甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~
煜瑾と小敏は、タクシーで包家へ向かった。
各国の大使館も多く、私立学校もある文教地区の高級アパートに、包家はある。アパートと言っても、日本のそれとは違い、間取りは日本のマンション以上の広さだ。
「煜瑾ちゃん!小敏!メリークリスマス!」
煜瑾と小敏が玄関を入ると、さっそく包夫人が飛び出してきて、お気に入りの2人を交互にギュッと抱き締めた。
「叔母おばさま、メリークリスマス。ボクからのプレゼントはもう届いてる?」
「ええ、ポインセチアは昨日のうちに届いたわ。リビングに飾ってあるので見てちょうだい」
しばらく小敏と義母のやり取りを大人しく見ていた煜瑾だが、恭安楽が優しい笑顔で振り返ると、嬉しそうに笑顔を返した。
「煜瑾ちゃんも、今日はわざわざ来てくれてありがとう」
「いいえ。私こそご招待いただいて、ありがとうございます。それに、お義母かあさまには早くお会いして、アドベントカレンダーのお礼が言いたかったのです。ステキなカレンダーに、本当に素晴らしいお菓子をありがとうございました」
素直で純真な煜瑾が心から感謝を述べると、恭安楽も胸が熱くなった。
「煜瑾ちゃんにこんなに喜んでもらえて、私こそ本当に嬉しいの」
2人はもう一度仲良くギュッとハグをすると、そのまま手を繋いで奥のリビングへ向かった。
広々としたリビングには本革の大きなソファがあり、文維の父である包氏はそこでテレビを観ていた。
「お義父とうさま、ごきげんよう」
上品な煜瑾が挨拶をすると、文維と同じく長身瘦躯の理知的な紳士が立ち上がる。丸顔の温厚そうな包伯言は笑顔で煜瑾を迎えた。
「ようこそ、煜瑾。久しぶりに来てくれたね。なかなか会えなくて、私も安楽も寂しい思いをいていたよ」
そんな包氏を見て、煜瑾は思った。文維は母親似の美形だと評判だが、このスタイルの良さや、声の甘さなど、やはり父である包氏から受け継いでいる。
そんなことを考えながら煜瑾がペコリと頭を下げた。
「ゴメンなさい、お義父さま。私も、寂しかったです」
可愛い煜瑾がそう言うと、包氏は心配したように手を繋ぐ自分の妻と共に、ソファに座らせた。
「今、飲み物を用意しよう」
「叔父おじさま、飲物ならボクが」「お義父さま、私が」「私が支度をするわ」
包氏の申し出を、3人は慌てて引き受けようとして、お互いに顔を見合わせて笑った。
「じゃあ、みんなで用意をして文維が来るまで楽しく過ごそうよ」
小敏の一言で場は収まり、小敏と包夫人はキッチンへ飲物と、もちろん包夫人手作りのお菓子を取りに行った。
「煜瑾。君はまだ、これを見たことがないだろう」
文維の父がそう言って煜瑾を引き留めた。持ち出したのは、包家のアルバムだった。
包夫妻の結婚式の写真から始まり、妊婦姿の恭安楽、小さな赤ん坊を抱く包氏の写真が並んでいる。
「この赤ちゃんが文維なのですね」
煜瑾は感動して、その大きく澄んだ美しい黒瞳をキラキラさせた。
「これが、文維と…、生まれたばかりの小敏だ」
「わあ~。こんなに小さいのに、もうすっかり『文維』ですね」
「え~、何なに~?」
楽しそうな叔父と親友に、小敏が飲物を持って割り込んできた。その後には包夫人もお菓子を持って続き、寄り添うように夫の隣に座った。
いつまでも愛し合い、仲の良い包夫妻は煜瑾の理想の両親だった。その2人が目の前で睦まじい様子に嬉しくなる。
「さあ、煜瑾ちゃん。アドベントカレンダーに入れたのとは違って、今日は大きなお菓子を用意したから、お好きなだけ召し上がれ」
「ありがとうございます」
4人は、この上なく温かな家族として、美味しいものを食べながら楽しい団欒を続けた。
各国の大使館も多く、私立学校もある文教地区の高級アパートに、包家はある。アパートと言っても、日本のそれとは違い、間取りは日本のマンション以上の広さだ。
「煜瑾ちゃん!小敏!メリークリスマス!」
煜瑾と小敏が玄関を入ると、さっそく包夫人が飛び出してきて、お気に入りの2人を交互にギュッと抱き締めた。
「叔母おばさま、メリークリスマス。ボクからのプレゼントはもう届いてる?」
「ええ、ポインセチアは昨日のうちに届いたわ。リビングに飾ってあるので見てちょうだい」
しばらく小敏と義母のやり取りを大人しく見ていた煜瑾だが、恭安楽が優しい笑顔で振り返ると、嬉しそうに笑顔を返した。
「煜瑾ちゃんも、今日はわざわざ来てくれてありがとう」
「いいえ。私こそご招待いただいて、ありがとうございます。それに、お義母かあさまには早くお会いして、アドベントカレンダーのお礼が言いたかったのです。ステキなカレンダーに、本当に素晴らしいお菓子をありがとうございました」
素直で純真な煜瑾が心から感謝を述べると、恭安楽も胸が熱くなった。
「煜瑾ちゃんにこんなに喜んでもらえて、私こそ本当に嬉しいの」
2人はもう一度仲良くギュッとハグをすると、そのまま手を繋いで奥のリビングへ向かった。
広々としたリビングには本革の大きなソファがあり、文維の父である包氏はそこでテレビを観ていた。
「お義父とうさま、ごきげんよう」
上品な煜瑾が挨拶をすると、文維と同じく長身瘦躯の理知的な紳士が立ち上がる。丸顔の温厚そうな包伯言は笑顔で煜瑾を迎えた。
「ようこそ、煜瑾。久しぶりに来てくれたね。なかなか会えなくて、私も安楽も寂しい思いをいていたよ」
そんな包氏を見て、煜瑾は思った。文維は母親似の美形だと評判だが、このスタイルの良さや、声の甘さなど、やはり父である包氏から受け継いでいる。
そんなことを考えながら煜瑾がペコリと頭を下げた。
「ゴメンなさい、お義父さま。私も、寂しかったです」
可愛い煜瑾がそう言うと、包氏は心配したように手を繋ぐ自分の妻と共に、ソファに座らせた。
「今、飲み物を用意しよう」
「叔父おじさま、飲物ならボクが」「お義父さま、私が」「私が支度をするわ」
包氏の申し出を、3人は慌てて引き受けようとして、お互いに顔を見合わせて笑った。
「じゃあ、みんなで用意をして文維が来るまで楽しく過ごそうよ」
小敏の一言で場は収まり、小敏と包夫人はキッチンへ飲物と、もちろん包夫人手作りのお菓子を取りに行った。
「煜瑾。君はまだ、これを見たことがないだろう」
文維の父がそう言って煜瑾を引き留めた。持ち出したのは、包家のアルバムだった。
包夫妻の結婚式の写真から始まり、妊婦姿の恭安楽、小さな赤ん坊を抱く包氏の写真が並んでいる。
「この赤ちゃんが文維なのですね」
煜瑾は感動して、その大きく澄んだ美しい黒瞳をキラキラさせた。
「これが、文維と…、生まれたばかりの小敏だ」
「わあ~。こんなに小さいのに、もうすっかり『文維』ですね」
「え~、何なに~?」
楽しそうな叔父と親友に、小敏が飲物を持って割り込んできた。その後には包夫人もお菓子を持って続き、寄り添うように夫の隣に座った。
いつまでも愛し合い、仲の良い包夫妻は煜瑾の理想の両親だった。その2人が目の前で睦まじい様子に嬉しくなる。
「さあ、煜瑾ちゃん。アドベントカレンダーに入れたのとは違って、今日は大きなお菓子を用意したから、お好きなだけ召し上がれ」
「ありがとうございます」
4人は、この上なく温かな家族として、美味しいものを食べながら楽しい団欒を続けた。