緑⊿の短編系


「みいちゃんは大きくなったね」

「………」


土生ちゃんに後ろからぎゅっとされて座る、私。
背中がじんわりあったかくて、長い腕が私を捕まえているそのことに、愛とか思いとかそういうのに包まれてる気がして、心が満たされていく感じ。

けど、


「大きくなったってなに?」

「んー?」

「そんな変わらへんで。太ったってこと?」

「違うよー」

「じゃあなに?」


後ろから抱きしめられて、大きくなったって………なんか複雑。


「お姉ちゃんみたいだなって」

「え?」

「前は妹みたいだったのに。可愛らしくてギューってしたい、って思ってたのになぁ」


確かに後輩ができてから、前みたいに妹的な立ち位置からは変化があったな、と思う。
かっこよくありたいっていうのも少しづつ叶えられてきて、成長とか心境の変化っていうのはここ数年は大きかった。


「今は成長しちゃってお姉ちゃんになっちゃったし、甘えてくれることも減ったし寂しい」

「そんなことないよぉ。土生ちゃんには甘えてばっかりやん」

「こうやってゆっくりギューってできるの、久しぶりじゃない?」

「うーん、確かに」

「これでも我慢してるんだよ?2期生ちゃん達と笑ってるのも邪魔しちゃいけないって思ってるし」

「……もしかして拗ねてるん?」

「拗ねてないよ。寂しいだけ」

「……」

「……みぃちゃんは」


私を捕まえていた腕が、少し力を増す。
捕まえていた感覚から、土生ちゃん全身で包み込まれる感じ。
土生ちゃんの顔が首元に埋まって、耳元近くで声がして、緊張する。


「、!」

「みぃちゃんは、みづのこと好き?」

「──……」


土生ちゃんのいつものイケメン声じゃない。
少し子供みたいな、甘えたそうな声…。
拗ねてないなんて嘘だと思うけど、きっと寂しいのも本当なんだ。


「…好きやで、土生ちゃん」

「………」

「めっちゃ好き。土生ちゃんを好きになるから覚悟しといた方がいいって思ったこと今も変わらへん」

「……」


土生ちゃんの頭に頬を擦り寄せる。
包む腕をそっと撫でて、手を握る。
緊張しているのか、いつもはあったかい土生ちゃんの手が冷えていて愛おしくなる。


「土生ちゃんがいると安心する。ギューってされるのすごく好き」

「……ぅん」

「土生ちゃん」

「………みぃちゃん、」

「なあに?」


「……みづも、好き」
















「っていうことがあってん!!」

ねる『みぃちゃん、それ夜中に電話すること?』

「ええやんかぁ!かわいいやろ!」

ねる『寂しかったんやねぇ、土生ちゃんそんなん言うイメージなか。みぃちゃんの方がヤキモチ妬きそう。相変わらずみんなにイケメンしとるでしょ?』

「ほんまやで。えへへ、可愛かったなぁ、土生ちゃん」

ねる『んー、』

「?」

ねる『りっちゃんも負けんけん。5歳児ナメたらいけんよ』

「………ふ。今回の土生ちゃんには適わへんよ、ギャップあるからな」

ねる『!この間の理佐なんてねるが帰ってきたらパタパタ走ってきてギュッでしたけん。しっぽ生えとったばい!』

「そんなん土生ちゃんは甘い声で『おつかれさま』言うて頭撫でてくれるで!」

ねる『理佐は逆に撫でたら擦り寄ってくるけん!』

「土生ちゃんは──」



─────



理佐「………なんか、嫌な予感がする」

土生「大丈夫?」

理佐「……なんか土生ちゃん、いい事あった?いつもより笑顔眩しい」

土生「えへへ。充電満タンなんだー」

理佐「へぇ」(美波となんかあったのかな。………ん?てことは、ねるともしかして──)





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