【hkok】せぶんてぃーん・ぶるーす
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ここは恐らく夢の中。特有のふわふわした感覚に身を委ねていると、遠くから叫び声にも似た呼び声が聞こえてきた。
「――っ!」
ああ、まだ出勤時間には早いよ。もう少しいい夢を見せておくれ。
浮上しかけた意識をなんとか沈めようとするが、頭に繰り返し反響する声がそれをよしとしない。そればかりかどんどん大きさを増してる気が、
「おい!」
「! っはい!?」
突如近くで聞こえた怒鳴り声と机を叩く音。私は吸い込まれるように意識を取り戻した。
まずい、上司の前で居眠りぶっこいちゃったか…! 反射的にぴんと背筋が伸びる。
しかし目の前にいるのは怒りにわななく上司――ではなく。
「え…?」
何故か自分を好奇に満ちた目で見てくる“学生”たちだった。
……ちょっと待て、私は寝ぼけ過ぎて出勤する場所すら間違え、その上仕事着と制服も間違えたのか(というかこんな制服持ってたっけ?)。だとしたらもうこれはドジっ子の域を越えて、ぜひ病院に行くことをおすすめしたい。
自分が置かれた状況を処理できず瞬きをすることも忘れていた。そんな私を現実に引き戻したのは夢の中でも聞こえた声だった。
「おい、お前。上がるのも仕方ねぇが…自己紹介しなきゃ先が進まねぇんだよ」
再び荒げられた声に思わず回れ右をすれば、そこにいたのはイライラした様子で机に片手をついた男の人だった。
眉間に濃い皺を刻んでいるものの、顔立ちは怖いほど綺麗に整っていて、こんな人は見たことがない…はずなのに、何故かどこかで見たことがある感じがした。
矛盾したこのもやもやを解消しようと見つめていたら、何見てやがるとでも言いたげな目付きで「自己紹介」と急かされた。
「え、あ、… 名字ユウです…?」
よく分からないまま名前を言うと、あちこちから拍手と共に「よろしくー!」などといった明らかに私を歓迎するような声が飛び交った。
なにが“よろしく”?
それともこれはまだ夢なのか。さり気なく頬を抓ってみたが、ちゃんと涙目になるくらい痛かった。
「名字の席はあそこだ」
「え…?」
指差す先を見れば窓際一番後ろの席が空いていた。静まり返る教室に、早く座れと目で言うその人。私は様々な疑問を渦巻かせながら着席した。
悶々としている私を尻目に周りの時間は進んでいて、気付いた頃には先生はいなくなっていて。がやがやと学生の賑やかな話し声がこの空間を満たしていた。
その中でぽつんと取り残される、私。
行き場のない視線を窓に向けると、はらはらと風に揺れ散りゆく桜が下に見えた。
うっとりとそれに目を奪われたのも束の間、よく目を凝らしてみれば――予想より遥かに幼い顔立ちの私がいた。
まるで高校時代の自分にそっくりで、思わず顔を鷲掴みする勢いで触れた。いくら化粧のりがいい日でもこんなに若返るなんて有り得ない。
周りから見たら自分の顔をまじまじと見るなんてナルシスト以外の何物でもないが、今はそれどころじゃあなかった。
「なぁ! えっと… 名字さん?」
「…はい?」
かじりつくように見ていた窓から声の聞こえた方に目を移せば、どこか緊張した面持ちの男の子が隣りに座っていた。
あの先生と同じ、どこかで見たことがあるのは気のせいだろうか。
「お、オレ、藤堂平助って言うんだ。よろしく」
「……。へ、いすけ…君?」
「ああ! これからよろしくな」
歯を見せて笑う姿に、ゲームで見た同じ名前をしたキャラクターと目の前の彼が被った。
そういえばあの先生も“土方歳三”そっくりだったんだ――ずっと喉に引掛かっていた魚の骨が取れたような、そんなすっきり感が胸を抜けた。
世の中には二次元の人物でもこんなにそっくりな人がいるものなのかと、この時の私は妙に感心してしまったものだ。
「――っ!」
ああ、まだ出勤時間には早いよ。もう少しいい夢を見せておくれ。
浮上しかけた意識をなんとか沈めようとするが、頭に繰り返し反響する声がそれをよしとしない。そればかりかどんどん大きさを増してる気が、
「おい!」
「! っはい!?」
突如近くで聞こえた怒鳴り声と机を叩く音。私は吸い込まれるように意識を取り戻した。
まずい、上司の前で居眠りぶっこいちゃったか…! 反射的にぴんと背筋が伸びる。
しかし目の前にいるのは怒りにわななく上司――ではなく。
「え…?」
何故か自分を好奇に満ちた目で見てくる“学生”たちだった。
……ちょっと待て、私は寝ぼけ過ぎて出勤する場所すら間違え、その上仕事着と制服も間違えたのか(というかこんな制服持ってたっけ?)。だとしたらもうこれはドジっ子の域を越えて、ぜひ病院に行くことをおすすめしたい。
自分が置かれた状況を処理できず瞬きをすることも忘れていた。そんな私を現実に引き戻したのは夢の中でも聞こえた声だった。
「おい、お前。上がるのも仕方ねぇが…自己紹介しなきゃ先が進まねぇんだよ」
再び荒げられた声に思わず回れ右をすれば、そこにいたのはイライラした様子で机に片手をついた男の人だった。
眉間に濃い皺を刻んでいるものの、顔立ちは怖いほど綺麗に整っていて、こんな人は見たことがない…はずなのに、何故かどこかで見たことがある感じがした。
矛盾したこのもやもやを解消しようと見つめていたら、何見てやがるとでも言いたげな目付きで「自己紹介」と急かされた。
「え、あ、… 名字ユウです…?」
よく分からないまま名前を言うと、あちこちから拍手と共に「よろしくー!」などといった明らかに私を歓迎するような声が飛び交った。
なにが“よろしく”?
それともこれはまだ夢なのか。さり気なく頬を抓ってみたが、ちゃんと涙目になるくらい痛かった。
「名字の席はあそこだ」
「え…?」
指差す先を見れば窓際一番後ろの席が空いていた。静まり返る教室に、早く座れと目で言うその人。私は様々な疑問を渦巻かせながら着席した。
悶々としている私を尻目に周りの時間は進んでいて、気付いた頃には先生はいなくなっていて。がやがやと学生の賑やかな話し声がこの空間を満たしていた。
その中でぽつんと取り残される、私。
行き場のない視線を窓に向けると、はらはらと風に揺れ散りゆく桜が下に見えた。
うっとりとそれに目を奪われたのも束の間、よく目を凝らしてみれば――予想より遥かに幼い顔立ちの私がいた。
まるで高校時代の自分にそっくりで、思わず顔を鷲掴みする勢いで触れた。いくら化粧のりがいい日でもこんなに若返るなんて有り得ない。
周りから見たら自分の顔をまじまじと見るなんてナルシスト以外の何物でもないが、今はそれどころじゃあなかった。
「なぁ! えっと… 名字さん?」
「…はい?」
かじりつくように見ていた窓から声の聞こえた方に目を移せば、どこか緊張した面持ちの男の子が隣りに座っていた。
あの先生と同じ、どこかで見たことがあるのは気のせいだろうか。
「お、オレ、藤堂平助って言うんだ。よろしく」
「……。へ、いすけ…君?」
「ああ! これからよろしくな」
歯を見せて笑う姿に、ゲームで見た同じ名前をしたキャラクターと目の前の彼が被った。
そういえばあの先生も“土方歳三”そっくりだったんだ――ずっと喉に引掛かっていた魚の骨が取れたような、そんなすっきり感が胸を抜けた。
世の中には二次元の人物でもこんなにそっくりな人がいるものなのかと、この時の私は妙に感心してしまったものだ。