甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~

 ちょうど、クリスマスシーズンということもあり、ツリーにピッタリの鉢植えの常緑樹はすぐに見つかった。
 煜瑾が、クリスマスツリーとして飾った後は、植樹をするつもりだと告げると、店員はすぐに得心し、マツ科のコニファーを薦めてきた。

「ヒノキ科のコニファーもありますが、クリスマスツリーならこちらはどうですか?色も枝ぶりも、クリスマスの飾りが映えますよ」

 煜瑾は、ヒノキ科とマツ科のコニファーを見比べていたが、やはりマツ科の物の方が、自分がイメージするツリーに近い気がした。

「コニファーは針葉樹全般のことですが、花言葉があって、『永遠』とか『不滅』という意味なんです。後で植樹を考えているなら、そういう意味でもおススメですね」

 花言葉に弱い煜瑾は、ドキリとして文維を振り返った。
 何も言わなくとも何もかも分かっている文維は、温柔な表情で頷き、店員に言った。

「では、これを下さい」
「文維?」

 スマホで決済しようとする文維を、煜瑾は止めようとした。自分が欲しくて買うのだから、最初から自分で支払うつもりだったのだ。

「コレは、私から煜瑾へのクリスマスプレゼントですよ」

 そう言われて、煜瑾の誰をも魅了する黒くて大きな瞳が、喜びでキラキラと輝いた。その美しさに、文維も目を細める。

「さあ、次はオーナメントを買いに行きましょうか」

 近いからということで、自宅への配達も快く受け入れられ、身軽な煜瑾と文維はモール内をいろいろと見て回ることにした。

 あちこちの店で少しずつ煜瑾の気に入った物だけを購入し、綺麗な電飾も見つけて、煜瑾は自作のツリーに期待を膨らませた。

「夕食は、何を食べたいですか?」

 文維に聞かれて、煜瑾はクスリと笑った。

「文維はいつも私に決めさせるのですね」
「だって、煜瑾に喜んで欲しいからですよ」

 2人は顔を見合わせて笑いながら、結局は辛い物が苦手な煜瑾のために大人気の火鍋店は避け、まだオープンしたばかりらしい台湾のハーブ鍋を食べに行くことにした。



20/25ページ
スキ