甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~
夕方には自分と恋人が暮らす嘉里公寓の自宅に戻った煜瑾は、ホッと一息つくと、クローゼットに向かった。
「せっかくお買い物に行ったのだから、私も何か買えばよかった…」
今夜の文維とのデートに、煜瑾は何を着て行くかで迷っていた。
「文維の隣に居て、恥ずかしないようにしたいな…」
唐煜瑾ほどの美貌と気品を他の誰が持ち得ようというのか、という事実を、本人には全く自覚が無い。
自分のことを美しい、上品だと褒める人が後を絶たないことは知っている。けれどもそれは、言ってみれば唐家の資質に言及されているだけで、それらは、本当に絶世の美貌と卓越した品位を持つ兄・唐煜瓔のための言葉だと煜瑾は思い込んでいた。
時折、煜瑾に向けてその言葉が掛けられるのは、自分が少し兄の容貌に似ているだけのことで、それらの賛辞は自分への正当な評価では無いと思っていた。
なので、煜瑾は思い上がるということを知らず、いつも素直で、謙虚な態度で、ますます人に愛されてしまうのだ。
美しく、清純で、そこにいるだけで気高い、唐家の深窓の王子に並ぶことこそ、むしろ普通の人間なら気後れする。
しかし、これがまた包文維となれば、そんなプレッシャーすら感じさせない。
スラリと背が高く、8頭身どころか9頭身ほどのスタイルの良さを、長すぎるほど長い脚が支えている。顔立ちは端正で理知的、クールでセクシーだが、人の心を開くカウンセラーらしく、チャーミングな一面も持っている。
美しく、品位が高く、愛らしい唐煜瑾のような王子様の隣には、守護をする騎士のような凛々しい包文維こそふさわしいと、誰しもが納得するお似合いのカップルだ。
煜瑾はフカフカのカシミアモヘアの白いセーターを取り出した。それに文維の好きなブランドで買った濃いピンクのパンツを合わせた。日頃はこの色が派手な気がして避けていた煜瑾だが、クリスマスシーズンであればこれくらいは許容範囲かと自分に言い訳する。
それにグッと締まった深いフォレストグリーンのマフラーを用意した。
(なんとなく、クリスマスっぽいかな)
1人納得して、煜瑾は文維を待った。クリニックが終われば、連絡が来るはずだ。連絡が来たら、すぐにでも出られるようにして、煜瑾はワクワクしていた。
「?」
その時、玄関のドアが開いた。
「え?文維?今日はお出掛けの予定では…」
ちょっとガッカリしたような煜瑾に、優秀なカウンセラーらしいスーツ姿の文維がすぐに笑って答えた。
「せっかくの煜瑾とのデートなのに、こんなビジネススーツでは行きたくなかったのです」
文維の言葉に、煜瑾の表情がパッと晴れ、すぐにその頬を赤くした。
「せっかくお買い物に行ったのだから、私も何か買えばよかった…」
今夜の文維とのデートに、煜瑾は何を着て行くかで迷っていた。
「文維の隣に居て、恥ずかしないようにしたいな…」
唐煜瑾ほどの美貌と気品を他の誰が持ち得ようというのか、という事実を、本人には全く自覚が無い。
自分のことを美しい、上品だと褒める人が後を絶たないことは知っている。けれどもそれは、言ってみれば唐家の資質に言及されているだけで、それらは、本当に絶世の美貌と卓越した品位を持つ兄・唐煜瓔のための言葉だと煜瑾は思い込んでいた。
時折、煜瑾に向けてその言葉が掛けられるのは、自分が少し兄の容貌に似ているだけのことで、それらの賛辞は自分への正当な評価では無いと思っていた。
なので、煜瑾は思い上がるということを知らず、いつも素直で、謙虚な態度で、ますます人に愛されてしまうのだ。
美しく、清純で、そこにいるだけで気高い、唐家の深窓の王子に並ぶことこそ、むしろ普通の人間なら気後れする。
しかし、これがまた包文維となれば、そんなプレッシャーすら感じさせない。
スラリと背が高く、8頭身どころか9頭身ほどのスタイルの良さを、長すぎるほど長い脚が支えている。顔立ちは端正で理知的、クールでセクシーだが、人の心を開くカウンセラーらしく、チャーミングな一面も持っている。
美しく、品位が高く、愛らしい唐煜瑾のような王子様の隣には、守護をする騎士のような凛々しい包文維こそふさわしいと、誰しもが納得するお似合いのカップルだ。
煜瑾はフカフカのカシミアモヘアの白いセーターを取り出した。それに文維の好きなブランドで買った濃いピンクのパンツを合わせた。日頃はこの色が派手な気がして避けていた煜瑾だが、クリスマスシーズンであればこれくらいは許容範囲かと自分に言い訳する。
それにグッと締まった深いフォレストグリーンのマフラーを用意した。
(なんとなく、クリスマスっぽいかな)
1人納得して、煜瑾は文維を待った。クリニックが終われば、連絡が来るはずだ。連絡が来たら、すぐにでも出られるようにして、煜瑾はワクワクしていた。
「?」
その時、玄関のドアが開いた。
「え?文維?今日はお出掛けの予定では…」
ちょっとガッカリしたような煜瑾に、優秀なカウンセラーらしいスーツ姿の文維がすぐに笑って答えた。
「せっかくの煜瑾とのデートなのに、こんなビジネススーツでは行きたくなかったのです」
文維の言葉に、煜瑾の表情がパッと晴れ、すぐにその頬を赤くした。