最後に言葉にしたのが”悟”だなんて
だって
大好きだったんだもん
頭を撫でる大きな手が
全てを包み込む腕や広い胸が
意地悪だけど優しい口調が
さらさらな
うらやましいほどのきれいな髪が
そして
まっすぐに私をとらえて離さない蒼い瞳が
悟の顔が脳裏に浮かんだ
もう、なんで泣きそうな顔してんの?
どうせなら笑ってる顔見たかったのに
強い衝撃と同時に帳が上がった
惜しい、あとちょい早く来てよ
文句の一つでも言おうと
最後の力を振り絞って瞳を開けると
蒼い瞳がまっすぐにこちらを見下ろしていた
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