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プロローグ


こどもはね、神様に守られている天使なの。
天使たちは神様から幸せのカギをパパとママに届けに生まれてくるーーー

昔よくママが読んでくれた絵本にそう書いてあったわ。
「貴女はとってもとっても大事な大切なかけがえなのない存在なのよ。大好きよ、ちさと。」
そう言ってママはわたしにおやすみのキスをする。
当たり前の日常。
当たり前に受けてきた愛情。


そう、それは昨日までの話。

なぜ、あの日ああなったのか分からない。
なぜ、私たちがこうなったのか分からない。
どうしたら、あれを避けられたのだろうと考えても分からない。
私たち家族の幸せはあの日に朽ち果てた。
「そういう運命だった」なんて簡単な言葉を受け入れることなんてできない。
きっと私は神様からのカギを失くしたのだろう。
これはカギをなくした罰なんだ、きっとそう。

あの日から私は笑い方を忘れ、代わりに傷の痛みを覚えた。
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