緑⊿の短編系
………やってしまった
「はぁ、…ほんと、ありえん、けん…、、」
呼吸を乱すねるが目の前で横たわっている。
そして、重なるように私の体があって体重をかけないようにと体をずらして脱力した。
切れる呼吸に自分も相当だったと気づく。
お互いに、一糸まとわぬ姿で、
じっとりと汗をかいていて。
呼吸や僅かな刺激にもねるの体は不規則にぴくぴくと、震えていて
その姿に、私の心臓はドクドク脈を打ち、横隔膜が競りあがるように苦しくなって
欲情していると自覚する。
いわゆる、事後、であるわけで。
恋人同士だし、
行為自体は問題じゃない。
それは、そう。
だけど、
私が、やってしまったと自責に駆られているのも、
ねるが、
ありえないと非難し睨んでくるのも
全ては
『時と場合』という問題で。
一緒にお風呂に入るなんていつもは絶対ないんだけど、せっかく来た温泉に、しかも時間貸切の泊まりがけの旅行で
断るなんてしたくなかった。
一緒に入ると返事をして、ねるはウキウキで私の手を引いてーーー、
までは、よかったのだけど。
「ほんと、温泉でするとかありえん、…、」
「………はい」
「誰か来たらどうするつもりやったと?」
「だって貸切時間だったし」
「どうなるかなんてわからんばい!」
………ぅ。
ぐうの音も出ません。。。
私だって、
止まらないと思わなかった。
止まれないなんて知らなかった。
ねるの
柔らかい肌も
愛らしい表情も
癒される空気感も
私の欲を掻き立てて仕方なかったんだ。
柔らかいそれに触れて、綺麗な曲線を描く体。
触れる度に揺れて、私を求める声と表情。
私を求めて、私に追い詰められていくねるが愛おしてくしょうがなかった。
「理佐!?」
「んえ?」
ぽた、
と何かが垂れる感覚がして、ねるが慌てて私の名前を呼んだ。
鼻から赤い雫が落ちていく。
うそでしょ。思春期かよ
あー、
思い出したから?
それとも
湯船に浸かってそういうことして、興奮したせい?
きっとどれも正解で
確実に逆上せてしまったのは分かった。
視界が砂嵐にまみれて
目が回る。
マジでありえない。
カッコ悪すぎる………。
◇◇◇◇◇
布団の中で目が覚めて、
ねるに再び怒られるけれど
せっかく泊まりに来た旅行で
1人で寝るのは寂しくて。
それはねるも同じで。
もうお風呂ではしないって約束をして
ねるは一緒の布団に潜り込んできた。
……翌朝。
「理佐、腰痛い。立てん」
「…………」
「りーさ」
「ごめんなさい……」