もしも⚪︎⚪︎だったら?
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すこぶる体調の悪い日だったサナ。ククイもこの前のラッキーだったら安心して任せられる、とサナの看病をラッキーに任せ急用へと向かった。
責任を持ってラッキーはサナの看病をこなすが、ククイを寂しがり泣くサナの心までは癒すことができなかった
この前の話↓
ククイが学会の急用で、どうしても一日研究所を空けなければならなくなった朝のことだった。
「サナ、急で悪いな。今日はどうしても外せない用事があってな。……だが、一人にしておくわけにはいかないから、最高の看護師を呼んでおいたぜ」
玄関でそう言って笑ったククイの脇から、パタパタと短い足音を立てて入ってきたのは、ピンク色の丸い体をしたポケモン――ポケモンセンターから出張でやってきたラッキーだった。
「ラッキー!」
元気な鳴き声とともに、ラッキーは手に持った小さな往診バッグをポンポンと叩いてみせた。
「サナの体調管理は、ジョーイさんお墨付きのこの子に任せてある。何かあったら遠慮なく頼るんだぞ」
「う、うん……。いってらっしゃい、博士」
ククイが申し訳なさそうに、けれどサナの頭をしっかり撫でて出て行った後、静まり返った研究所にはサナとラッキーの二人だけが残された。
サナはロフトのベッドに座り、少し縮こまっていた。
自分のためにわざわざポケモンセンターから来てもらったという申し訳なさと、ククイがいないことへの微かな心細さ。それに、見慣れない「看護師さん」にどう接していいか分からなかったのだ。
「あの……ラッキー。私、今は体調落ち着いてるから、無理してお世話してくれなくても大丈夫だよ……?」
気遣うようにそう声をかけたが、ラッキーは「ラッキッ」と短く鳴いて首を横に振った。
そして手際よく体温計を取り出すと、サナの脇に挟ませ、脈を測るように優しくサナの手首に温かい掌を添えた。手慣れたプロの手つきに、サナは思わずポカンとしてしまう。
体温計がピピッと鳴る。表示された数字を確認したラッキーは、満足そうに頷くと、今度は台所へと向かった。
(あ、何か作ろうとしてる……?)
サナがそっとロフトから覗き込むと、ラッキーは慣れた手つきで湯を沸かし、ククイが用意しておいたハーブティーを淹れ始めていた。それだけでなく、自分のお腹のポケットから、ツヤツヤと輝く自慢の「タマゴ」を大事そうに取り出し、サナのお皿に添えて持って上がってきたのだ。
「ラッキー、ラッキー!」
「これ……私に? ありがとう……」
差し出されたタマゴは、持っているだけで心がじんわり温かくなるような不思議な温もりがあった。一口食べると、やさしい甘さが広がり、ここ数日続いていた胸のつかえがすーっと溶けていくような感覚がした。
「おいしい……。すごく、元気が出る味……」
サナが笑顔を見せると、ラッキーは嬉しそうに目を細め、サナの背中を大きな手でやさしくさすってくれた。ククイの大きくて力強い手とは違う、お母さんのような包み込むような温もり。
午後になり、少し熱っぽくなってサナがうとうとし始めると、ラッキーはベッドの横にピタリと寄り添った。冷やしたタオルをサナの額に当て、サナが不安そうに身じろぎするたびに、「ラッキ〜、ラッキ〜」と子守唄のような優しい声を奏でて、サナの手を握り続けてくれた。
(博士がいないと寂しいって思ってたけど……ラッキーも、すごく温かいな……)
ぽかぽかとした安心感の中で、サナは深い眠りへと落ちていった。
――夕方。
急いで用事を済ませたククイが、息を切らせて研究所の扉を開けた。
「サナ! ラッキー! 今戻ったぞ……!」
静まり返ったリビングからロフトを見上げると、そこには微笑ましい光景があった。
ベッドの上で穏やかな寝息を立てるサナと、その横でサナの手をしっかり握ったまま、一緒にすやすやと眠っているラッキーの姿。サイドテーブルには、整然と並べられた体温計と経過メモが置かれていた。
ククイは緊張で強張っていた肩の力を抜き、サングラスの奥の目を優しく細めた。
「……ふっ、心配して損したぜ」
足音を殺して階段を上がり、二人の頭にそっとブランケットを掛け直してやる。
サナの頬にはほんのりと健康的な赤みが戻っており、その唇は小さな満足感とともに、柔らかく緩んでいた。
すこぶる体調の悪い日だったサナ。ククイもこの前のラッキーだったら安心して任せられる、とサナの看病をラッキーに任せ急用へと向かった。
責任を持ってラッキーはサナの看病をこなすが、ククイを寂しがり泣くサナの心までは癒すことができなかった
この前の話↓
ククイが学会の急用で、どうしても一日研究所を空けなければならなくなった朝のことだった。
「サナ、急で悪いな。今日はどうしても外せない用事があってな。……だが、一人にしておくわけにはいかないから、最高の看護師を呼んでおいたぜ」
玄関でそう言って笑ったククイの脇から、パタパタと短い足音を立てて入ってきたのは、ピンク色の丸い体をしたポケモン――ポケモンセンターから出張でやってきたラッキーだった。
「ラッキー!」
元気な鳴き声とともに、ラッキーは手に持った小さな往診バッグをポンポンと叩いてみせた。
「サナの体調管理は、ジョーイさんお墨付きのこの子に任せてある。何かあったら遠慮なく頼るんだぞ」
「う、うん……。いってらっしゃい、博士」
ククイが申し訳なさそうに、けれどサナの頭をしっかり撫でて出て行った後、静まり返った研究所にはサナとラッキーの二人だけが残された。
サナはロフトのベッドに座り、少し縮こまっていた。
自分のためにわざわざポケモンセンターから来てもらったという申し訳なさと、ククイがいないことへの微かな心細さ。それに、見慣れない「看護師さん」にどう接していいか分からなかったのだ。
「あの……ラッキー。私、今は体調落ち着いてるから、無理してお世話してくれなくても大丈夫だよ……?」
気遣うようにそう声をかけたが、ラッキーは「ラッキッ」と短く鳴いて首を横に振った。
そして手際よく体温計を取り出すと、サナの脇に挟ませ、脈を測るように優しくサナの手首に温かい掌を添えた。手慣れたプロの手つきに、サナは思わずポカンとしてしまう。
体温計がピピッと鳴る。表示された数字を確認したラッキーは、満足そうに頷くと、今度は台所へと向かった。
(あ、何か作ろうとしてる……?)
サナがそっとロフトから覗き込むと、ラッキーは慣れた手つきで湯を沸かし、ククイが用意しておいたハーブティーを淹れ始めていた。それだけでなく、自分のお腹のポケットから、ツヤツヤと輝く自慢の「タマゴ」を大事そうに取り出し、サナのお皿に添えて持って上がってきたのだ。
「ラッキー、ラッキー!」
「これ……私に? ありがとう……」
差し出されたタマゴは、持っているだけで心がじんわり温かくなるような不思議な温もりがあった。一口食べると、やさしい甘さが広がり、ここ数日続いていた胸のつかえがすーっと溶けていくような感覚がした。
「おいしい……。すごく、元気が出る味……」
サナが笑顔を見せると、ラッキーは嬉しそうに目を細め、サナの背中を大きな手でやさしくさすってくれた。ククイの大きくて力強い手とは違う、お母さんのような包み込むような温もり。
午後になり、少し熱っぽくなってサナがうとうとし始めると、ラッキーはベッドの横にピタリと寄り添った。冷やしたタオルをサナの額に当て、サナが不安そうに身じろぎするたびに、「ラッキ〜、ラッキ〜」と子守唄のような優しい声を奏でて、サナの手を握り続けてくれた。
(博士がいないと寂しいって思ってたけど……ラッキーも、すごく温かいな……)
ぽかぽかとした安心感の中で、サナは深い眠りへと落ちていった。
――夕方。
急いで用事を済ませたククイが、息を切らせて研究所の扉を開けた。
「サナ! ラッキー! 今戻ったぞ……!」
静まり返ったリビングからロフトを見上げると、そこには微笑ましい光景があった。
ベッドの上で穏やかな寝息を立てるサナと、その横でサナの手をしっかり握ったまま、一緒にすやすやと眠っているラッキーの姿。サイドテーブルには、整然と並べられた体温計と経過メモが置かれていた。
ククイは緊張で強張っていた肩の力を抜き、サングラスの奥の目を優しく細めた。
「……ふっ、心配して損したぜ」
足音を殺して階段を上がり、二人の頭にそっとブランケットを掛け直してやる。
サナの頬にはほんのりと健康的な赤みが戻っており、その唇は小さな満足感とともに、柔らかく緩んでいた。