傷つけたくない。
桃子と愛理が対峙していた休み時間が終わりを告げる。
「ごちそうさま、なっきぃ。いつも貰ってばかりでごめんね」
「そんなことないよ!私が好きで持ってきてるんだし!」
「うん。でも大変でしょ?」
二人はいつもの様に屋上で休み時間を過ごし、次の授業のため移動しよう立ち上がる。
そこへ
―ガチャン
「もも?」
「……」
まだ少し先にあったドアが開く。
思わず名を呼ぶ舞美。ドア正面に位置していたことで桃子は舞美へとまっすぐ近づき、そのまま腕を引いて屋上から出ようとする。
「えっ?なに、ももどうしたの?」
身体に力を入れて止める。いくら屋上を出ようとしていたとはいえ、何も言われず引かれるままではついていけない。
「ももたちのクラス、授業変更になったから次体育なんだよ」
「え!そうなの?」
「だから早く行こう。遅刻しちゃうよ」
「ぅわっ、ちょっと待ってよ」
桃子は再び舞美の腕引く。
急なことで気が回らなかったのか、舞美は早貴を蚊帳の外にして走り出した。
………
廊下を走り抜けて、舞美はハッとする。
「もも、あたしのジャージ教室だよ」
「だい、じょうぶっ 。クラスの子に先、もって、てもらってるからっ」
「そっか。ありがとう!」
屋上からバタバタ走る二人。普通に話しかけてくる舞美に桃子は言葉を途切れさせながら返す。
こうしてる分には大して違和感はない。話が関係ないものだからか、走っているからなのか…もしかして舞美の中では全て終わりを告げてしまったのか――
桃子が考えを巡らせている間に、体育館の目前まで来ていた。
「舞美、更衣室、向かって、」
「うん!」
そして、体育館の入口をくぐる。
(――あれ?)
舞美の中に一瞬で疑問が浮かぶ。それにより立ち止まろうとする身体を桃子が力強く引く。
開いていた更衣室のドア。
桃子は引いていた舞美の後ろに回り、ブレザーを引き剥がした。
「もも!?」
「はいはい、着替えてきてー!」
舞美は更衣室へ放り込まれ、閉められたドアからは一拍置いてから『ガチン』と音がした。
嫌な予感…
すぐドアを開けようとするが、予感は的中してしまっていた。
「…開かない…」
桃子が嫌がらせやイタズラでこんなことする性格でないことは分かっている。
だからこそ、疑問は増えるばかり。
――なんで?
「……っ」
閉められたドアに両手を当てて俯く。
――誰も居なかった…
もう休み時間終了の鐘はなった。クラスの人が一人も居ないなんておかしい。
――桃子が授業の為に走るなんて、ない。
桃子はバカじゃないし抜けてるタイプでもない。急に授業が変更になったからって1つくらい問題にすらならないことだ。
――何のために…
ひとりにさせないでほしい。独りじゃないけど、一人なだけで今は辛い。特に学校の中では余計に……
――…まじないを
目を閉じる。
桃子は距離を置いて見守るタイプだと思っていた。だからこんな風に関わってきたことはまだイマイチ信じられない。
けれど今、関わってきたことが現実。
これから起きることは分かる。それでも、自分が選んだ道が最良の道だから、曲げる訳にはいかない……。
――まじないを…―
『私が
……なのは、――』
―――……イヲ…―
「ごちそうさま、なっきぃ。いつも貰ってばかりでごめんね」
「そんなことないよ!私が好きで持ってきてるんだし!」
「うん。でも大変でしょ?」
二人はいつもの様に屋上で休み時間を過ごし、次の授業のため移動しよう立ち上がる。
そこへ
―ガチャン
「もも?」
「……」
まだ少し先にあったドアが開く。
思わず名を呼ぶ舞美。ドア正面に位置していたことで桃子は舞美へとまっすぐ近づき、そのまま腕を引いて屋上から出ようとする。
「えっ?なに、ももどうしたの?」
身体に力を入れて止める。いくら屋上を出ようとしていたとはいえ、何も言われず引かれるままではついていけない。
「ももたちのクラス、授業変更になったから次体育なんだよ」
「え!そうなの?」
「だから早く行こう。遅刻しちゃうよ」
「ぅわっ、ちょっと待ってよ」
桃子は再び舞美の腕引く。
急なことで気が回らなかったのか、舞美は早貴を蚊帳の外にして走り出した。
………
廊下を走り抜けて、舞美はハッとする。
「もも、あたしのジャージ教室だよ」
「だい、じょうぶっ 。クラスの子に先、もって、てもらってるからっ」
「そっか。ありがとう!」
屋上からバタバタ走る二人。普通に話しかけてくる舞美に桃子は言葉を途切れさせながら返す。
こうしてる分には大して違和感はない。話が関係ないものだからか、走っているからなのか…もしかして舞美の中では全て終わりを告げてしまったのか――
桃子が考えを巡らせている間に、体育館の目前まで来ていた。
「舞美、更衣室、向かって、」
「うん!」
そして、体育館の入口をくぐる。
(――あれ?)
舞美の中に一瞬で疑問が浮かぶ。それにより立ち止まろうとする身体を桃子が力強く引く。
開いていた更衣室のドア。
桃子は引いていた舞美の後ろに回り、ブレザーを引き剥がした。
「もも!?」
「はいはい、着替えてきてー!」
舞美は更衣室へ放り込まれ、閉められたドアからは一拍置いてから『ガチン』と音がした。
嫌な予感…
すぐドアを開けようとするが、予感は的中してしまっていた。
「…開かない…」
桃子が嫌がらせやイタズラでこんなことする性格でないことは分かっている。
だからこそ、疑問は増えるばかり。
――なんで?
「……っ」
閉められたドアに両手を当てて俯く。
――誰も居なかった…
もう休み時間終了の鐘はなった。クラスの人が一人も居ないなんておかしい。
――桃子が授業の為に走るなんて、ない。
桃子はバカじゃないし抜けてるタイプでもない。急に授業が変更になったからって1つくらい問題にすらならないことだ。
――何のために…
ひとりにさせないでほしい。独りじゃないけど、一人なだけで今は辛い。特に学校の中では余計に……
――…まじないを
目を閉じる。
桃子は距離を置いて見守るタイプだと思っていた。だからこんな風に関わってきたことはまだイマイチ信じられない。
けれど今、関わってきたことが現実。
これから起きることは分かる。それでも、自分が選んだ道が最良の道だから、曲げる訳にはいかない……。
――まじないを…―
『私が
……なのは、――』
―――……イヲ…―