失恋のお話 1
最後に行ったのは家の近くのラーメン屋だったかな?
それももうかなり前だ。
カウンターで並んで食べながら、
後ろのテーブルのサラリーマンの会話に聞き耳立ててたっけ。
結構なトーンで『口説きます』とか言っていて。
上手くいって欲しいねぇなんて自分たちも微笑ましく
様子を伺っていた。
あの二人はあの後恋人になったのかな?……
自分たちにもそんなドキドキするような頃があったっけ。
出会いはよく行ってた店、だったけど
最初は普通の男友達みたいな感じで。
けど会ってるうちお互い意識するようになって。
自然とカラダの関係になったら、より好きになって。
最近、ドキドキしてるっけ?
まだ付き合って2年も経ってないし、
2人ともまだそう歳をとってる訳でもないし。
一緒に生活を共にするパートナーだからこんなもんかな
ってあまり考えないようにしてたけど、
そういや店のママ(マスター?)は恋人ともう30年も付き合っていて
けど行くたびノロケ話を聞かされてたから、
きっと今もラブラブなんだろうな。
自分たちは『ラブラブ』なんて言えるのかな?
恋人が残業続きで遅いのは確かに寂しかった。
けど居なければ気を遣う必要もないし、
楽だなって思う部分もあった。
さっき女性といる光景を見て、普通なら
誰でどういう関係なのか? って気にしたり
怒って問いただしてもいいのだろうけど
全く相手の事は気にならなかった。
強いていえば、『残業で遅くなる』って
嘘をつかれたのが少し気になるくらい。
それも少しだけ。問いただす気にもならない。