Unforgettable.

不良品だと、言われてきた。

だからって別に、無駄に人を襲おうとは思えなかったし、
必要に応じて血を飲んだこともあったけど、生きるための作業であって美味しいとかそういう感覚も吸血行動に対しての執着もなかった。



卑下される中で、何故か必要とされてきて。それが自分の能力が利用されているのだと気づいたあとも、それすらただの生きるための作業にしかならなかった。


否定されて来たから、
必要とされることを拒めなかった…。


それが今、こんなにも苦しくなるなんて
思ってもなかったんだ。











『理佐』

ねるの声で響く自分の名が愛おしい。


『もういいけん!!帰ってッ!理佐なんか知らん!!』

ねるの記憶の通りに、私が血を飲んでいたら
もっといい答えが出せていたのかな



君を傷つけた事実は消えない、
なら、いっそのことどんな形でもいいから
君の記憶にだけは残っていて欲しいと思う。







ああ、そうだった……
私の望みはそれたけだったんだ。



私が消えたあとにでも………

君の記憶にだけは、残っていて欲しい、、
それが偽りだったとしても。


それは、あまりにも贅沢なのだろうか。

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