白雪姫
文維お兄さまは美味しそうにキレイな歯でイチゴを噛み、ゴクリと飲み込みました。
煜瑾ちゃんは、文維お兄さまの口元、歯並び、喉の動きにまで目を奪われていました。なんだかとても恥ずかしくなって、ドキドキします。
「さあ、召し上がれ」
目の前に差し出されたとても美味しそうなイチゴに、煜瑾ちゃんも手を伸ばそうとしますが、どうしても茅執事の言いつけが気になって、迷っています。
「大丈夫。怖くないから…」
そう言いながら、文維お兄さまは、煜瑾ちゃんの白く艶やかな頬に、その綺麗な指先を伸ばしてきました。
「おいで…」
まるで魔法に掛かったかのように、煜瑾ちゃんは文維お兄さまの視線に捕らわれたまま動けなくなってしまいました。頬に触れた、大きな温かい文維お兄さまの掌にウットリとしながら、煜瑾ちゃんは目を閉じて、サクランボのようにツヤツヤした唇を薄っすらと開きました。
「ん…」
煜瑾ちゃんの可愛らしい唇に、柔らかいイチゴが触れました。
「…あ…ん」
思わず煜瑾ちゃんはイチゴをパクリと食べました。
「!」
次の瞬間、煜瑾ちゃんはそのイチゴの美味しさにビックリして、パッチリと目を開きました。
その表情から、すでに文維お兄さまは煜瑾ちゃんがどれほど満足しているのか理解しました。なので、嬉しそうに微笑みかけました。
「どうです?」
「とっても、美味しいでしゅ!あのね、煜瑾ね、今まで食べたイチゴの中で一番美味しい…」
言いかけた時でした、煜瑾ちゃんが急にその気品のある美しい顔を歪めたのです。
「う…、うん…。い、痛い…で…しゅ…」
そう言って煜瑾ちゃんは、そのまま床に倒れてしまいました。印象的な大きな黒い瞳を涙でいっぱいにして苦痛に耐えている煜瑾ちゃんを、文維お兄さまは心配そうに見つめていました。
「痛い…痛いでしゅ~」
泣き出した煜瑾ちゃんでしたが、その小さな体に変化が起きました。
「や…、いや…。痛い…」
それは、小さな煜瑾ちゃんを襲った急激な成長痛でした。みるみるうちに煜瑾ちゃんの体は大きくなっていきます。
その途中で文維お兄さまは気付いて、急いで煜瑾ちゃんのいるお部屋に飛び込み、ベッドからオレンジ色の大きな毛布を手にして煜瑾ちゃんの全身を包み込みました。
煜瑾ちゃんの体はどんどん大きくなり、子供服は小さくなって裂けて破れてしまい、大人になった煜瑾は一糸纏わぬ姿になってしまったのです。
成長を終えた煜瑾は、文維お兄さまと並んでも遜色が無いほど大きく、美しい青年になっていました。
丸みを帯びた愛らしい子供の体から、伸びやかで艶麗な大人の体に成長した煜瑾は、オレンジ色の毛布に包まれながら震えていました。
「怖かったね。でも、もう大丈夫ですよ」
優しくそう言って文維は煜瑾を抱き締めました。その腕の中が暖かくて、とても安心できる場所で、煜瑾はもうここから離れたくないと思いました。
「お願いがあります」
遠慮がちに煜瑾は、文維の誠実さに溢れた目を見詰めながら言いました。
「何ですか?」
自分の何もかもを受け容れようとするような文維の様子に、煜瑾は生まれて初めて感じる、熱く、深く、この上なく幸福な思いに満たされたのでした。
「ずっと、私の傍に居て欲しいです」
「もちろんです。私の『宝物』さん」
文維は、可憐に微笑む煜瑾を抱き締めると、穏やかにそっとその額に口付けしました。
「煜瑾、と呼んで下さい」
はにかみながら煜瑾は囁いた。
***
こうして可愛い煜瑾ちゃんは素敵な王子さまに成長し、同じく素敵な文維王子に迎えられ、いつまでも幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
煜瑾ちゃんは、文維お兄さまの口元、歯並び、喉の動きにまで目を奪われていました。なんだかとても恥ずかしくなって、ドキドキします。
「さあ、召し上がれ」
目の前に差し出されたとても美味しそうなイチゴに、煜瑾ちゃんも手を伸ばそうとしますが、どうしても茅執事の言いつけが気になって、迷っています。
「大丈夫。怖くないから…」
そう言いながら、文維お兄さまは、煜瑾ちゃんの白く艶やかな頬に、その綺麗な指先を伸ばしてきました。
「おいで…」
まるで魔法に掛かったかのように、煜瑾ちゃんは文維お兄さまの視線に捕らわれたまま動けなくなってしまいました。頬に触れた、大きな温かい文維お兄さまの掌にウットリとしながら、煜瑾ちゃんは目を閉じて、サクランボのようにツヤツヤした唇を薄っすらと開きました。
「ん…」
煜瑾ちゃんの可愛らしい唇に、柔らかいイチゴが触れました。
「…あ…ん」
思わず煜瑾ちゃんはイチゴをパクリと食べました。
「!」
次の瞬間、煜瑾ちゃんはそのイチゴの美味しさにビックリして、パッチリと目を開きました。
その表情から、すでに文維お兄さまは煜瑾ちゃんがどれほど満足しているのか理解しました。なので、嬉しそうに微笑みかけました。
「どうです?」
「とっても、美味しいでしゅ!あのね、煜瑾ね、今まで食べたイチゴの中で一番美味しい…」
言いかけた時でした、煜瑾ちゃんが急にその気品のある美しい顔を歪めたのです。
「う…、うん…。い、痛い…で…しゅ…」
そう言って煜瑾ちゃんは、そのまま床に倒れてしまいました。印象的な大きな黒い瞳を涙でいっぱいにして苦痛に耐えている煜瑾ちゃんを、文維お兄さまは心配そうに見つめていました。
「痛い…痛いでしゅ~」
泣き出した煜瑾ちゃんでしたが、その小さな体に変化が起きました。
「や…、いや…。痛い…」
それは、小さな煜瑾ちゃんを襲った急激な成長痛でした。みるみるうちに煜瑾ちゃんの体は大きくなっていきます。
その途中で文維お兄さまは気付いて、急いで煜瑾ちゃんのいるお部屋に飛び込み、ベッドからオレンジ色の大きな毛布を手にして煜瑾ちゃんの全身を包み込みました。
煜瑾ちゃんの体はどんどん大きくなり、子供服は小さくなって裂けて破れてしまい、大人になった煜瑾は一糸纏わぬ姿になってしまったのです。
成長を終えた煜瑾は、文維お兄さまと並んでも遜色が無いほど大きく、美しい青年になっていました。
丸みを帯びた愛らしい子供の体から、伸びやかで艶麗な大人の体に成長した煜瑾は、オレンジ色の毛布に包まれながら震えていました。
「怖かったね。でも、もう大丈夫ですよ」
優しくそう言って文維は煜瑾を抱き締めました。その腕の中が暖かくて、とても安心できる場所で、煜瑾はもうここから離れたくないと思いました。
「お願いがあります」
遠慮がちに煜瑾は、文維の誠実さに溢れた目を見詰めながら言いました。
「何ですか?」
自分の何もかもを受け容れようとするような文維の様子に、煜瑾は生まれて初めて感じる、熱く、深く、この上なく幸福な思いに満たされたのでした。
「ずっと、私の傍に居て欲しいです」
「もちろんです。私の『宝物』さん」
文維は、可憐に微笑む煜瑾を抱き締めると、穏やかにそっとその額に口付けしました。
「煜瑾、と呼んで下さい」
はにかみながら煜瑾は囁いた。
***
こうして可愛い煜瑾ちゃんは素敵な王子さまに成長し、同じく素敵な文維王子に迎えられ、いつまでも幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。