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仕事が早めに終わり、参謀総長に報告しに行こうと無駄に広いダアトを探す。これは骨が折れるな…。肩を落としながら歩いていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
曲がり角から顔だけ出し、姿を確認する。高めの声の主はやっぱり探していた人物で。一緒に話していたのはうちの上司だった。珍しい組み合わせに目を丸くしていると、参謀総長と視線がかち合う。
反射的にぎくりとする私を無視して、相手は手首だけを動かしてこちらを招いた。
「丁度よかった。ディストじゃわめくだけで話にならないんだ」
「はぁ……なんですか?」
「わめくとはなんです! 大体あなたが…」
「あーハイハイ。でさァ、ユウ」
歩み寄れば、さもつまらなそうに話を進める。変なイスの肘掛けに手を叩きつけている師団長はとりあえず無視らしい。
自分の上司ながら不憫だと苦笑しつつ、私は参謀総長の話に耳を傾けた。
「二人ってデキてるの?」
「……はい?」
「っシンク! 馬鹿な話は止めなさいと言っているでしょう!」
途端顔を真っ赤にして今度は両手を高く上げる師団長、もといディスト。
いまいち話の脈絡が掴めないが、実際私とディストは付き合っている。だけど、どうも彼は隠したがるのだ。悪意がないことは分かっているので、私もそれに合わせているのだが。
未だに抗議を続けるディストにいつも通りペースを合わせた。
「付き合ってませんよ。あくまで上司と部下です」
「ほ、ほら! ユウも言っているではありませんか」
「へぇ……」
やけになって否定するほど疑わしいことを知らないのだろうか。…知らないな。まあ、こういうところも含めてディストという人間なのだろう。
呆れながら横目に見ていた視線を前に向ける。すると、今まで腕組みをして煩わしそうにしていた参謀総長の口がにやりと歪んだ。
「! わっ」
嫌な予感を感じていると、意志に反して身体が前のめりになる。
遅れて胸ぐらを掴まれたと認識した時、視界が緑に染まった。同時に軽快なリップ音と柔らかい感触が、それぞれ耳と頬を襲う。
「ゴチソーサマ」
「なっ」
「シンク!!」
左頬に手を当ててただ呆然とする。当人は「じゃあね」といたずらな笑みを残し、去って行った。
去った跡を見て、本当に参謀総長は風のように気紛れだと心の中で嘆く。
「(というか、すっかり報告するタイミングを逃したなぁ)」
どこか虚ろな意識のままで考えていると、今の今までうるさくしていたディストが話しかけてきた。
「……ユウ」
「なに、」
声の方向に向き直れば、銀色が視界の右端をちらついた。
何が起きたのかは二回目ともあり、すぐに理解できた。
さっきも味わった頬と耳を襲う感覚。ひとつ違うのは離れた後の彼の顔。
余裕なく視線を泳がせる姿に、思わず噴き出してしまった。
「そんなに照れるならしなきゃいいのに」
「う、うるさいですよっ」
耳まで真っ赤に染まった顔に、私はまた笑ってしまった。