甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~

 小敏は、急いでミモザの花についての情報をさらに集める。

「ん?」

 そして、小敏はあることに気付いた。

「玄紀のお母さんの誕生日って、3月8日?」
「そうですけど」
「ご両親とイタリアって言って、何か思い出す?」
「…ああ、両親の新婚旅行先がイタリアでした。父がイタリア料理に関心があって、母は…ほらブランド物が好きだから…」

 小敏の質問にすらすらと答える玄紀に、煜瑾だけはキョトンとしていた。
 そんな煜瑾と玄紀をよそに、小敏は納得したように大きく頷いた。

「なるほどね、そういうこと」

 ニヤリとした小敏に2人は詰め寄った。

「なんですか?」

 小敏はそんな2人に優しく微笑むと、おそらくはこれが正解だろうと思う答えを告げた。

「不倫の心配はないよ。3月8日はミモザの日って言って、この日は国際女性デー。イタリアではこの日に男性から女性へミモザの花を贈る習慣があるんだって」

 そんなロマンチックな話に、煜瑾の美貌が愛らしくほころんだ。

「で?」

 ロマンチシズムの何たるかを理解できない玄紀1人が腑に落ちない顔をしている。

「ミモザの花は、申家のおじ様にとって、おば様との愛の象徴なんだよ。花言葉の『秘密の愛』っていうのも、普段は言えないおば様への気持ちなのかもね」
「あ!そう言えばミモザってアカシアの花ですよね。大連市の花はアカシアではありませんでしたか?」

 また煜瑾がよく分からないことを言い出し、玄紀は眉を寄せる。

「それが、何か?」
「ふふふ。玄紀のご両親が出会ったのは大連じゃなかったですか?」
「なんでそんなことを、煜瑾が知っているのですか!」

 驚いた玄紀だが、その態度がもう煜瑾の言葉が正しいのだと語っているも同じだ。

「そうか~。申家のおじ様、ワーカーホリックの冷淡な人だと思ってたけど、実はおば様のこと、大好きなんだ…」
「そ、そうなの…ですか…」

 戸惑いながらも、冷ややかな夫婦関係だと思っていた両親の間に、実は秘めやかな愛情があると知って、嬉しく思った玄紀だった。



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