【江南春シリーズ】を読む前に

 架空の中華世界ですが、蛮族の侵略を阻む「長城」に囲まれた「華陽かよう平原」という広大な大地にある諸国(せいしんえんりょう耀ようじゅん)の「秘志(裏歴史)」から物語は始まります。

 それらの国々が、長城の向こうからやって来た異民族「九旗きゅうき族」に侵略され、滅び、「華陽平原」は九旗族による「しゅ国」に統一されます。
 ここまでが「外伝」です。



 江南春「本編」は、その後、諸国の王家ゆかりの人々が戦火から逃れ、最大の河川「仙子江せんすこう」を渡った先の、「広斉国こうさいこく」で再出発する物語になります。

 舞台は、妓楼「牡丹楼ぼたんろう」。
 そこに暮らす妓女や男娼、身を売らない芸妓たちの悲喜こもごもの物語が「江南春」を構成しています。

 「牡丹楼」があるのは、広斉国の南にある夏陽州かようしゅう。大河・仙子江に流れ込む支流の「佃水てんすい」を遡ると、小さな「蓮晶鎮れんしょうちん」という村があり、この村には大きな蓮池と道教の道観「蓬莱閣ほうらいかく」が有名でした。その「蓬莱閣」の観主・けい娘娘ニャンニャンにゆかりのある「張一族」が「牡丹楼」を始めたのです。
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