詐欺師の姉妹
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嫌な予感というのはよく当たるものだ。
姉が振り向いてハンドサインを送ってきた。
け・い・さ・つ
いつかはこうなるとわかっていた。しかし、こんなにも早くその時が来てしまうなんて。
足がすくんで動けない私のもとに姉は音を立てずに近寄りこう言った。
「大丈夫よ、一回目ならまだ突入まではしてこないはず。鍵は掛けてあるから居留守を使えばじきに帰るわ」
「…うん」
そこからは下手に音を立てないために動くこともできず、ただじっと姉と身を寄せ合うことしかできなかった。
そのまま二十分ほど経っただろうか。もしかするともっと経っているかもしれないし、本当はもっと短いのかもしれない。
数人が家のポーチから去る気配がした。車が発進する音も聞こえ、警察達が去ったことが推測できる。
それでも警戒を解くにはまだ早い。
足音を殺して姉が再びマジックミラーを覗く。
どうやら警察はもう家の前にはいないみたいだ。
「とりあえずは乗り越えたってことかしら。でも、住所が特定されたなんて……ここに住むのは危険かもしれないわね」
「じゃあ、引っ越すってこと?」
「そうなるわね。早い方がいいわ、今夜にでもここを出るわよ。こういうときのために逃げ場は確保してあるの」
なんて手際がいいんだろう。
どこまでも完璧な姉に少しの劣等感を抱きつつ、今夜家を出るための荷造りを始めたのだった。