失恋のお話 2
1杯だけ呑んで帰ろうとカウンター席に座った。
ママは相変わらず恋人の惚気話をする。
ママ「アタシはね?なーんでもそのまんま出しちゃうの(笑)
『今日は疲れたから何にもしたくなーい!』とかー、
ハグして〜とか、チューして〜とかね。
時々怒られるけど結局は許して甘えさせてくれるのよね?
そういう人だってもう信頼しきっちゃってるし!」
「ママの老後はもう安心だね(笑)」
自分たちは普通のことならよく話した。
仕事や趣味や食の好みや色々。友達としてなら普通に。
けど『恋人として』となると……
『俺のこと、好き?』って、
そんな普通のことすら聞いたことも無かった。
照れくさいのもあるし、不安もあって……
自分がもっと余裕持って接していられたら、違ったのかな?
相手もさらけ出しやすいように、甘えやすいように
もっと自分がどうにかできていたら……
何度となく頭で繰り返してきた後悔をも思い出して
辛くなりそうだったから
帰ろうと立ち上がって財布を出した。
「ママ、また来るね?」
次来られるのはいつだろう?と心の中で苦笑した。
カウンターに綺麗に飾られた花を見たら気持ちも和んで、
よし、と気合いを入れた。
もし再会できる日が来て、話を聞いて貰えるのなら
言えなかった事、本当はこう思ってたんだって
いつか笑って話せたらいいな。
楽しかった事も辛かった事もいい思い出だねって笑って……
まだ当分笑えそうもないけど(笑)
けど、いつかは……