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知ったかぶり

【風邪に効く薬草について】



アニメの19期・同室だからの段に出てきた、風邪に効く薬草っぽいと思える薬草を見つけてから思い付いた話し。




以下、伊作と留三郎と年下のくノたまの小ネタ。



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こんな事になるだろうと予感はあったのだ。


あの時、流れてくるカゴを見かけた時から・・・。


私は呆れた顔つきのまま入り口で桶を片手に仁王立ちしている。


「何をやってるんですか、伊作先輩に留先輩。」


目線の先には風邪をひいて顔を真っ赤にした先輩二人が、仏像を彫っている最中であった。


「あっこれは、その……。」


伊作先輩は言い淀みながら視線を外す。
同じく留先輩もばつが悪そうだ。


「今日ぐらいちゃんと寝てて下さいって新野先生が言ってましたよね!。」

そう言って先輩二人を睨みつつ、桶の中の手拭いを絞る。
まずは乱太郎の額から温くなった手拭いを新しいのに取り替えた。

騒がしい室内にも関わらず、乱太郎は熱の為かぐっすりと寝入っているようだ。


「伊作先輩が保健委員思いなのは良いですが、たまには自分を大切にして下さい。」

次に、二枚目の手拭いを伊作先輩に差し出す。

伊作先輩は他人に対しては凄く敏感なのに自分に対しては物凄く大雑把だ。だから、ほっとくと風邪を悪化させたりするので、微熱でも侮れない。


「留先輩も珍しく風邪をひいてるんですから、ちゃんと寝てて下さい。明日の用具委員会に参加出来なくなっちゃいますよ。」

冷たい井戸水の入った桶から三枚目の手拭いを絞り留先輩に手渡す。

受けとりつつ、ムスッとした表情の留先輩は、多分少し拗ねているのだろう。

留先輩は最近よく不運に巻き込まれいるので、ついつい留先輩も私の小言の被害を受けている。
だから少し不機嫌そうな表情なのかもしれない。


「あっ、そうそう。」

先輩達が渋々仏像を片付けている間に、入り口に置いていたあるモノを思い出す。
戸を開けるのに置いたままになっていたのだ。

薬湯が冷めてるからもう一度温めないと。

伊作先輩の私物をちゃっかり拝借して急須の中に薬湯をいれて温め直す。


「ねぇ、そのお茶、もしかして・・・。」


伊作先輩の言葉に私はコクンと頷いた。


「アキノキリンソウです。お二人とも喉、鼻にきているようなので。」


そう答えれば、先輩達は目を丸くして驚いていた。

この薬草は先輩達が採りそこなったモノだったから。



+++

そもそも、私はくノたまであるにも関わらず、何故忍たまの人達と親しいのかと言えば、私も不運体質なのだ。

私の場合、穴に落ちるとか物が飛んで来るとかの不運ではない。


目の前に不運が転がって来るとゆう不運体質なのである。

不運=保健委員のメンバーで、私の通り道や行き先には、穴に落ちた保健委員や何か飛んで来た物に当りぶっ倒れてる保健委員又は怪我人などが居たりするのだ。

ある意味、私も留先輩のような巻き込まれ不運なのだろう。

その為、忍たま主に保健委員と仲が良い。

しかし、そんな私も普段はくノたまの友達と一緒にいる事が多い。
あの時も、くノたまの友人達と川辺で遊んでいた。


「ねぇ、見て見て。何か流れてるよ。」

友人の一人に声をかけられ、川を見ると黄色い花が次々に流れてくる。

私は其を見て、気づいてしまった。

あの小さな黄色い花は薬草だ。


アキノキリンソウ。
夏の終わりから秋にかけて花が咲き。
風邪、特に喉や鼻の炎症に効果があり。
確か、日当たりのよい山野に生える多年草。


日当たり・・・。思わず川の上流に視線を向けた。


この先の崖にアキノキリンソウが大量に群生していたはずだ。


そして、水面に再び視線を戻すと黄色い花だけでなく、見覚えのある竹カゴが二つ流れて来る。


「このカゴ、保健って書いてあるんだけど………。」

私の不運体質をよく知る友人が苦笑いしていた。


多分、彼らは崖っぷちに生えている薬草を採ってて落ちたんだろう。

そんな想像が頭に浮かび、私も苦笑した。



+++



「先輩達って、倦怠感は強くないですか?。あと、冷え性だったり…なんて事はあるわけないですね。」


沸いた薬湯を湯飲みに注ぎながら聞くと伊作先輩に頭を撫でられた。


「飲む人の注意点までちゃんと覚えてるね。偉いよ。キミは、本当にいい子だね。」

どうやら先輩に密かに薬草について勉強してるのがばれたようだ。

保健委員と関わるようになってから応急処置や薬学に興味が出たので、時間があると調べたりしていた。


「こ、こぼれちゃいますから。そんな撫でないで下さいよ。」

片手に急須、もう片方に湯飲みを持ってた状態では、先輩の手を阻止できない。


「折角、淹れてくれたのに飲めなくなるぞ。」

そう言って、留先輩が注意してくれた。


「でも、留さんもそう思うでしょう。」

伊作先輩はニコニコしながら留先輩の方に向く。


「っーか。俺らを心配して来てくれた時点で、いい子だよ。こいつは…。」


「そうだねー。」


なんて事を言う先輩達のせいで、私の体温は一気に急上昇する。

きっと今、顔や耳まで真っ赤だ。


今淹れた薬湯は、身体を冷やして炎症をとる効能があるらしい。


私は思わず、風邪でもないのに慌ててアキノキリンソウを煎じた薬湯を飲み干した。


その効能、今すぐ私に効いて欲しい!!。












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アキノキリンソウ
生薬名:亜州一枝黄花(アシュウイッシコウカ)
(一枝黄花はミヤマアキノキリンソウの事。同じように使用される。)
地方名:アワダチソウまたはトラノシッポ

キク科・日当たりのよい山野に生える多年草。

開花期:8月~10月。

使用方法:秋の開花期に刈り取って天日乾燥したものを煎じて飲む。

薬効:扁桃腺炎・咽痛・慢性腎炎

注意点:冷え性で倦怠感の強い人は決して服用してはいけない。
妊婦は服用しない。


簡単にまとめるとこんな感じの薬草です。

黄色い花がアニメのとよく似てるなぁと思い付きました。


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小ネタ裏設定。

主人公は四年か五年ぐらいのくノたま。

自らの不運体質で気がつけば保健委員の保護者的存在に。
(怪我とか救出とかで保健委員を助ける事が多い。)

留三郎は主人公に惚れてたら面白いと思う。
彼が拗ねていたのは、主人公の優先順位が自分は三番目だったから。
と密かに設定があったりします。




ここまでお読み下さり、ありがとうございました。




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