甜甜的回億 ~甘い記憶~
「今、帰りましたよ~」
階下から聞こえた恭安楽の明るい声に、煜瑾が反応した。
「おかあさまだ!」
駆けだそうとした煜瑾を、茅執事が阻んだ。
「いけません。お着替えを済ませて、靴かスリッパを履いてからです」
「…はい」
厳しい世話係には逆らえず、煜瑾は急いでパジャマから、シンプルで上質な綿シャツと、チョコレート色のチノパンツに着替え、ベージュの靴下に、シルク製のかかとのあるスリッパに足先を入れたところで、寝室のドアが開いた。
「煜瑾ちゃん、ごめんなさいね。煜瑾ちゃんがお昼寝から起きる前に戻ろうと思っていたのに、すっかり遅くなってしまって。心配してくれたのね」
「おかあさま~」
涙で瞳を潤ませた煜瑾に、恭安楽も慌てて駆け寄った。
「どうしたの、煜瑾ちゃん?怖い夢でも見たのですか?」
「…怖い、夢…。そうです。怖い夢を見たのです。自分が、自分で無いような、怖い夢」
思わぬ煜瑾の言葉に、恭安楽だけでなく、その場にいた誰もが胸を突かれた。
「ねえ、そろそろオヤツの時間ではないの?さあ、煜瑾ちゃん、その怖い夢のお話はおかあさまが聞きましょう。おかあさまに話してしまえば、怖い夢は煜瑾から抜け出して、どこかに行ってしまいますからね」
「本当ですか、おかあさま?怖い夢がおかあさまのところに行ったりしない?」
心のきれいな煜瑾は、おかあさまが自分と同じく怖い夢を見るのではないかと心配していた。
「優しい、いい子ね、煜瑾ちゃんは。おかあさまのことなら心配いらないわ。怖いものなんて無いんですもの」
そういってカラカラと笑い飛ばす恭安楽の朗らかさに、煜瑾は救われる気がした。
恭安楽に抱きかかえられるようにして、煜瑾たちは寝室の隣にある書斎に移動した。ここは、元は幼い煜瑾の遊戯室だった。成長した煜瑾のために、書斎に改装されたのだが、広々として快適なことは変わらず、そこにあるアンティークのティーテーブルに、煜瑾のための午後のオヤツが用意された。
「まあ、素敵!有名な唐家のアップルパイね。煜瑾ちゃんも大好物でしょう?」
「はい。煜瑾の大好きなアップルパイです。アイスクリームが添えてあるのが好きなのです」
すっかりご機嫌になった煜瑾は、恭安楽に夢の話をしながら、気が付くと自分の中の暗い影が薄らいでいくことを感じていた。
「おかあさま、午後は絵を描きたいのです。おかあさまもご一緒に、またお庭に行きませんか?」
少し遠慮がちに、それでも甘えるように煜瑾は尋ねた。
「まあ、いいわね。でも午前中たくさんお散歩したから、午後は木陰でのんびりしましょうね」
「はい」
煜瑾が嬉しそうに返事をすると、周囲もほっこりと和んだ。
階下から聞こえた恭安楽の明るい声に、煜瑾が反応した。
「おかあさまだ!」
駆けだそうとした煜瑾を、茅執事が阻んだ。
「いけません。お着替えを済ませて、靴かスリッパを履いてからです」
「…はい」
厳しい世話係には逆らえず、煜瑾は急いでパジャマから、シンプルで上質な綿シャツと、チョコレート色のチノパンツに着替え、ベージュの靴下に、シルク製のかかとのあるスリッパに足先を入れたところで、寝室のドアが開いた。
「煜瑾ちゃん、ごめんなさいね。煜瑾ちゃんがお昼寝から起きる前に戻ろうと思っていたのに、すっかり遅くなってしまって。心配してくれたのね」
「おかあさま~」
涙で瞳を潤ませた煜瑾に、恭安楽も慌てて駆け寄った。
「どうしたの、煜瑾ちゃん?怖い夢でも見たのですか?」
「…怖い、夢…。そうです。怖い夢を見たのです。自分が、自分で無いような、怖い夢」
思わぬ煜瑾の言葉に、恭安楽だけでなく、その場にいた誰もが胸を突かれた。
「ねえ、そろそろオヤツの時間ではないの?さあ、煜瑾ちゃん、その怖い夢のお話はおかあさまが聞きましょう。おかあさまに話してしまえば、怖い夢は煜瑾から抜け出して、どこかに行ってしまいますからね」
「本当ですか、おかあさま?怖い夢がおかあさまのところに行ったりしない?」
心のきれいな煜瑾は、おかあさまが自分と同じく怖い夢を見るのではないかと心配していた。
「優しい、いい子ね、煜瑾ちゃんは。おかあさまのことなら心配いらないわ。怖いものなんて無いんですもの」
そういってカラカラと笑い飛ばす恭安楽の朗らかさに、煜瑾は救われる気がした。
恭安楽に抱きかかえられるようにして、煜瑾たちは寝室の隣にある書斎に移動した。ここは、元は幼い煜瑾の遊戯室だった。成長した煜瑾のために、書斎に改装されたのだが、広々として快適なことは変わらず、そこにあるアンティークのティーテーブルに、煜瑾のための午後のオヤツが用意された。
「まあ、素敵!有名な唐家のアップルパイね。煜瑾ちゃんも大好物でしょう?」
「はい。煜瑾の大好きなアップルパイです。アイスクリームが添えてあるのが好きなのです」
すっかりご機嫌になった煜瑾は、恭安楽に夢の話をしながら、気が付くと自分の中の暗い影が薄らいでいくことを感じていた。
「おかあさま、午後は絵を描きたいのです。おかあさまもご一緒に、またお庭に行きませんか?」
少し遠慮がちに、それでも甘えるように煜瑾は尋ねた。
「まあ、いいわね。でも午前中たくさんお散歩したから、午後は木陰でのんびりしましょうね」
「はい」
煜瑾が嬉しそうに返事をすると、周囲もほっこりと和んだ。
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