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失恋のお話 1


お互いにそれぞれの部屋が欲しいってなって、
小さいけど2LDKのマンションに住むことにしたから、
そういう雰囲気にならない限り、いつも寝室は別だった。
最初からムードが高まって、どちらかの部屋で寝る事もあれば、
別々に寝たのに夜中に急に寝込みを襲われることもあったり。
……けど、最後に一緒に寝たの、いつだったかな……
思い出すのも大変なくらい、随分経ってしまった。

翌朝起きたらもう出た後で、メモだけ残されていた。
『おはよう!朝イチで会議なの忘れてた。先に出るね。』
……ゴミは出してってくれたんだ。
けど冷蔵庫には昨夜作った食事がそのまま残っていた。
ゴミなんてほっといていいから、一口でも食べて欲しかったな……
自分ももう食欲も無くなって、ゴミ箱に捨てた。


月末が近づき、今日は自分も帰りが遅くなった。
とはいえまだ7時半、会社を出て歩きながら
食べて帰ろうか、買って帰ろうか考えていた。
恋人からは遅くなるから食事はいらないと連絡はあった。
「あ……」
駅の近くのカフェ兼レストランのような店の窓際に
恋人の姿を見つけた。
一緒にいるのは若そうな女性。笑顔で会話してる。
「そういや同じプロジェクトの子、って……
女の子の『子』だったのかな……」
ちょっとだけ引っかかってたワードがはまった気がして、
変に納得がいった。

外で一緒に食事する時だって、
こんなオシャレな店に2人で入ったことなんて無かった。
いつも牛丼屋とかラーメン屋とか。
お互い好みも合うから特に不満も何も無かったけど。
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