白雪姫
煜瑾ちゃんは、窓からお空を見上げながら、可愛らしくてキレイな声で、お歌を歌っていました。
「あ!黄色い鳥さん、煜瑾と遊びに来てくれたのでしゅか?」
まるで煜瑾ちゃんの歌声に誘われたように、黄色い小鳥が現れました。独りぼっちの煜瑾ちゃんは、お友達ができたようで、嬉しくなりました。
「いっしょに、お歌を歌いましょうね」
煜瑾ちゃんが声を掛けると、小鳥は高い声でチチチっと返事をするように鳴きました。
それを嬉しそうに見守りながら、煜瑾ちゃんは歌を続けました。
♪大きな栗の木の下で~
世界中でよく知られているイギリスの童謡を、煜瑾ちゃんは小鳥さんと一緒に、元気に歌い始めました。
♪な~か~良く、あしょびましょ~
小鳥さんとの合唱に、煜瑾ちゃんは楽しくてなりません。
「!」
森の中で、その声を聴いていた人がいました。
その人は、歌声に惹かれるようにして煜瑾ちゃんの住む森のおうちに近付いてきました。
♪大きな栗の木の下で~
♪あ~な~た~と、わ~た~し~
煜瑾ちゃんは楽しく歌っていましたが、ふと樹の陰に人の気配を感じました。
「そこに、誰かいるのでしゅか?」
すると、樹の後ろから現れたのは、背が高く、とてもハンサムな王子さまでした。
初めて見た王子さまが、あまりにステキなので、煜瑾ちゃんは恥ずかしくなって真っ赤になってしまいました。
「あ、あの…」
恥ずかしくてお部屋の奥に逃げようとした幼い煜瑾ちゃんに、王子さまは慌てて声を掛けました。
「行かないで!私は包文維 。怪しいものではありません」
「…文維?」
純真な煜瑾ちゃんは、王子さまのような文維お兄さまを振り返り、好ましそうにじっと見つめました。
「君は…、この森に隠された『宝物』ですか?」
「え?」
文維お兄さまは、この森の奥深くに、何よりも純粋で、高貴で、美しい「宝物」があると聞いてそれを見に来たのでした。
いつも、みんなの「宝物」と呼ばれている煜瑾ちゃんは、それが自分のことだとすぐに気付きましたが、そうだと言い出せなくて、黙り込み、ぷっくりとした愛らしい唇を噛んで俯いてしまいました。
それが可憐で愛らしく、文維お兄さまはすっかり魅了されたのでした。
「そうだ。いいものをあげましょう。君が好きなものだといいのですが…」
文維お兄さまは、そう言って手にした袋から、とても新鮮で赤く、美味しそうなイチゴを取り出しました。
「わあ~」
イチゴが大好きな煜瑾ちゃんは、清らかな大きな黒い瞳をキラキラさせて文維お兄さまの手の中の美味しそうな赤い実を見つめました。
けれども賢い煜瑾ちゃんは、すぐに厳しい茅執事の言葉を思い出しました。
(知らない人が声を掛けてきても、決して相手をしては行けません。何も受け取らず、何も与えず、くれぐれも慎重にお留守番して下さいね)
「さあ、お1つどうぞ」
差し出された、これまでに見た中で一番美味しそうなイチゴを、煜瑾ちゃんは欲しくて、欲しくてたまりませんが、「お利口さん」は知らない人から食べ物を受け取ってはいけないのです。
「大丈夫。毒など入っていませんよ」
文維お兄さまは、クスリと笑って手にしたイチゴをパクリと自分のお口に入れました。煜瑾ちゃんはそれをボンヤリと見ていましたが、次にハッとしました。
「あ!黄色い鳥さん、煜瑾と遊びに来てくれたのでしゅか?」
まるで煜瑾ちゃんの歌声に誘われたように、黄色い小鳥が現れました。独りぼっちの煜瑾ちゃんは、お友達ができたようで、嬉しくなりました。
「いっしょに、お歌を歌いましょうね」
煜瑾ちゃんが声を掛けると、小鳥は高い声でチチチっと返事をするように鳴きました。
それを嬉しそうに見守りながら、煜瑾ちゃんは歌を続けました。
♪大きな栗の木の下で~
世界中でよく知られているイギリスの童謡を、煜瑾ちゃんは小鳥さんと一緒に、元気に歌い始めました。
♪な~か~良く、あしょびましょ~
小鳥さんとの合唱に、煜瑾ちゃんは楽しくてなりません。
「!」
森の中で、その声を聴いていた人がいました。
その人は、歌声に惹かれるようにして煜瑾ちゃんの住む森のおうちに近付いてきました。
♪大きな栗の木の下で~
♪あ~な~た~と、わ~た~し~
煜瑾ちゃんは楽しく歌っていましたが、ふと樹の陰に人の気配を感じました。
「そこに、誰かいるのでしゅか?」
すると、樹の後ろから現れたのは、背が高く、とてもハンサムな王子さまでした。
初めて見た王子さまが、あまりにステキなので、煜瑾ちゃんは恥ずかしくなって真っ赤になってしまいました。
「あ、あの…」
恥ずかしくてお部屋の奥に逃げようとした幼い煜瑾ちゃんに、王子さまは慌てて声を掛けました。
「行かないで!私は
「…文維?」
純真な煜瑾ちゃんは、王子さまのような文維お兄さまを振り返り、好ましそうにじっと見つめました。
「君は…、この森に隠された『宝物』ですか?」
「え?」
文維お兄さまは、この森の奥深くに、何よりも純粋で、高貴で、美しい「宝物」があると聞いてそれを見に来たのでした。
いつも、みんなの「宝物」と呼ばれている煜瑾ちゃんは、それが自分のことだとすぐに気付きましたが、そうだと言い出せなくて、黙り込み、ぷっくりとした愛らしい唇を噛んで俯いてしまいました。
それが可憐で愛らしく、文維お兄さまはすっかり魅了されたのでした。
「そうだ。いいものをあげましょう。君が好きなものだといいのですが…」
文維お兄さまは、そう言って手にした袋から、とても新鮮で赤く、美味しそうなイチゴを取り出しました。
「わあ~」
イチゴが大好きな煜瑾ちゃんは、清らかな大きな黒い瞳をキラキラさせて文維お兄さまの手の中の美味しそうな赤い実を見つめました。
けれども賢い煜瑾ちゃんは、すぐに厳しい茅執事の言葉を思い出しました。
(知らない人が声を掛けてきても、決して相手をしては行けません。何も受け取らず、何も与えず、くれぐれも慎重にお留守番して下さいね)
「さあ、お1つどうぞ」
差し出された、これまでに見た中で一番美味しそうなイチゴを、煜瑾ちゃんは欲しくて、欲しくてたまりませんが、「お利口さん」は知らない人から食べ物を受け取ってはいけないのです。
「大丈夫。毒など入っていませんよ」
文維お兄さまは、クスリと笑って手にしたイチゴをパクリと自分のお口に入れました。煜瑾ちゃんはそれをボンヤリと見ていましたが、次にハッとしました。