甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~

 文維との楽しい夕食後、煜瑾はウキウキしながら、義母である恭安楽きょう・あんらくに電話を掛けた。

「あら、煜瑾ちゃん!私からの荷物が届いたのね」
「お義母かあさま!本当に、ありがとうございます。今日の小さなザッハトルテはとっても美味しかったです」

 お気に入りの煜瑾からの電話に、恭安楽も嬉しそうに声が弾んでいる・

「良かったわ。煜瑾ちゃんのお口に合って。日持ちがしないお菓子から食べるように入れてあるので、必ず毎日1つずつ召し上がってね」
「本当に美味しくて…。お義母さまが心を込めて、私のために作って下さったのだということが分かりました。お手間がかかって、大変だったでしょう?」

 素直で優しい煜瑾の言葉に、恭安楽も電話の向こうで満足そうだ。

「そんなに煜瑾ちゃんに喜んでもらえて、私も嬉しいわ。ありがとう、煜瑾ちゃん」

 慌てて煜瑾は言葉を重ねる。

「いいえ、お礼を言うのは私です。本当に、本当に、嬉しいです。ありがとうございます、お義母さま。大好きです」

 無邪気にそんなことが言える煜瑾に、カワイイもの好きの恭安楽の乙女心がキュンとする。

「ねえ、煜瑾ちゃん?今年のクリスマスイブは、土曜日だけど、文維は午前中、クリニックに予約がはいっているんですってね?」

 先に文維から確認を取っていた義母は、残念そうにそう言った。

「そうなのです…。でも、午後からは一緒にお買い物に行ったり、イルミネーションを見に行ったり、一緒にお外でお夕食をいただくのです」

 少し残念そうだった声も、後半は明るくなって煜瑾は言った。

「だったら、ランチはどう?」
「え?」

 義母のお誘いの意味が分からずに、煜瑾は聞き返した。

「ランチを、お母さまと?」
「そうよ。ウチにランチにいらっしゃいな。パパも午前中は御用があって、それでもお昼には戻られるので、3人で…いいえ、小敏も呼んで4人でクリスマスイブのランチをいただきましょうよ」

 恭安楽の提案に、見る見るうちに煜瑾の顔が最上の笑顔になっていくのを、隣にいる文維は、満足そうに見つめていた。

「ぜひ伺いますね、お義母さま!とっても楽しみです」

 清らかな心しか知らない煜瑾の無垢な言葉に、恭安楽だけでなく、文維もまた心が温まる思いだった。



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