甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~
クリスマスイブの朝、煜瑾と文維は、文維の出勤前に最後のアドベントカレンダーの引き出しを開けた。いつもは、文維がクリニックから帰った夜に開けていたのだが、今日はお昼にこのステキなアドベントカレンダーを贈ってくれた文維の母と会うので、最後の1つを味わってからお礼を言いたかった煜瑾だ。
「わあ~カワイイ~。食べるのがもったいないくらいですね~」
毎日のように同じ言葉を繰り返している煜瑾に文維は苦笑するが、今日の小さなスイーツは本当に食べるのが惜しいと文維でさえ思った。
それは、マジパンで作られた、天使だった。優雅に微笑む天使を見て、文維は言った。
「煜瑾に、似ていますね」
「え!」
恋人の言葉に、真剣にその小さな天使を観察するが、煜瑾には客観的な判断がつかない。
「私に…似ていますか?私は、こんなに可愛らしくないでしょう?」
恥ずかしそうな煜瑾に、文維は笑ってアドバイスをした。
「なら、写真を撮って、煜瓔お兄さまに送ってごらんなさい。きっと煜瑾にソックリだとおっしゃいますよ」
半信半疑の煜瑾だったが、兄の反応が気になって文維の言う通りにスマホで撮影すると兄宛に送信した。
そこへ玄関のベルが鳴った。
「おはよ~、煜瑾!文維も!」
「私はオマケですか」
笑いながらそう言って、文維はクリニックへ出掛ける支度を始めた。
「僻まない、僻まない。出勤前の文維に渡す物があってね」
「クリスマスプレゼントですか?」
煜瑾と顔を見合わせて、不思議に思いながら文維は小敏の差し出した封筒を受け取った。
「あ!これは…」
それは、ちょうど1年前に2人が互いの気持ちを打ち明け、誤解を解いたあのホテルの、今夜のスイートルーム宿泊券だった。
「あの時の気持ちを忘れないように、ってことさ。一番安いジュニアスイートルームだけど、2人なら充分だろう?」
小敏の心遣いに、文維も煜瑾も感激して何も言えなかった。
文維を見送った後、煜瑾と小敏は朝食の後片付けを一緒にして、煜瑾が包家のクリスマスのランチパーティーに行く支度をした。
「小敏にも、プレゼントを渡しますね」
さあ出掛けようとなった時に、玄関の手前で煜瑾が珍しく悪戯っ子っぽく言った。
「ボクに?」
煜瑾が差し出したのは、手の上に乗るくらいの小さな、細長い箱だった。
「開けてみてください」
煜瑾に促されて、小敏がクリスマスらしい緑に金の細い線が入ったラッピングペーパーを外し、箱の蓋を開けた。
「うわ~、キレイだな~」
それは見事な赤い漆塗りの万年筆だった。
「それは、文維と私からです。文維が、小敏も作家なのだからサイン会などで、ちょっとは見栄えのするペンを持っていたっていいだろうって。煜瓔お兄さまが、万年筆がお好きで、コレクションなさっているのでご相談しました。これは日本から取り寄せたものです」
小敏はその美しい朱塗りの万年筆を、ギュッと握りしめた。
金額も大きいが、それ以上に従兄や親友、その兄までもが自分のためを思って選んでくれたのだという大きな愛情が、小敏は何より嬉しかった。
こんな愛に満ちたクリスマスを向かえられるのも、文維と煜瑾が溢れるほどの愛で結ばれているからだと思った。
「ありがとう。とってもステキなクリスマスになるよ」
小敏はそう言って、煜瑾と温かいハグをした。
「わあ~カワイイ~。食べるのがもったいないくらいですね~」
毎日のように同じ言葉を繰り返している煜瑾に文維は苦笑するが、今日の小さなスイーツは本当に食べるのが惜しいと文維でさえ思った。
それは、マジパンで作られた、天使だった。優雅に微笑む天使を見て、文維は言った。
「煜瑾に、似ていますね」
「え!」
恋人の言葉に、真剣にその小さな天使を観察するが、煜瑾には客観的な判断がつかない。
「私に…似ていますか?私は、こんなに可愛らしくないでしょう?」
恥ずかしそうな煜瑾に、文維は笑ってアドバイスをした。
「なら、写真を撮って、煜瓔お兄さまに送ってごらんなさい。きっと煜瑾にソックリだとおっしゃいますよ」
半信半疑の煜瑾だったが、兄の反応が気になって文維の言う通りにスマホで撮影すると兄宛に送信した。
そこへ玄関のベルが鳴った。
「おはよ~、煜瑾!文維も!」
「私はオマケですか」
笑いながらそう言って、文維はクリニックへ出掛ける支度を始めた。
「僻まない、僻まない。出勤前の文維に渡す物があってね」
「クリスマスプレゼントですか?」
煜瑾と顔を見合わせて、不思議に思いながら文維は小敏の差し出した封筒を受け取った。
「あ!これは…」
それは、ちょうど1年前に2人が互いの気持ちを打ち明け、誤解を解いたあのホテルの、今夜のスイートルーム宿泊券だった。
「あの時の気持ちを忘れないように、ってことさ。一番安いジュニアスイートルームだけど、2人なら充分だろう?」
小敏の心遣いに、文維も煜瑾も感激して何も言えなかった。
文維を見送った後、煜瑾と小敏は朝食の後片付けを一緒にして、煜瑾が包家のクリスマスのランチパーティーに行く支度をした。
「小敏にも、プレゼントを渡しますね」
さあ出掛けようとなった時に、玄関の手前で煜瑾が珍しく悪戯っ子っぽく言った。
「ボクに?」
煜瑾が差し出したのは、手の上に乗るくらいの小さな、細長い箱だった。
「開けてみてください」
煜瑾に促されて、小敏がクリスマスらしい緑に金の細い線が入ったラッピングペーパーを外し、箱の蓋を開けた。
「うわ~、キレイだな~」
それは見事な赤い漆塗りの万年筆だった。
「それは、文維と私からです。文維が、小敏も作家なのだからサイン会などで、ちょっとは見栄えのするペンを持っていたっていいだろうって。煜瓔お兄さまが、万年筆がお好きで、コレクションなさっているのでご相談しました。これは日本から取り寄せたものです」
小敏はその美しい朱塗りの万年筆を、ギュッと握りしめた。
金額も大きいが、それ以上に従兄や親友、その兄までもが自分のためを思って選んでくれたのだという大きな愛情が、小敏は何より嬉しかった。
こんな愛に満ちたクリスマスを向かえられるのも、文維と煜瑾が溢れるほどの愛で結ばれているからだと思った。
「ありがとう。とってもステキなクリスマスになるよ」
小敏はそう言って、煜瑾と温かいハグをした。