文維くんといっしょ ~秋の京都観光スペシャル~
「はい、はい…」
すっかり呆れている小敏は、付き合っていられないとばかりに、目の前にあったお菓子に手を付ける。
それは文維の母である恭安楽(きょう・あんらく)手作りのクッキーだ。
包夫人は、お気に入りの煜瑾のために、定期的に自家製の焼き菓子を送って来る。まるでお菓子のサブスクだった。
実はその恩恵を一番受けているのは、ここへ遊びに来ることが多い、文維の従弟の小敏だった。
「そんなに離れたくないなら、煜瑾も行けばいいじゃん」
「え?」
投げやりに言った小敏の言葉に、煜瑾がハッと顔を上げて親友の顔を見る。
「今、何と言いましたか、小敏?」
煜瑾の目はすでに涙が消え、キラキラと輝いている。
「だ~か~ら~、煜瑾も文維と一緒に日本に行けばいいでしょ?ボクも京都に留学していたし、文維が仕事の間は、煜瑾に付き合うよ」
小敏は上海で煜瑾と同じ大学を卒業後、京都の私立大学に4年間留学していた。中国での成績も優秀だった小敏だが、優等生が選ばれる国費留学生ではなく、全額父親からの私費での留学だった。
そのせいだけだというわけではないが、大学も専門課程も自由に選べた。
好きな文学を専攻し、そこで日本の絵本と出会い、その美しさや多様性に魅了された。そこから日本児童文学を専門として卒業し、今では上海で日本の絵本を中心とした翻訳家として、そこそこ知られるようになってきた。
「行きたい!ぜひ、行きたいです!」
文維と離れずに済むだけでなく、京都に暮らしていた小敏が一緒だとなって、煜瑾の期待は高まり、目を輝かせた。
「文維は決まったホテルに泊まらなきゃなんないでしょ?同じ飛行機とホテルを個人で予約すればいいし、別行動中は、煜瑾王子はボクにお任せ下さい」
茶目っ気たっぷりに小敏がそう言って、2人にウィンクを送った。
すっかり呆れている小敏は、付き合っていられないとばかりに、目の前にあったお菓子に手を付ける。
それは文維の母である恭安楽(きょう・あんらく)手作りのクッキーだ。
包夫人は、お気に入りの煜瑾のために、定期的に自家製の焼き菓子を送って来る。まるでお菓子のサブスクだった。
実はその恩恵を一番受けているのは、ここへ遊びに来ることが多い、文維の従弟の小敏だった。
「そんなに離れたくないなら、煜瑾も行けばいいじゃん」
「え?」
投げやりに言った小敏の言葉に、煜瑾がハッと顔を上げて親友の顔を見る。
「今、何と言いましたか、小敏?」
煜瑾の目はすでに涙が消え、キラキラと輝いている。
「だ~か~ら~、煜瑾も文維と一緒に日本に行けばいいでしょ?ボクも京都に留学していたし、文維が仕事の間は、煜瑾に付き合うよ」
小敏は上海で煜瑾と同じ大学を卒業後、京都の私立大学に4年間留学していた。中国での成績も優秀だった小敏だが、優等生が選ばれる国費留学生ではなく、全額父親からの私費での留学だった。
そのせいだけだというわけではないが、大学も専門課程も自由に選べた。
好きな文学を専攻し、そこで日本の絵本と出会い、その美しさや多様性に魅了された。そこから日本児童文学を専門として卒業し、今では上海で日本の絵本を中心とした翻訳家として、そこそこ知られるようになってきた。
「行きたい!ぜひ、行きたいです!」
文維と離れずに済むだけでなく、京都に暮らしていた小敏が一緒だとなって、煜瑾の期待は高まり、目を輝かせた。
「文維は決まったホテルに泊まらなきゃなんないでしょ?同じ飛行機とホテルを個人で予約すればいいし、別行動中は、煜瑾王子はボクにお任せ下さい」
茶目っ気たっぷりに小敏がそう言って、2人にウィンクを送った。