ふたたび、文維くんのこいびと
煜瑾は、急いで文維を呼びに寝室にやって来た。
すでにベッドの上に文維の姿はなく、バスルームだと思った煜瑾がそちらへ行こうとしたのと同時に、バスルームのドアが開いた。
「あ、文維…」
バスルームから出てきた文維は、引き締まった筋肉質な体に、バスタオルを1枚腰に巻いただけの:顕(あら)わな姿だった。そのセクシーな肉体美に煜瑾は惹かれつつも、はにかんで目を背けてしまう。
「あ、あの…文維。お母さまたちが…」
「ねえ、煜瑾?」
文維の真面目な声に気付き、煜瑾はキョトンとした無垢な瞳で、艶めかしい姿の恋人を振り返った。
「なんですか、文維?」
「どうしてお母さまたちは、こんなに朝早くから来ているのですか?」
朝早いとは言っても、まもなく9時になろうかという時間で、いつもの休みの日の朝なら文維も起きている時間だ。決して早すぎるという時間ではないが、両親が揃ってやって来る時間だとも、文維には思えなかった。
「え?文維は、覚えていないのですか?」
「何を?」
聡明で記憶力も優れた文維とは思えない態度に、煜瑾は驚いて目を見張った。
「な、何をって。クリスマスは:包(ほう)家でお食事をいただいたので、春節前の年夜飯は、ぜひウチでって…」
呆れた様子の煜瑾に最後まで言わせず、文維は声を上げた。
「ちょっと待って下さい。それって…今は、:除夕(大晦日)の朝だということですか?」
「そうですよ?」
文維は慌てて周囲を見回す。
また除夕の朝に戻ったというのは、これはまだ夢の世界なのかと焦っていた。
「どうしたのですか、文維。先ほどから変です」
そう言いながら、煜瑾は一足先に寝室から続くウォークインクローゼットに入り、文維の着替えを用意し始める。
「今日はカジュアルな服装でいいですね。この黒のハイネックセーターは、首が長い文維に良く似合うのですが…。ん~、こちらのネイビーブルーの丸首セーターに、たしか…キレイな水色のシャツがこの辺に…」
衣装合わせに夢中な煜瑾に、文維は急いで駆け寄り、素肌のままの胸に抱き止めた。
「煜瑾!」
「ぶ、文維、なんですか、急に!」
戸惑う煜瑾をよそに、文維は愛する煜瑾を、その存在を確かめるように強く抱きしめた。
(これは夢ではない。煜瑾は…、本物の私の煜瑾がここにいる…)
文維は現実を確信したくて、有無を言わせず煜瑾の唇を奪った。
しばらくは、貪るような激しい口付けに困惑していた煜瑾だったが、愛する人からの熱情に陶酔するように目を閉じた。そして、自ら文維の首に腕を回し、離すまいというように引き寄せる。
文維の熱い素肌を感じ、煜瑾はドキドキしながらも、その美しさに感動していた。鍛え上げ、引き締まったしなやかな筋肉。それを覆う滑らかな肌。そして、生きていると確信できる、この温かさ…。何もかもが、「包文維」という人間を構成する一部なのだと思えば、愛しくてならない煜瑾だった。
「煜瑾?」
ようやく気が済んだ文維が離れると、煜瑾の大きな黒い瞳が潤んでいた。
「違います!」
泣かせてしまったのかと胸を痛めた様子の文維に、煜瑾は慌てて言い添えた。
「違うのです…イヤでは…ないのです。ただ…嬉しくて…」
瞳をキラキラとさせながら、煜瑾は艶麗に微笑んだ。
「大好きな文維がここに居て、私を愛してくれているって分かって、本当に夢を見ているかのように、私は幸せなのです」
そう言って煜瑾は、甘えるように文維の肩に額をつけた。
「ずっと、文維の隣で夢を見させてくださいね」
カワイイ煜瑾に、文維はもう一度強く愛しい人を抱き締めた。
「でもね~、その前に文維は下着を履いた方がいいよ」
「!」
いつの間にか寝室に来ていた小敏の言葉に、文維と煜瑾は共にハッとした。
腰にバスタオルを巻いただけだった文維は、煜瑾とのキスに夢中になった時にバスタオルを落としたことに気付いていなかった。
「や~ん!」
恥ずかしいのは文維の方なのだが、全裸の文維に抱かれてウットリしていた自分に羞恥して、煜瑾は顔を真っ赤にすると、小敏を突き飛ばすようにして寝室から飛び出して行った。
すでにベッドの上に文維の姿はなく、バスルームだと思った煜瑾がそちらへ行こうとしたのと同時に、バスルームのドアが開いた。
「あ、文維…」
バスルームから出てきた文維は、引き締まった筋肉質な体に、バスタオルを1枚腰に巻いただけの:顕(あら)わな姿だった。そのセクシーな肉体美に煜瑾は惹かれつつも、はにかんで目を背けてしまう。
「あ、あの…文維。お母さまたちが…」
「ねえ、煜瑾?」
文維の真面目な声に気付き、煜瑾はキョトンとした無垢な瞳で、艶めかしい姿の恋人を振り返った。
「なんですか、文維?」
「どうしてお母さまたちは、こんなに朝早くから来ているのですか?」
朝早いとは言っても、まもなく9時になろうかという時間で、いつもの休みの日の朝なら文維も起きている時間だ。決して早すぎるという時間ではないが、両親が揃ってやって来る時間だとも、文維には思えなかった。
「え?文維は、覚えていないのですか?」
「何を?」
聡明で記憶力も優れた文維とは思えない態度に、煜瑾は驚いて目を見張った。
「な、何をって。クリスマスは:包(ほう)家でお食事をいただいたので、春節前の年夜飯は、ぜひウチでって…」
呆れた様子の煜瑾に最後まで言わせず、文維は声を上げた。
「ちょっと待って下さい。それって…今は、:除夕(大晦日)の朝だということですか?」
「そうですよ?」
文維は慌てて周囲を見回す。
また除夕の朝に戻ったというのは、これはまだ夢の世界なのかと焦っていた。
「どうしたのですか、文維。先ほどから変です」
そう言いながら、煜瑾は一足先に寝室から続くウォークインクローゼットに入り、文維の着替えを用意し始める。
「今日はカジュアルな服装でいいですね。この黒のハイネックセーターは、首が長い文維に良く似合うのですが…。ん~、こちらのネイビーブルーの丸首セーターに、たしか…キレイな水色のシャツがこの辺に…」
衣装合わせに夢中な煜瑾に、文維は急いで駆け寄り、素肌のままの胸に抱き止めた。
「煜瑾!」
「ぶ、文維、なんですか、急に!」
戸惑う煜瑾をよそに、文維は愛する煜瑾を、その存在を確かめるように強く抱きしめた。
(これは夢ではない。煜瑾は…、本物の私の煜瑾がここにいる…)
文維は現実を確信したくて、有無を言わせず煜瑾の唇を奪った。
しばらくは、貪るような激しい口付けに困惑していた煜瑾だったが、愛する人からの熱情に陶酔するように目を閉じた。そして、自ら文維の首に腕を回し、離すまいというように引き寄せる。
文維の熱い素肌を感じ、煜瑾はドキドキしながらも、その美しさに感動していた。鍛え上げ、引き締まったしなやかな筋肉。それを覆う滑らかな肌。そして、生きていると確信できる、この温かさ…。何もかもが、「包文維」という人間を構成する一部なのだと思えば、愛しくてならない煜瑾だった。
「煜瑾?」
ようやく気が済んだ文維が離れると、煜瑾の大きな黒い瞳が潤んでいた。
「違います!」
泣かせてしまったのかと胸を痛めた様子の文維に、煜瑾は慌てて言い添えた。
「違うのです…イヤでは…ないのです。ただ…嬉しくて…」
瞳をキラキラとさせながら、煜瑾は艶麗に微笑んだ。
「大好きな文維がここに居て、私を愛してくれているって分かって、本当に夢を見ているかのように、私は幸せなのです」
そう言って煜瑾は、甘えるように文維の肩に額をつけた。
「ずっと、文維の隣で夢を見させてくださいね」
カワイイ煜瑾に、文維はもう一度強く愛しい人を抱き締めた。
「でもね~、その前に文維は下着を履いた方がいいよ」
「!」
いつの間にか寝室に来ていた小敏の言葉に、文維と煜瑾は共にハッとした。
腰にバスタオルを巻いただけだった文維は、煜瑾とのキスに夢中になった時にバスタオルを落としたことに気付いていなかった。
「や~ん!」
恥ずかしいのは文維の方なのだが、全裸の文維に抱かれてウットリしていた自分に羞恥して、煜瑾は顔を真っ赤にすると、小敏を突き飛ばすようにして寝室から飛び出して行った。