毒
「今日はここまでにしようか。お腹すいたろ?」
あれから数時間、勉強を続けて時計を見ると20時を過ぎていた。
「わ、もうこんな時間なんですね。そういえばすごく空いてきました……!」
「じゃあお風呂に入っておいで。その間に晩御飯を作っておこう」
「はーい!」
元気よく返事をする彼女を見送ってから、俺はキッチンへと向かう。
冷蔵庫の中には昨日買った食材が入っているはずだ。
「今日は木の実のサラダにしようかな」
「わぁ美味しそう!」
料理が完成したタイミングでちょうど彼女が戻ってきた。
ほかほかのご飯をよそい、2人で食卓を囲む。
「いただきまーす!……ん〜おいしい〜」
幸せそうな顔で食べる姿を見るとこちらまで幸せな気分になる。
「今食べているオレンの実は回復作用があるんだ。それにそのピンク色のモモンの実は毒消し効果があるんだよ」
「へぇー!いつも市場で見てますけど、それぞれ違う効果があったんですね!」
「ああ、他にも色んな木の実があるから、また見に行こうな」
「やったー!」
はしゃぐ彼女を見て自然と笑みがこぼれる。
この笑顔を守る為ならなんだってできる気がした。
「ごちそうさまでした!」
「はい、お粗末様。食器を片付けたら少し休んで、ストレッチをしてから寝よう」
「はい!ありがとうございます!」
食事の後始末を終えると、俺はソファーに座っている彼女の隣に腰掛ける。
そして彼女に指示を出してストレッチを始めた。
「ゆっくりでいい。無理はするなよ?」
「はい!大丈夫です!」
本当にわかっているのだろうか…返事だけは100点満点な彼女だ。
しかし、そんな所も可愛らしく思ってしまう自分がいる。
(重症だな……)
思わず苦笑しながら彼女の背中を押した。
「さあ、これで終わりだ。今日は夜ふかししないですぐに寝ること。そうじゃないと治るものも治らないぞ?」
「……はぁい」
渋々と言った様子だが、一応納得してくれたようだ。
「ほら、もう遅いんだから早く部屋に戻って休むんだ」
彼女がロフトへと続くハシゴに手をかけるのを見守ってから地下の研究室へと向かう。
しかし、階段を降りる直前に何かが落ちる音が聞こえた。嫌な予感を覚えつつ急いで部屋に戻ると案の定と言うべきか、彼女が床に転げ落ちていた。
「うぅ……痛いです」
腕を押さえて涙ぐむ彼女を慌てて抱き起こす。幸いにも大きな怪我は無いようで安心した。
「腕が痛むのか…今日はロフトにたどり着けなさそうだな…」
「ごめんなさい……博士、私のせいで……」
「気にすることないさ。今日は俺のベッドで寝るといい」
泣き出しそうな彼女の頭を撫でてやると、少しだけ安心したように微笑んだ。
そのまま2人で手を繋いで寝室まで移動すると、先にベッドに入るように指示を出す。
「えへへ…博士のベッドふかふか〜病院のベッドとは大違いです!」
「おいおい、あんまり暴れるなよ」
楽しげにはしゃぐ彼女を嗜めつつも内心では喜んでいる自分に気がつく。
まるで本当の親子みたいだと柄にもないことを考えてしまった。
「おやすみ、サナ」
「はい、おやすみなさい博士」
布団をかけて電気を消すと、彼女はすぐに眠ってしまった。
余程疲れていたのだろう。
その安らかな寝顔を見ながらこの幸せが長く続けば良いと願った。
あれから数時間、勉強を続けて時計を見ると20時を過ぎていた。
「わ、もうこんな時間なんですね。そういえばすごく空いてきました……!」
「じゃあお風呂に入っておいで。その間に晩御飯を作っておこう」
「はーい!」
元気よく返事をする彼女を見送ってから、俺はキッチンへと向かう。
冷蔵庫の中には昨日買った食材が入っているはずだ。
「今日は木の実のサラダにしようかな」
「わぁ美味しそう!」
料理が完成したタイミングでちょうど彼女が戻ってきた。
ほかほかのご飯をよそい、2人で食卓を囲む。
「いただきまーす!……ん〜おいしい〜」
幸せそうな顔で食べる姿を見るとこちらまで幸せな気分になる。
「今食べているオレンの実は回復作用があるんだ。それにそのピンク色のモモンの実は毒消し効果があるんだよ」
「へぇー!いつも市場で見てますけど、それぞれ違う効果があったんですね!」
「ああ、他にも色んな木の実があるから、また見に行こうな」
「やったー!」
はしゃぐ彼女を見て自然と笑みがこぼれる。
この笑顔を守る為ならなんだってできる気がした。
「ごちそうさまでした!」
「はい、お粗末様。食器を片付けたら少し休んで、ストレッチをしてから寝よう」
「はい!ありがとうございます!」
食事の後始末を終えると、俺はソファーに座っている彼女の隣に腰掛ける。
そして彼女に指示を出してストレッチを始めた。
「ゆっくりでいい。無理はするなよ?」
「はい!大丈夫です!」
本当にわかっているのだろうか…返事だけは100点満点な彼女だ。
しかし、そんな所も可愛らしく思ってしまう自分がいる。
(重症だな……)
思わず苦笑しながら彼女の背中を押した。
「さあ、これで終わりだ。今日は夜ふかししないですぐに寝ること。そうじゃないと治るものも治らないぞ?」
「……はぁい」
渋々と言った様子だが、一応納得してくれたようだ。
「ほら、もう遅いんだから早く部屋に戻って休むんだ」
彼女がロフトへと続くハシゴに手をかけるのを見守ってから地下の研究室へと向かう。
しかし、階段を降りる直前に何かが落ちる音が聞こえた。嫌な予感を覚えつつ急いで部屋に戻ると案の定と言うべきか、彼女が床に転げ落ちていた。
「うぅ……痛いです」
腕を押さえて涙ぐむ彼女を慌てて抱き起こす。幸いにも大きな怪我は無いようで安心した。
「腕が痛むのか…今日はロフトにたどり着けなさそうだな…」
「ごめんなさい……博士、私のせいで……」
「気にすることないさ。今日は俺のベッドで寝るといい」
泣き出しそうな彼女の頭を撫でてやると、少しだけ安心したように微笑んだ。
そのまま2人で手を繋いで寝室まで移動すると、先にベッドに入るように指示を出す。
「えへへ…博士のベッドふかふか〜病院のベッドとは大違いです!」
「おいおい、あんまり暴れるなよ」
楽しげにはしゃぐ彼女を嗜めつつも内心では喜んでいる自分に気がつく。
まるで本当の親子みたいだと柄にもないことを考えてしまった。
「おやすみ、サナ」
「はい、おやすみなさい博士」
布団をかけて電気を消すと、彼女はすぐに眠ってしまった。
余程疲れていたのだろう。
その安らかな寝顔を見ながらこの幸せが長く続けば良いと願った。