文維くんのこいびと

(煜瑾…)

 文維は困った顔をしたものの、カワイイ煜瑾をどうしたらよいか分からないまま、そっとベッドに寝かしつけた。

 その寝顔を見詰めながら、文維はふと妙な感覚に襲われた。

(もし、私と煜瑾の間に子供が出来たとしたら…、こんな感じなのか?)

 3歳の幼子の寝顔に、文維が愛する煜瑾の面差しがハッキリと見て取れる。

(こんなに小さくても、やっぱり…美しい子だ…)

 文維は、まさに天使に見える小さな煜瑾を見守り、顔に掛かる髪を、そっとかき上げた。
 くすぐったそうに天使が笑う。その清純さ、崇高さに、文維はいつまでも心を奪われて見つめていたのだが、やがて我に返った。

(一体、何が起きているんだ?人間の肉体が、一夜にしてここまで変化するなんて、科学的にありえないだろう?)

 すやすやと眠る煜瑾をベッドに置いて、文維は起き上がり、気付いた。
 昨夜も、大人の体の煜瑾とたっぷりと甘く愛し合った。そのため文維は何も身に着けていない。それは煜瑾も同じだった。

(目覚めた煜瑾が、まだ子供のままだったら、何を着せれば?)

 沈着冷静で理知的な文維が、とてつもない混乱に陥ろうとしていた。

(夢?これは私が見ている悪い夢なのか?だとしたら、煜瑾が幼児化しているというのは、私の潜在意識からくる…)

 いろいろ考えていた文維だったが、考えれば考えるほど頭が冴えて来て、決して夢の中では無いことを痛感する。

 頭を抱えながら、文維はまずはシャワーを浴びて落ち着こうと考えた。

 もう一度、煜瑾がぐっすり眠っているのを確かめて、文維はバスルームに消えた。



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