もっと撫でて 2
今日もユウはスネイプの元へと向かう。
「質問箇所はどこかね?」
「今日は教科書186ページのーーー」
いつも通り淡々と、でも分かりやすく教えてくれる。
ユウは一言も取り逃すまいと必死に羽根ペンを動かしてメモをとっていた。
「あっ」
必死のあまり手元が狂い、羽根ペンを落としてしまった。
「すみません…」
そう言って羽根ペンを拾おうと足を出すと、床にあった大瓶に蹴躓いてしまった。
スネイプの部屋は薄暗いため、よく見えていなかったのだ。
ユウはそのままバランスを崩し、傍にある棚にぶつかってしまった。
その衝撃で様々な物が所狭しと置かれた棚の上の方から、小瓶が落ちてきた。
ーーー頭に直撃する!
いきなりのことで杖を出すことも叶わず、ぎゅっと目を瞑り手で頭を抱え込んだ。
パリンッ
ガラスの割れる音がする。
ーーーあ、あれ…?私にぶつからなかった…
ユウが恐る恐る目を開けると、目の前には謎の液体を頭から被ったスネイプがいた。
そして周りにはガラスの破片が飛び散っている。
ーーースネイプ先生が庇ってくれた!?
「す、すみません先生!私のせいで…お怪我はありませんか?」
怒られる!!と泣き出しそうになりながらスネイプの状態を確認する。
どうやらガラスでの怪我はないようだ。
スネイプも咄嗟に杖を出そうとしたが、不測の事態で間に合わず、自らユウを庇ったのであった。
「足元には気をつける事だ、ミス・カンザキ…」
「本当にすみません……て、先生!?耳!!」
「耳…?」
ユウが驚くのも無理は無い。
スネイプの頭には猫の耳、そして長いマントの裾からはしっぽが顔を覗かせていた。
ユウはハッとして床で粉々になった小瓶に目をやった。
「これ、もしかして…」
「…そうだ。先日君が持ってきたジョークグッズだ。どうやら皮膚からの摂取でも効果があるらしいな」
スネイプは壁の鏡を一瞥すると、眉間に皺を寄せた。
「先生、可愛いです…」
「どこがだ。君のような若い学生ならまだしもいい歳した我輩には気持ち悪いだろう」
「まさか!気持ち悪いなんてわけありません!…先生、黒猫似合いすぎてますよ」
ユウはふふっ、と笑みを零した。
「…ふん。」
スネイプは顔を顰めたまま、杖をひと振りしてガラスを片付け、椅子に腰掛けた。
「どうせ時間が経てば元に戻る。気にするな」
スネイプは再びユウの教科書に目を向けた。
ーーーいや、気になる…。
自覚は無いのだろうが、ユウの声や微かな物音に耳がぴくぴくと反応し、マントから出たしっぽが気ままにゆらゆらと揺れている。
ユウは教科書を覗き込むふりをしてスネイプに近づいた。
そして、
ーーーこないだのお返し!
前回スネイプが勝手にユウのしっぽを触ったように、スネイプのしっぽに手を伸ばした。
その手がしっぽに触れるか触れないかの距離まで近づきーーー
「!!!」
「うわっ!」
しゅばっ!!と効果音が付くくらいスネイプは勢いよく体ごとユウの方を向いた。
すごい猫っぽい…いや、この素早い動作はいつものことか…?
「勝手に触るな」
「だって…先生は前勝手に触ったじゃないですか」
「………」
スネイプは気まずそうに目を逸らした。
「ちょっとだけ。…いいですか??」
「………」
スネイプの沈黙を了承とみて、ユウはしっぽに手を伸ばした。
友人達がスネイプはユウに甘い、贔屓だなんてからかってくるけど、最近その意味がちょっと分かってきたように思う。だって、絶対触るなって言われると思ったのに。まぁ、スネイプに前科があるからかもしれないが。
以前のユウのように撫でられて大きく反応する事はないが、居心地が悪いのか恥ずかしさもあるのかスネイプの目はゆらゆらと泳ぎ出していた。
しっぽの次は頭を撫でる。
ーーーあ、耳がぴくぴくしてる。可愛い。
意外とさらさらしているスネイプの髪をおもむろに撫で続ける。
すると、スネイプが痺れを切らし、ユウの手を掴んだ。
「もう満足しただろう」
さすがにもう限界か。と感じユウは手を引っ込めた。
「ふふ、先生とっても可愛かったです。あとしっぽも耳もふわふわで、髪はさらさらしてて気持ちよかったです」
「…言わなくていい」
そして、シュンッと綺麗に耳としっぽが消え去った。
「あ…消えちゃった」
ーーーもうちょっと触っていたかったな。
「もう撫でちゃダメですか?」
「当たり前だろう」
という事は。
「じゃあ、私の事ももう撫でてくれないって事ですか…?」
この子は。無自覚なのか?わざとなのか?スネイプは頭を抱えた。
ユウは期待に満ちた目でスネイプのことを見つめている。
同じ漆黒の瞳をしているのに、その奥に輝く、暖かいものがいつもスネイプを見据えている。
それに、スネイプは狂わされそうだった。
「……君が望むのであれば、応えよう」
「……!やった!」
「…えと、たくさん撫でてください」
「…君は本当に我輩を煽るのが好きなのだな」
すると突然身体を抱え込まれ、スネイプの膝の上に座らせられてしまった。
「えっ!?ちょ、ちょっと先生…!?」
スネイプはユウの腰をぐっと寄せた。
「大人をからかうとどうなるのか…知っておいた方がいいですぞ」
「ん…!」
そのままスネイプはユウの体を撫で回した。
結局ユウはまた腰が砕けてしまった。
「…撫でるだけで済んでいるだけ、ありがたいと思ってほしいですな」
「なでなで以外も…期待していいんですか?」
「…馬鹿者。撫でるだけで腰が砕けている者が何を言う」
腰を鍛えよう(?)と密かに決意するユウであった。
「質問箇所はどこかね?」
「今日は教科書186ページのーーー」
いつも通り淡々と、でも分かりやすく教えてくれる。
ユウは一言も取り逃すまいと必死に羽根ペンを動かしてメモをとっていた。
「あっ」
必死のあまり手元が狂い、羽根ペンを落としてしまった。
「すみません…」
そう言って羽根ペンを拾おうと足を出すと、床にあった大瓶に蹴躓いてしまった。
スネイプの部屋は薄暗いため、よく見えていなかったのだ。
ユウはそのままバランスを崩し、傍にある棚にぶつかってしまった。
その衝撃で様々な物が所狭しと置かれた棚の上の方から、小瓶が落ちてきた。
ーーー頭に直撃する!
いきなりのことで杖を出すことも叶わず、ぎゅっと目を瞑り手で頭を抱え込んだ。
パリンッ
ガラスの割れる音がする。
ーーーあ、あれ…?私にぶつからなかった…
ユウが恐る恐る目を開けると、目の前には謎の液体を頭から被ったスネイプがいた。
そして周りにはガラスの破片が飛び散っている。
ーーースネイプ先生が庇ってくれた!?
「す、すみません先生!私のせいで…お怪我はありませんか?」
怒られる!!と泣き出しそうになりながらスネイプの状態を確認する。
どうやらガラスでの怪我はないようだ。
スネイプも咄嗟に杖を出そうとしたが、不測の事態で間に合わず、自らユウを庇ったのであった。
「足元には気をつける事だ、ミス・カンザキ…」
「本当にすみません……て、先生!?耳!!」
「耳…?」
ユウが驚くのも無理は無い。
スネイプの頭には猫の耳、そして長いマントの裾からはしっぽが顔を覗かせていた。
ユウはハッとして床で粉々になった小瓶に目をやった。
「これ、もしかして…」
「…そうだ。先日君が持ってきたジョークグッズだ。どうやら皮膚からの摂取でも効果があるらしいな」
スネイプは壁の鏡を一瞥すると、眉間に皺を寄せた。
「先生、可愛いです…」
「どこがだ。君のような若い学生ならまだしもいい歳した我輩には気持ち悪いだろう」
「まさか!気持ち悪いなんてわけありません!…先生、黒猫似合いすぎてますよ」
ユウはふふっ、と笑みを零した。
「…ふん。」
スネイプは顔を顰めたまま、杖をひと振りしてガラスを片付け、椅子に腰掛けた。
「どうせ時間が経てば元に戻る。気にするな」
スネイプは再びユウの教科書に目を向けた。
ーーーいや、気になる…。
自覚は無いのだろうが、ユウの声や微かな物音に耳がぴくぴくと反応し、マントから出たしっぽが気ままにゆらゆらと揺れている。
ユウは教科書を覗き込むふりをしてスネイプに近づいた。
そして、
ーーーこないだのお返し!
前回スネイプが勝手にユウのしっぽを触ったように、スネイプのしっぽに手を伸ばした。
その手がしっぽに触れるか触れないかの距離まで近づきーーー
「!!!」
「うわっ!」
しゅばっ!!と効果音が付くくらいスネイプは勢いよく体ごとユウの方を向いた。
すごい猫っぽい…いや、この素早い動作はいつものことか…?
「勝手に触るな」
「だって…先生は前勝手に触ったじゃないですか」
「………」
スネイプは気まずそうに目を逸らした。
「ちょっとだけ。…いいですか??」
「………」
スネイプの沈黙を了承とみて、ユウはしっぽに手を伸ばした。
友人達がスネイプはユウに甘い、贔屓だなんてからかってくるけど、最近その意味がちょっと分かってきたように思う。だって、絶対触るなって言われると思ったのに。まぁ、スネイプに前科があるからかもしれないが。
以前のユウのように撫でられて大きく反応する事はないが、居心地が悪いのか恥ずかしさもあるのかスネイプの目はゆらゆらと泳ぎ出していた。
しっぽの次は頭を撫でる。
ーーーあ、耳がぴくぴくしてる。可愛い。
意外とさらさらしているスネイプの髪をおもむろに撫で続ける。
すると、スネイプが痺れを切らし、ユウの手を掴んだ。
「もう満足しただろう」
さすがにもう限界か。と感じユウは手を引っ込めた。
「ふふ、先生とっても可愛かったです。あとしっぽも耳もふわふわで、髪はさらさらしてて気持ちよかったです」
「…言わなくていい」
そして、シュンッと綺麗に耳としっぽが消え去った。
「あ…消えちゃった」
ーーーもうちょっと触っていたかったな。
「もう撫でちゃダメですか?」
「当たり前だろう」
という事は。
「じゃあ、私の事ももう撫でてくれないって事ですか…?」
この子は。無自覚なのか?わざとなのか?スネイプは頭を抱えた。
ユウは期待に満ちた目でスネイプのことを見つめている。
同じ漆黒の瞳をしているのに、その奥に輝く、暖かいものがいつもスネイプを見据えている。
それに、スネイプは狂わされそうだった。
「……君が望むのであれば、応えよう」
「……!やった!」
「…えと、たくさん撫でてください」
「…君は本当に我輩を煽るのが好きなのだな」
すると突然身体を抱え込まれ、スネイプの膝の上に座らせられてしまった。
「えっ!?ちょ、ちょっと先生…!?」
スネイプはユウの腰をぐっと寄せた。
「大人をからかうとどうなるのか…知っておいた方がいいですぞ」
「ん…!」
そのままスネイプはユウの体を撫で回した。
結局ユウはまた腰が砕けてしまった。
「…撫でるだけで済んでいるだけ、ありがたいと思ってほしいですな」
「なでなで以外も…期待していいんですか?」
「…馬鹿者。撫でるだけで腰が砕けている者が何を言う」
腰を鍛えよう(?)と密かに決意するユウであった。
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