上海の高級ホテルの最上階ラウンジバーで、主人公気分でイケメン紳士に口説かれる体験が出来ます。多分…。
【夢小説】一夜相遇 ~ある夜の出来事~
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あの夜、徐雷は南京東路にあるホテルの最上階にあるバーで、1人ウィスキーソーダを飲んでいた。
このホテルのビジネスセンター付随の会議室で商談を終えたものの、1人で帰る気にもなれず、そのまま最上階のバーへやって来たという訳だ。
時間が早いせいか、客は徐雷1人だった。
カウンター越しにバーテンダーと話す気にもなれず、高層階自慢の夜景を、と思ったが、生憎と高層階過ぎるのか、今日は目のすぐ前まで雲で覆われて、夜景どころではなかった。
それでも、徐雷はぼんやりとその雲の流れを見ていた。
(この雲に乗って、どこかに行けたらな)
暇すぎて、あまりにもファンタジーな発想になり、自分でも呆れて、徐雷は口元を自嘲的に歪めた。
この大都会・上海で、新進の国際弁護士として活躍し始めたばかりの徐雷は、その仕事や収入や名声などが次々と舞い込む面白さに浮かれてはいたが、一方で満たされない何かに苛立ちを感じていた。
(好みのイケメンが誘って来て、美味しい食事を奢ってくれたりしないかな~)
これもまた、ファンタジーだと苦笑して、徐雷はグラスに残ったウィスキーソーダを一息に飲み干し、立ち上がろうとした。
その時だった。
「我可以坐在这里吗(ここに、座っても)??」
低く、耳に柔らかい紳士的な声色に、徐雷はドキリとする。
振り返ると、そこには、ほぼ完璧と思える徐雷の理想のオトコが立っていた。
身長は185㎝くらい、骨太の筋肉質な体つきで、イタリアンモード系の細身スーツが良く似合うエリートビジネスマン風だ。ちらりと視線を送ると、左手に指輪は無かった。
(ヤバい。完全に好み♡…)
ドキドキしながら、立ちかけていた腰を椅子に座り直し、徐雷は応える。
「请坐下(どうぞ)」
オトコは徐雷の左側に座った。右斜め前からの角度が、一番自信があった徐雷だが、左の目尻にある泣きぼくろをセクシーだと言われたこともある。
わざと素知らぬ顔で、徐雷は左の顔を見せつけるように正面を向いたままでいた。
「请给我一杯(奢らせてくれる)?」
オトコの視線を顔の左側に感じながら、徐雷は、1度目はわざと無視した。
「我想给你一杯酒(君に1杯奢りたいんだ)」
「嗯?你说了什么?(え?なんか言った?)」
2度声を掛けられ、おもむろに徐雷はオトコの方を振り返った。
色白で丸い小顔は童顔で、黒目勝ちの大きな瞳は睫毛が多く、長く、学生時代は女の子たちに羨ましがられたものだ。細く通った鼻筋に、少しふっくらした唇は人形のようだと褒められることも多い。
アメリカ留学中は、元々年齢より幼く見えるアジア人な上に整った顔立ちの童顔ということで、ちょっと危ない嗜好の男性に言い寄られることも多かったが、そういう人種には徐雷の好みのタイプも多く、まさに「入れ食い」で、大いに充実した毎日を送っていた。
帰国後、さすがに弁護士として働く以上、それなりの信頼を得るために実年齢の33歳よりも年長に見えるような髪型や服装にも気遣っているが、それはそれでエリート弁護士の「コスプレ」のようでストイックに見えるらしく、好事家には喜ばれるようだ。
要するに、徐雷は自分の容姿に自信があった。
そんな徐雷が、自分の美貌を堪能させるようにオトコの方を見ると、やはりオトコは一瞬、小さく息を飲み、予想以上の徐雷の見た目に興味を持ったようだった。
それは、徐雷も同じだった。
隣に座り、近くで見たオトコの顔立ちは、面長で顎のしっかりした、苦み走ったイケメンだ。奥二重の力強い目元や、高い頬骨に薄い唇など、今一番セクシーな男に選ばれた有名人に似た、カリスマ性のある美男だった。
「哎呀!你看起来像有名演员?(あれ!あなた有名演员に似てない?)」
徐雷がからかうようにそう言うと、オトコは余裕のある態度でフッと笑った。
「经常被这么说(よく言われる)」
他の誰かが言えば、自意識過剰だと笑われそうなのに、このオトコがいうと、とても自然に聞こえて、嫌味が無い。
「两杯“China Kiss”(「チャイナキス」を2杯)」
注文を取りに来たバーテンダーに、オトコが注文したのは、ライチリキュールとグレープフルーツジュースのカクテルだった。もっと強い酒が似合いそうなオトコだけに、徐雷は少し眉を上げ、彼の目を見た。
「你是上海人吗(上海の人)?」
徐雷が自分に興味を持っていることを十分に自覚した様子で、オトコは訊ねた。
「那么,怎么样呢?(さあ、どう思う?)」
思わせぶりにそう言って、徐雷は運ばれて来たグラスを自分で取った。
「为上海之夜、干杯(上海の夜に、乾杯)!」
そう言うと徐雷は、なんのためらいもなく、その爽やかな甘いカクテルを一息で飲み干した。
「为China Kiss…(チャイナキスに…)!」
オトコは、徐雷の濡れた唇を見詰めながらそう囁いた。
(悪くない。雰囲気もいいし、絶対に私に気がある)
確信を持って、徐雷は艶然と微笑んだ。その笑顔の意味に、かなりの経験を積んでいるらしいオトコも、含みのある笑いを口元に浮かべる。
「吃饭了吗(食事は)?」
中国人らしい挨拶程度の意味ではなく、本気で食事に、そしてその後に誘うつもりなのが徐雷には分かった。
「你会请我吃饭吗(おごってくれる)?」
頬杖を付き、甘えるように徐雷はオトコを上目遣いで見上げた。
「当然(もちろん)」
それ以上、言葉は必要ではなく、徐雷はオトコの差し出した、爪の先までお金を払って整えた美しい手に自分の華奢な手を重ねた。
~つづく…かも~
このホテルのビジネスセンター付随の会議室で商談を終えたものの、1人で帰る気にもなれず、そのまま最上階のバーへやって来たという訳だ。
時間が早いせいか、客は徐雷1人だった。
カウンター越しにバーテンダーと話す気にもなれず、高層階自慢の夜景を、と思ったが、生憎と高層階過ぎるのか、今日は目のすぐ前まで雲で覆われて、夜景どころではなかった。
それでも、徐雷はぼんやりとその雲の流れを見ていた。
(この雲に乗って、どこかに行けたらな)
暇すぎて、あまりにもファンタジーな発想になり、自分でも呆れて、徐雷は口元を自嘲的に歪めた。
この大都会・上海で、新進の国際弁護士として活躍し始めたばかりの徐雷は、その仕事や収入や名声などが次々と舞い込む面白さに浮かれてはいたが、一方で満たされない何かに苛立ちを感じていた。
(好みのイケメンが誘って来て、美味しい食事を奢ってくれたりしないかな~)
これもまた、ファンタジーだと苦笑して、徐雷はグラスに残ったウィスキーソーダを一息に飲み干し、立ち上がろうとした。
その時だった。
「我可以坐在这里吗(ここに、座っても)??」
低く、耳に柔らかい紳士的な声色に、徐雷はドキリとする。
振り返ると、そこには、ほぼ完璧と思える徐雷の理想のオトコが立っていた。
身長は185㎝くらい、骨太の筋肉質な体つきで、イタリアンモード系の細身スーツが良く似合うエリートビジネスマン風だ。ちらりと視線を送ると、左手に指輪は無かった。
(ヤバい。完全に好み♡…)
ドキドキしながら、立ちかけていた腰を椅子に座り直し、徐雷は応える。
「请坐下(どうぞ)」
オトコは徐雷の左側に座った。右斜め前からの角度が、一番自信があった徐雷だが、左の目尻にある泣きぼくろをセクシーだと言われたこともある。
わざと素知らぬ顔で、徐雷は左の顔を見せつけるように正面を向いたままでいた。
「请给我一杯(奢らせてくれる)?」
オトコの視線を顔の左側に感じながら、徐雷は、1度目はわざと無視した。
「我想给你一杯酒(君に1杯奢りたいんだ)」
「嗯?你说了什么?(え?なんか言った?)」
2度声を掛けられ、おもむろに徐雷はオトコの方を振り返った。
色白で丸い小顔は童顔で、黒目勝ちの大きな瞳は睫毛が多く、長く、学生時代は女の子たちに羨ましがられたものだ。細く通った鼻筋に、少しふっくらした唇は人形のようだと褒められることも多い。
アメリカ留学中は、元々年齢より幼く見えるアジア人な上に整った顔立ちの童顔ということで、ちょっと危ない嗜好の男性に言い寄られることも多かったが、そういう人種には徐雷の好みのタイプも多く、まさに「入れ食い」で、大いに充実した毎日を送っていた。
帰国後、さすがに弁護士として働く以上、それなりの信頼を得るために実年齢の33歳よりも年長に見えるような髪型や服装にも気遣っているが、それはそれでエリート弁護士の「コスプレ」のようでストイックに見えるらしく、好事家には喜ばれるようだ。
要するに、徐雷は自分の容姿に自信があった。
そんな徐雷が、自分の美貌を堪能させるようにオトコの方を見ると、やはりオトコは一瞬、小さく息を飲み、予想以上の徐雷の見た目に興味を持ったようだった。
それは、徐雷も同じだった。
隣に座り、近くで見たオトコの顔立ちは、面長で顎のしっかりした、苦み走ったイケメンだ。奥二重の力強い目元や、高い頬骨に薄い唇など、今一番セクシーな男に選ばれた有名人に似た、カリスマ性のある美男だった。
「哎呀!你看起来像有名演员?(あれ!あなた有名演员に似てない?)」
徐雷がからかうようにそう言うと、オトコは余裕のある態度でフッと笑った。
「经常被这么说(よく言われる)」
他の誰かが言えば、自意識過剰だと笑われそうなのに、このオトコがいうと、とても自然に聞こえて、嫌味が無い。
「两杯“China Kiss”(「チャイナキス」を2杯)」
注文を取りに来たバーテンダーに、オトコが注文したのは、ライチリキュールとグレープフルーツジュースのカクテルだった。もっと強い酒が似合いそうなオトコだけに、徐雷は少し眉を上げ、彼の目を見た。
「你是上海人吗(上海の人)?」
徐雷が自分に興味を持っていることを十分に自覚した様子で、オトコは訊ねた。
「那么,怎么样呢?(さあ、どう思う?)」
思わせぶりにそう言って、徐雷は運ばれて来たグラスを自分で取った。
「为上海之夜、干杯(上海の夜に、乾杯)!」
そう言うと徐雷は、なんのためらいもなく、その爽やかな甘いカクテルを一息で飲み干した。
「为China Kiss…(チャイナキスに…)!」
オトコは、徐雷の濡れた唇を見詰めながらそう囁いた。
(悪くない。雰囲気もいいし、絶対に私に気がある)
確信を持って、徐雷は艶然と微笑んだ。その笑顔の意味に、かなりの経験を積んでいるらしいオトコも、含みのある笑いを口元に浮かべる。
「吃饭了吗(食事は)?」
中国人らしい挨拶程度の意味ではなく、本気で食事に、そしてその後に誘うつもりなのが徐雷には分かった。
「你会请我吃饭吗(おごってくれる)?」
頬杖を付き、甘えるように徐雷はオトコを上目遣いで見上げた。
「当然(もちろん)」
それ以上、言葉は必要ではなく、徐雷はオトコの差し出した、爪の先までお金を払って整えた美しい手に自分の華奢な手を重ねた。
~つづく…かも~
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