【hkok】せぶんてぃーん・ぶるーす
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
懐かしいチャイムの音で再び教室が賑わう。お昼休みということでみんなはお弁当を広げたり購買に走ったりと忙しそうにしている。
私はといえば、結局普通に学生として授業を受けてしまった。数式やら文法やら、久々すぎる言葉の羅列に頭は疲れ切っていた(唯一救いといえば、体育がなかったことぐらいだろうか)。
もう身体的にも精神的にもガス欠寸前で、へたれるように机に突っ伏した。
「ユウ! なに寝てんだよ、一緒に飯食おうぜ!」
「…へ?」
横から覗きこんできたのは隣りの席の平助君。
授業中に分からないところを教えてもらったり、雑談している内になんだか仲良くなってしまった。棚ぼたというか役得というか。
…それにしても、二次元の美少年キャラそっくりの男の子に名前呼びされるなんて、嬉しいことこの上ない。
自然とニヤけていたのか、平助君に気味悪そうな目をされてしまった。ちょっと傷付いた。
「あーもう! 腹減ったし、いい加減行くぞっ」
「ちょ、コケるって!」
痺れを切らした平助君になかば強引に腕を引っ張られる。もつれそうになる足を必死に動かして(こいつ足速すぎる…!)、辿り着いたのは屋上。
「あ…平助君!」
「よっ。待たせたな」
未だ出入り口であるドアの前で必死に息を整える私なんていざ知らず、平助君は涼しい顔で既に昼食を摂っているグループの輪に混ざる。おのれ平助…末代まで呪ってやるぞ…!
やっと息が整い、平助君が手招きするグループのもとへ歩み寄る。ぐるりとその面子を見渡せば、私はただ呆然とするしかなかった。
「…誰だ?」
「さぁ? …ていうか女の子自体珍しいよね」
「はい、この学校で女の子に会ったのなんて初めてです!」
訝しげに見てくる男子、何を考えているか分からない笑みを浮かべる男子、そして可愛らしい笑顔を向けてくる紅一点。反応はそれぞれ違うが、唯一共通するのは――
「(みんな“薄桜鬼”に出てくるキャラそっくり…?)」
平助君や土方さんだけならまだ他人の空似ということで流せた。が、ここまで顔を揃えられると…有り得ないはずなのに、本人たちと思うしかなかった。
「今日転校してきた、名字ユウだ」
「……」
「へぇ…」
「よ、よろしくお願いします!」
今思えばこの制服だってオマケ的要素でゲームの中に出てくるものじゃないか。ああ、なんで早く気付かなかった私! すっかり喜ぶタイミングを逃してしまった!
というかそれ以前に、なんで私がそんな“薄桜鬼”の世界に入っているのだろう? もしかしてまだ夢の中とか? でもさっき頬を抓ったら痛かったし、走った時も授業を受けてる時だって普段過ごす感覚そのものだった。え、じゃあこれって俗に言う“トリップ”ってことになるのか? リアルにこんなことあるんだ…!
「――名字!」
「っ! …ご、ごめん、何?」
あまりの衝撃に自分の世界に入りきってしまった。未だに突っ立ったままの私に訝しげな視線が突き刺さる、主に男子の。
「えと、よろしくお願いします」
深々と腰を折って頭を下げる。到底高校生同士の挨拶とは思えないが、目の前の男子(特に沖田さんらしき人)の雰囲気に気圧されてそうせざるを得なかった。
「ってわけだ! ほら、ユウも座れよ」
「あ…ハイ」
平助君が隣りを軽く叩き、座るよう促す。恐る恐る従えば、至近距離で視線の矢を受ける。着席して一秒も経たない内に居心地の悪さを感じたが、平助君に「じゃあ今度はこっちを紹介するな!」なんて意気揚々と切り出されれば僅かに浮かせた腰を静かに降ろした。
「ユウの隣りにいるのが、斎藤一君。二年で風紀委員だ」
「……よろしく」
「一君の隣りが、沖田総司。同じ二年、…性格わりぃのはデフォルトだから気にすん、…いってぇ!」
「まぁ一応、よろしくね」
「ったく総司…ちっとは手加減しろよな――あ。で、オレの隣りにいるのが、雪村千鶴。一年で、なんとこの学園唯一の女子だ!」
今までとは違うテンションの高さに、いちいち分かりやすいなぁと思いながらニヤける頬を隠した。というか、他二人を見たら反射的に引っ込んだ。
「なーんかその言い方気に入らないなぁ…まるで平助の彼女って言ってるみたいで」
「ああ、そうだな」
「かっ…!? 一君まで…そ、そんなつもりじゃ」
「なに照れてんの。それに別に平助じゃなくて僕の隣りでいいでしょ」
「それなら俺の向かいでもいいだろう」
「あ、あの…!」
ビリビリと火花を散らす三人に、あたふたする千鶴。
原作同様愛されてるんだなぁ、と温かい目で傍観しているとふと忙しそうに男達を抑える千鶴と目が合った。
憐れみも含んだ笑みを送れば、お返しとばかりにはにかみながらとびきり可愛い笑みを寄越す――刹那、私の中の何かが撃ち抜かれた。
「千鶴っ、これからよろしくね!」
「はい…!」
二人の間を遮る平助君を軽く押し退けて、手を握り合う。この時の私と千鶴の周りには花(ハートでも可)が舞っていたに違いない。
『新たな友達』
「……なんなのこれ。全然面白くないんだけど」
「同意だ」
「いてぇ! オレに当たんなよ二人とも!」
私はといえば、結局普通に学生として授業を受けてしまった。数式やら文法やら、久々すぎる言葉の羅列に頭は疲れ切っていた(唯一救いといえば、体育がなかったことぐらいだろうか)。
もう身体的にも精神的にもガス欠寸前で、へたれるように机に突っ伏した。
「ユウ! なに寝てんだよ、一緒に飯食おうぜ!」
「…へ?」
横から覗きこんできたのは隣りの席の平助君。
授業中に分からないところを教えてもらったり、雑談している内になんだか仲良くなってしまった。棚ぼたというか役得というか。
…それにしても、二次元の美少年キャラそっくりの男の子に名前呼びされるなんて、嬉しいことこの上ない。
自然とニヤけていたのか、平助君に気味悪そうな目をされてしまった。ちょっと傷付いた。
「あーもう! 腹減ったし、いい加減行くぞっ」
「ちょ、コケるって!」
痺れを切らした平助君になかば強引に腕を引っ張られる。もつれそうになる足を必死に動かして(こいつ足速すぎる…!)、辿り着いたのは屋上。
「あ…平助君!」
「よっ。待たせたな」
未だ出入り口であるドアの前で必死に息を整える私なんていざ知らず、平助君は涼しい顔で既に昼食を摂っているグループの輪に混ざる。おのれ平助…末代まで呪ってやるぞ…!
やっと息が整い、平助君が手招きするグループのもとへ歩み寄る。ぐるりとその面子を見渡せば、私はただ呆然とするしかなかった。
「…誰だ?」
「さぁ? …ていうか女の子自体珍しいよね」
「はい、この学校で女の子に会ったのなんて初めてです!」
訝しげに見てくる男子、何を考えているか分からない笑みを浮かべる男子、そして可愛らしい笑顔を向けてくる紅一点。反応はそれぞれ違うが、唯一共通するのは――
「(みんな“薄桜鬼”に出てくるキャラそっくり…?)」
平助君や土方さんだけならまだ他人の空似ということで流せた。が、ここまで顔を揃えられると…有り得ないはずなのに、本人たちと思うしかなかった。
「今日転校してきた、名字ユウだ」
「……」
「へぇ…」
「よ、よろしくお願いします!」
今思えばこの制服だってオマケ的要素でゲームの中に出てくるものじゃないか。ああ、なんで早く気付かなかった私! すっかり喜ぶタイミングを逃してしまった!
というかそれ以前に、なんで私がそんな“薄桜鬼”の世界に入っているのだろう? もしかしてまだ夢の中とか? でもさっき頬を抓ったら痛かったし、走った時も授業を受けてる時だって普段過ごす感覚そのものだった。え、じゃあこれって俗に言う“トリップ”ってことになるのか? リアルにこんなことあるんだ…!
「――名字!」
「っ! …ご、ごめん、何?」
あまりの衝撃に自分の世界に入りきってしまった。未だに突っ立ったままの私に訝しげな視線が突き刺さる、主に男子の。
「えと、よろしくお願いします」
深々と腰を折って頭を下げる。到底高校生同士の挨拶とは思えないが、目の前の男子(特に沖田さんらしき人)の雰囲気に気圧されてそうせざるを得なかった。
「ってわけだ! ほら、ユウも座れよ」
「あ…ハイ」
平助君が隣りを軽く叩き、座るよう促す。恐る恐る従えば、至近距離で視線の矢を受ける。着席して一秒も経たない内に居心地の悪さを感じたが、平助君に「じゃあ今度はこっちを紹介するな!」なんて意気揚々と切り出されれば僅かに浮かせた腰を静かに降ろした。
「ユウの隣りにいるのが、斎藤一君。二年で風紀委員だ」
「……よろしく」
「一君の隣りが、沖田総司。同じ二年、…性格わりぃのはデフォルトだから気にすん、…いってぇ!」
「まぁ一応、よろしくね」
「ったく総司…ちっとは手加減しろよな――あ。で、オレの隣りにいるのが、雪村千鶴。一年で、なんとこの学園唯一の女子だ!」
今までとは違うテンションの高さに、いちいち分かりやすいなぁと思いながらニヤける頬を隠した。というか、他二人を見たら反射的に引っ込んだ。
「なーんかその言い方気に入らないなぁ…まるで平助の彼女って言ってるみたいで」
「ああ、そうだな」
「かっ…!? 一君まで…そ、そんなつもりじゃ」
「なに照れてんの。それに別に平助じゃなくて僕の隣りでいいでしょ」
「それなら俺の向かいでもいいだろう」
「あ、あの…!」
ビリビリと火花を散らす三人に、あたふたする千鶴。
原作同様愛されてるんだなぁ、と温かい目で傍観しているとふと忙しそうに男達を抑える千鶴と目が合った。
憐れみも含んだ笑みを送れば、お返しとばかりにはにかみながらとびきり可愛い笑みを寄越す――刹那、私の中の何かが撃ち抜かれた。
「千鶴っ、これからよろしくね!」
「はい…!」
二人の間を遮る平助君を軽く押し退けて、手を握り合う。この時の私と千鶴の周りには花(ハートでも可)が舞っていたに違いない。
『新たな友達』
「……なんなのこれ。全然面白くないんだけど」
「同意だ」
「いてぇ! オレに当たんなよ二人とも!」