甜甜的回億 ~甘い記憶~

「そうですね、恭家のお爺さまや羽厳の伯父さまがいらしたら、心配はいりませんね。きっとお2人が文維を守って下さいます」

 ようやく煜瑾は、その綺麗な顔から憂いを消した。浮かんだ笑顔に、文維もホッとして改めて天使を優しく抱きしめる。

「明日から3日も会えないのですよ」

 急に文維の声に艶やかな色気が混じる。その変化に、煜瑾はハッとしてドキドキして頬を赤くし、俯いてしまう。
 そんな、まだまだ初心な煜瑾が愛らしくて、文維はほんの少しイジメたくなってしまった。

「3日も離れて、北京で煜瑾が足りなくて、仕事が出来なくなったらどうしたらいいですか?」
「そんな!いけません、文維!」

 政府の息のかかる大切な仕事に支障があると言われ、煜瑾は慌ててしまう。

「さあ、もう心配しないで、夕食にしましょう」
「そうでした。夕食の支度ができたので、文維を呼びに来たのです」

 素直な煜瑾をこれ以上からかっては可哀想だと思った文維は、すぐに気持ちを切り替えた。
 夕食と聞いて思い出した煜瑾は、清らかで無邪気な笑みを浮かべた。

「今夜は、『カレー』ですよ。この前、小敏に珍しい日本のレトルトパックのカレーをもらったのです」

 ウキウキした様子で、煜瑾はそう言った。そんな無邪気な煜瑾が愛しくて、文維は煜瑾を抱き寄せながら寝室を後にした。

「今日は、文維はビーフカレー、私はチキンカレーをいただきましょうね」

 楽しそうに、煜瑾はキッチンに駆け込み、お鍋の中のレトルトパックを温め直した。

「味が違うなら、半分ずつ分けて食べるのはどうですか?」
「わ~、それは素敵ですね。どちらも味見ができるなんて嬉しいです」

 そう言ってはしゃぐ、あまりに素直で、無垢な煜瑾に、文維は笑うしかなかった。この煜瑾の清純さを文維は愛していた。
 けれど、純粋であるがゆえに、この天使が傷つくことを文維は怖れてもいた。自分の一生を懸けても、この無邪気な魂を必ず守るのだと、文維は胸の内で誓っているのだった。

 大皿に炊きたての白飯をよそい、文維はビーフカレーの、煜瑾はチキンカレーのパッケージを開いた。
 心から楽しそうに目を合わせ、文維と煜瑾はクスクスと笑いながら作業を進めた。

「やっぱり、同じカレーでも、ビーフとチキンでは色が違うのですね」

 愛する人と共に有り、食事をすることを、煜瑾は心から満足していた。それが簡単なレトルト食品であっても、「一緒に食べること」。これこそが絶対の幸せだと煜瑾は信じていた。
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