甜甜的回億 ~甘い記憶~

「お願い?」

 純真な煜瑾は、文維の悪企みなど想像もしない。

「約束だけ、して下さい。カメラの向こうで、煜瑾は私の言う通りにするって」
「???」

 最愛の人を疑うことを知らない天使は、イケナイことを妄想する文維の思惑など思いも寄らない。

「その前に、今夜は…」
「あ、文維!」

 甘い声で囁くと、文維は問い質そうとする煜瑾をそのままベッドに押し倒した。

「あ、文維、ダメです!明日からのお仕事に障ります!」

 文維の手が不埒な動きを始め、煜瑾は慌てた。逃げようと身を捩るが、逞しい腕が逃すまいとする。

「大丈夫。少しだけ、煜瑾で癒されたいだけですよ…」
「文維の『少しだけ』は信用できません!」

 いつも、上手に誤魔化されてしまう煜瑾だが、なんとか今夜は流されまいとしてささやかな抵抗を試みるが、結局は容易く丸め込まれてしまう。

「あ、ダメ…」

 せめて煜瑾が望む通りに、と、寝室の明るい照明を薄暗いベッドサイドの間接照明に切り替えた「優しい」文維だった。

***

 朝になり、少し疲れた様子の煜瑾はゆるゆるとベッドから身を起こした。
 すでにバスルームからシャワーの音が聞こえる。
 着々と出掛ける支度を進める恋人に、また寂しさを思い出し、煜瑾は俯いてしまう。

「おはよう、煜瑾」

 ハッと煜瑾が顔を上げると、明るく、元気そうな恋人の優しい笑顔があった。それが嬉しくて、煜瑾もまた無邪気な笑みを浮かべる。

「まだ眠いなら、今朝は無理しなくてもいいですよ」

 腰にバスタオルを巻いただけのセクシーな姿で近付いてきた恋人に、煜瑾は恥ずかしそうにしながらも腕を伸ばした。ギュッと抱き締め合い、煜瑾はその温もりを確かめた。

「今日は、おかあさまと小敏と一緒にランチに行きます。文維も、くれぐれも気を付けて行って下さいね」
「2人とも、煜瑾が寂しくないように配慮してくれているのですね。私からもお礼を言っておきますね」

 優しい文維の言葉に、離れがたく思いながらも、ゆっくりと煜瑾は身を引いた。

「私も、浦東空港までお見送りに行きますね。おかあさまと小敏とは、浦東のホテルで待ち合わせなのです」

 肌も露わにベッドから抜け出した煜瑾に、文維は慣れた様子で恋人のお気に入りのバスローブを肩に掛ける。はにかみながらも、お気に入りのヒヨコ色のバスローブに手を通し、文維の手を借りながら煜瑾はベッドから降り立った。

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