傷つけたくない。
さあ、まじないの時間だ…
毎朝の支度に新たに加わったもの、それは
まじない
・・・・・
重さの変わらない玄関の扉を、今までより力を入れて開く。塀を挟んだ先にはインターホンを鳴らそうとしている後輩の姿。
ただの後輩ではない、
自分の、
恋人。
玄関が開いたことに気づき笑顔を向けてくる。
「おはよう。舞美ちゃん」
挨拶に応えようとした瞬間、後輩の向こうに一人の少女が視界に入る。
「…っ」
途端に身体に力が入り言葉が詰まってしまう。目も、反らせない。
その異変に気づいた後輩は視線の先を追うように振り返り、少女に気づくと明らかな敵意を向ける。
しかし、少女は眼は身体に感じる敵意に臆することなくただ一点、舞美へと注がれる。
舞美も絡まった視線を外すことが出来ない。
絡まる視線。さらけ出される敵意。
舞美の頭の中で警告音が響く。同時に反復される自身へかけた『まじない』。
やっと動き出す身体。腕を伸ばし、後輩の腕を引く。続けて声を振り絞る。
「行こう。なっきぃ。」
学校へ歩き出す二人を少女は無言で見送る。遠ざかり、少女の顔が俯いた時、肩が叩かれる。
見上げた先には親友の明るい笑顔があった。
「おはよう!愛理」
「おはよ」
何処からともなく現れまっすぐな笑顔を向けてくれる栞菜に愛理は沈みかけていた笑顔を取り戻した。
next...。
毎朝の支度に新たに加わったもの、それは
まじない
・・・・・
重さの変わらない玄関の扉を、今までより力を入れて開く。塀を挟んだ先にはインターホンを鳴らそうとしている後輩の姿。
ただの後輩ではない、
自分の、
恋人。
玄関が開いたことに気づき笑顔を向けてくる。
「おはよう。舞美ちゃん」
挨拶に応えようとした瞬間、後輩の向こうに一人の少女が視界に入る。
「…っ」
途端に身体に力が入り言葉が詰まってしまう。目も、反らせない。
その異変に気づいた後輩は視線の先を追うように振り返り、少女に気づくと明らかな敵意を向ける。
しかし、少女は眼は身体に感じる敵意に臆することなくただ一点、舞美へと注がれる。
舞美も絡まった視線を外すことが出来ない。
絡まる視線。さらけ出される敵意。
舞美の頭の中で警告音が響く。同時に反復される自身へかけた『まじない』。
やっと動き出す身体。腕を伸ばし、後輩の腕を引く。続けて声を振り絞る。
「行こう。なっきぃ。」
学校へ歩き出す二人を少女は無言で見送る。遠ざかり、少女の顔が俯いた時、肩が叩かれる。
見上げた先には親友の明るい笑顔があった。
「おはよう!愛理」
「おはよ」
何処からともなく現れまっすぐな笑顔を向けてくれる栞菜に愛理は沈みかけていた笑顔を取り戻した。
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