甜蜜的聖誕節 ~スウィート・クリスマス~
12月1日の夜、煜瑾いくきんが自宅の玄関のドアを開けると、すでに部屋の中は明るかった。その明るさに大好きな人がすでに帰宅をして、自分を待っていてくれるのだという温もりを感じる。
「ただいま帰りました、文維ぶんい!」
いつものように、真っ直ぐにリビングに駆けこもうとした煜瑾だが、玄関からリビングに続く廊下の途中で足を止める。
「お帰り、煜瑾」
そこは中国にしては広いキッチンで、そこで文維が夕食の支度をしていたのだ。
気が付けば、煜瑾の好きな甘辛い匂いがする。
「いい匂いですね~。あ!私の大好きな紅焼肉ホンシャオローですね」
「当たりですよ。私も今帰ったばかりなので、もう少しかかりますから、煜瑾も荷物を置いて、スーツを着替えてくるといいですよ」
優しい文維の言葉に、久しぶりにビジネス用のダークカラーのスーツを着た煜瑾が微笑む。
確かに、色白の煜瑾は何を着ても似合うが、ダークスーツは少し堅苦しすぎて顔色が悪く見える。煜瑾には、もっと明るい色が似合うのだ。
一度キッチンを出て廊下に戻り、真っ直ぐにリビングへ向かった煜瑾だったが、リビングで見慣れないものを見つけた。
(?…文維の、ものかな?)
それは両手で抱えられる程度の箱で。高さは、それほどではない。どうやら宅配で運ばれてきたのか、送付状が貼ってある。
無邪気な煜瑾は、チラリとそれを見て、ハッと息を呑んだ。
「文維~、文維~」
すぐに大きな声で嬉々として文維を呼ぶと、しばらくして手を拭きながら文維がキッチンから現れた。もう煜瑾の興奮の理由を察しているらしく、ニコニコと笑っている。
「見つけてしまったのですね。着替えてから教えてあげようと思ったのに」
「だって、私宛の荷物ですよ!」
それは、文維の母から煜瑾宛の荷物だった。
文維の母、恭安楽きょう・あんらくは、いつまでも少女のようなところがあり、カワイイ物が大好きで、その最さいたるお気に入りが愛想の無い息子のパートナーである、カワイイ唐煜瑾なのだ。
だが、いつも義母がサブスクのように定期的に送って来る手作りのお菓子なども、あて先は文維と煜瑾の連名で書かれている。それなのに、今回は煜瑾1人の名前しかない。
嬉しそうな煜瑾の無垢で穢れを知らない美しい笑顔に、見慣れているはずの文維の目を奪われてしまった。
「ただいま帰りました、文維ぶんい!」
いつものように、真っ直ぐにリビングに駆けこもうとした煜瑾だが、玄関からリビングに続く廊下の途中で足を止める。
「お帰り、煜瑾」
そこは中国にしては広いキッチンで、そこで文維が夕食の支度をしていたのだ。
気が付けば、煜瑾の好きな甘辛い匂いがする。
「いい匂いですね~。あ!私の大好きな紅焼肉ホンシャオローですね」
「当たりですよ。私も今帰ったばかりなので、もう少しかかりますから、煜瑾も荷物を置いて、スーツを着替えてくるといいですよ」
優しい文維の言葉に、久しぶりにビジネス用のダークカラーのスーツを着た煜瑾が微笑む。
確かに、色白の煜瑾は何を着ても似合うが、ダークスーツは少し堅苦しすぎて顔色が悪く見える。煜瑾には、もっと明るい色が似合うのだ。
一度キッチンを出て廊下に戻り、真っ直ぐにリビングへ向かった煜瑾だったが、リビングで見慣れないものを見つけた。
(?…文維の、ものかな?)
それは両手で抱えられる程度の箱で。高さは、それほどではない。どうやら宅配で運ばれてきたのか、送付状が貼ってある。
無邪気な煜瑾は、チラリとそれを見て、ハッと息を呑んだ。
「文維~、文維~」
すぐに大きな声で嬉々として文維を呼ぶと、しばらくして手を拭きながら文維がキッチンから現れた。もう煜瑾の興奮の理由を察しているらしく、ニコニコと笑っている。
「見つけてしまったのですね。着替えてから教えてあげようと思ったのに」
「だって、私宛の荷物ですよ!」
それは、文維の母から煜瑾宛の荷物だった。
文維の母、恭安楽きょう・あんらくは、いつまでも少女のようなところがあり、カワイイ物が大好きで、その最さいたるお気に入りが愛想の無い息子のパートナーである、カワイイ唐煜瑾なのだ。
だが、いつも義母がサブスクのように定期的に送って来る手作りのお菓子なども、あて先は文維と煜瑾の連名で書かれている。それなのに、今回は煜瑾1人の名前しかない。
嬉しそうな煜瑾の無垢で穢れを知らない美しい笑顔に、見慣れているはずの文維の目を奪われてしまった。
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