あと２日でクリスマスイブと迫った日、煜瑾は予定していた年内の仕事を全て終え、あとはクリスマス以降にある、今年煜瑾が仕事で関わった日系企業の忘年会に、幾つか顔を出すくらいだった。

「仕事納めっていうんだよ、それって」
「どこに納めるのですか？」

　今日も小敏は、煜瑾と文維の自宅へ来て、煜瑾がお気に入りのソファを陣取り、煜瑾が用意する唐家の自家製デザートを食べている。

「ま、それはいいとして…」

　日本語がそれほどでもない煜瑾に、詳しく説明しても仕方ないと思ったのか、小敏は話をそこまでにした。煜瑾は煜瑾で、分からないことは後で、ネットででも調べればよいと分かっているのでそれ以上は追及しない。

「包家の叔父様と叔母さまのプレゼント、買った？」
「それが…まだなのです。こうして小敏に来てもらったのも、それを相談したかったのです」
「じゃあ、ちょうどよかった」

　小敏はそう言うと、煜瑾が差し出したミルクの入ったコーヒーを飲み、唐家のシュトーレンに手を伸ばした。

「お2人へのプレゼントに、いいアイデアがあるのですね！」

　煜瑾はやっと気になっていた「難題」が片付くのかと、勢い込んで親友に迫った。

「ん、今、叔父さまはタブレットの買い替えを考えてるらしいんだ。で、この年末年始の休みに検討して、新年に買うつもりみたいだよ」
「そうなのですね！さすがは小敏です！どうやってこんな情報を？」

　絶賛する煜瑾に、小敏はもう一度コーヒーに口を運び、照れ臭そうに言った。

「いや、単純に叔父さまに、タブレット購入の検討をするのに、店までついて来てほしいって頼まれただけだよ」

　種明かしは簡単だったが、それでも煜瑾は待ちに待った情報にホッとしていた。

「じゃあ、お義父さまへのプレゼントは、新型のタブレットにします」

　そんな煜瑾に、小敏はさらにニヤリとした。

「ついでに言うと、叔母さまもタブレットの購入を検討中だよ。なんでもハマってるゲームがあって、タブレットでやりたいんだって…」
「本当ですか！では、お義父さまと、お義母さまに、お揃いのタブレットとタブレットケースをプレゼントします！」

大きな課題を片付けることができた煜瑾は、やっと安心して小敏と唐家の美味しいシュトーレンを味わうことが出来た。