甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~

 小敏は、フルーツやカラフルなグミやゼリーで、クリスマス風にトッピングされたパンケーキと香ばしいトウモロコシ茶を注文した。
 玄紀は、最初に言った通り抹茶パフェを頼んだ。

「煜瑾は?」
「う~ん…」

 煜瑾は、アイスクリームとマシュマロでできた雪だるまが飾られたワッフルと、プチシュークリームを積んで作られたクリスマスツリーとで迷っていた。

「もう、両方頼んじゃえば?ボクが手伝ってあげるからさ~」

 可愛らしい煜瑾の悩みを、小敏が一言で解決した。

「私も、手伝いますよ」

 玄紀がそういうと、煜瑾も嬉しそうに笑った。
 煜瑾はそれに熱い柚子茶を注文した。

 しばらくは、他愛のない学生時代の思い出などをおしゃべりしていた。
 そこへクリスマスムードたっぷりのスイーツが次々と運ばれてきた。

「うわ~」「わ~」「は~」

 3人は見た目の可愛さに歓声を上げ、それぞれスマホで写真を撮ったり、SNSに上げたりした。

「いただきま~す」

 最初にデザート用のナイフとフォークを取ったのは、やはり小敏だった。
 パンケーキを切ると、ふんわりと甘いバニラの香りが広がり、緩やかに湯気も上がった。

「美味しそうですね~」

 にこやかに煜瑾が言うと、フッと気付いた玄紀が、自分の前にある抹茶パフェの上に乗っていたイチゴをスプーンに乗せて、当然のように煜瑾の前に差し出した。

「はい、どうぞ」
「ありがとう」

 煜瑾も、なんの屈託もなく口を開いて、そのイチゴを食べた。
 少し離れた席の女性グループから、悲鳴のような嬌声が聞こえた。

「なんか、あまりにも自然なんで、ビックリだよ」

 小敏が曖昧な表情でそう言うと、煜瑾と玄紀は不思議そうに顔を見合わせた。

「子供の頃から、煜瑾はイチゴが大好きだから、あげることにしているのですよ」

 当り前のように玄紀が言うと、煜瑾もその通り、というように頷き、そんな仲良し幼馴染に小敏は改めて破顔するしかなかった。




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