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万事屋のちゃぶ台の上には、まだ湯気の立つ味噌汁と漬物、そしてスーパーの特売で買ってきた焼き魚。質素だが腹を満たすには十分な朝飯を囲み、銀時はぼんやりと箸を動かしていた。
「――で、李織ちゃん、今日も買い出し付き合ってくれるんですか?」
新八が隣に座る少女へと穏やかに問いかける。
「はい。銀さんたちの分もまとめて買ってきますね」
浜谷李織はにこりと微笑んだ。丁寧な口調ながら、堅苦しさはない。どこか家庭的なその言葉に、銀時は魚の骨を口から引き抜きながら心の中で眉をひそめた。
(……おいおい、なに自然に夫婦の朝会話みたいな雰囲気出してんだコラ)
神楽はといえば、そんな二人の空気に気づきもせず、黙々と白米をかっこんでいる。丼を抱え、がつがつと音を立てて食べる姿に安心感すら覚えるほどだ。
「李織ちゃんが一緒だと助かります。本当にありがとうございます」
「いえ、私もみなさんのお役に立てるのが嬉しいですから」
銀時は湯呑を手にしながら二人をじろりと見やる。
(……これ、もう同棲してるやつらの会話じゃね? いや、待てよ。お前らそもそも付き合ってすらねぇだろ? おい新八、お前の青春どこ置き忘れてきた?)
気になって仕方がない。思わず口を開きかけたが、言葉にするより先に神楽のどんぶりが空になった。
「おかわりあるアルか?」
「ありますよ、ちょっと待ってください」
李織は立ち上がり、炊飯器の方へ向かう。白い指先がしゃもじを取り、ふんわりとご飯を盛る仕草すら妙に板についている。
(……うん、完全に嫁だわ。新八、てめぇいつの間にそんな真人間ライフ突入してんだよ。俺の知ってる新八は、眼鏡割られて泣きながらツッコミ入れてた小僧だぞ?)
神楽に山盛りの飯をよそい、彼女は自然な笑顔で戻ってきた。
「はい、どうぞ神楽ちゃん」
「ありがとアル」
「……なぁ、新八」
「はい?」
「お前ら、もう籍入れたの?」
唐突な問いに、新八は目を瞬かせた。李織も一瞬ぽかんとした顔をして、すぐに頬を染める。
「ちょっ……銀さん、何を言ってるんですか!」
「はぁ!? ちょっと、違いますよ! そんな……!」
慌てふためく二人を見ながら、銀時は鼻で笑う。
(……ほら見ろよ。本人らすら意識してなかったっぽいじゃねーか。けどな、傍から見りゃ完全にそうなんだよ。俺の目に狂いはねぇ。これはもう限りなく夫婦に近い何かだ)
神楽が口いっぱいに飯を詰め込んだまま呟いた。
「別にもう結婚しちまえばいいアル。どうせずっと一緒にいるんだから」
銀時は思わず吹き出した。茶を盛大にちゃぶ台へこぼす。
「ぶはっ! ははっ……お前、核心突きすぎだろ」
真っ赤になって抗議する新八と李織。その姿は、まるで新婚夫婦が冷やかされているようでしかなかった。
(……あー、こりゃもう確定だな。)
銀時は焼き魚の最後の一口を飲み込んだ。
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