“舞茸様” スポアクイーン
上位精霊の一種。基本的には洞窟や大きめの廃墟で過ごす個体が殆どだが、伴侶を探しに人里に降りて生活している個体もいる。伴侶になっても、体の一部が菌繊維化して耳が舞茸のようになったりはするが、自我や身体面に大きな変化はない。そのため、理解のある者なら、普通にスポアクイーンと恋をして結婚したりもする。ただ、伴侶に対する執着心が非常に強いため、浮気や離婚は無理だと思った方がいい。すれば最後、腐海の中で物言わぬ苗床と化し、枯れるまで囚われ続けることになるだろう。
ただ、そうなる危険も承知で伴侶となる者は多い。精霊を愛し、そして愛された者は、他に何も要らないほど幸せなのだ。
伴侶と交わることで、スポアクイーンは自らの直属の子孫である娘を生みだす特別な胞子を発せるようになる。普段撒いている胞子から産まれるのは、舞茸様を守り、彼女に代わり手足となって働く下位の精霊たちである。下位精霊たちは子ども大のエリンギにそのまま手足が生えたような見た目をしており、スポアワーカー、歩茸(※1)などと呼ばれる。
※1:「ほだけ」と読む。決して「あるきのこ」ではないが、俗称でそう呼ばれることはしばしばある。
――――
スポアクイーンの代表的な逸話として、“ドルクの胞壊”が存在する。ドルクという国の第三王子とスポアクイーンの一体が恋に落ちたが、立て続けに王子の兄たちが暗殺され、第三王子は王位継承者となってしまう。王子は跡を継ぐため、スポアクイーンのもとを去るも、怒り狂ったスポアクイーンは住民も、城も、国も全て胞子と菌で飲み込んだ。そうして大陸の西には今も、胞子と菌、茸に支配された"胞壊した国”ドルクが残ったままになっている。この出来事が起こってから、彼女たちの愛の深さに敬意と畏れを込め、"舞茸様"の愛称で呼ばれるようになる。
玉座には今も、1体のスポアクイーンと、最早物言わぬ苗床と化した王子の亡骸が、ずっと寄り添っているのだという。
ただ、そうなる危険も承知で伴侶となる者は多い。精霊を愛し、そして愛された者は、他に何も要らないほど幸せなのだ。
伴侶と交わることで、スポアクイーンは自らの直属の子孫である娘を生みだす特別な胞子を発せるようになる。普段撒いている胞子から産まれるのは、舞茸様を守り、彼女に代わり手足となって働く下位の精霊たちである。下位精霊たちは子ども大のエリンギにそのまま手足が生えたような見た目をしており、スポアワーカー、歩茸(※1)などと呼ばれる。
※1:「ほだけ」と読む。決して「あるきのこ」ではないが、俗称でそう呼ばれることはしばしばある。
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スポアクイーンの代表的な逸話として、“ドルクの胞壊”が存在する。ドルクという国の第三王子とスポアクイーンの一体が恋に落ちたが、立て続けに王子の兄たちが暗殺され、第三王子は王位継承者となってしまう。王子は跡を継ぐため、スポアクイーンのもとを去るも、怒り狂ったスポアクイーンは住民も、城も、国も全て胞子と菌で飲み込んだ。そうして大陸の西には今も、胞子と菌、茸に支配された"胞壊した国”ドルクが残ったままになっている。この出来事が起こってから、彼女たちの愛の深さに敬意と畏れを込め、"舞茸様"の愛称で呼ばれるようになる。
玉座には今も、1体のスポアクイーンと、最早物言わぬ苗床と化した王子の亡骸が、ずっと寄り添っているのだという。