身体の回復と共に少し落ち着いた頃、
2つのベッドは処分して、広めのワンルームへ引っ越した。
ベッド以外の元恋人が使ってた物は捨てられず、そのまま運んだ。
住む場所が変わっても、
もし戻ってきてくれたらまたすぐ一緒に暮らせる。
……戻ってきてくれるわけないのに、情けない。
ベッドも本当は念願だったダブルにした。
……広いベッドに一人で寝ても寂しいだけなのに。
けど、どう足掻いても好きな気持ちは消えないのだから、
無理に忘れようとするのはやめた。

仕事帰りにジムに通うようにした。
同僚や友達と食事に行く時以外、家では酒は一切呑まなくなった。
助けてくれた人のおかげで体調回復できたのに
店には全然行ってなかった。
あの店は別れた恋人と出会った場所で、思い出もあったから。
行けばもしかしたら偶然会えるかもしれないけど
そう考えたら怖くなって、余計に行きづらくなった。

でも万が一街で偶然バッタリ会ったとしても
恥ずかしくないようにしたくて、
運動して食事もちゃんととって、体力もつけていたら体重も戻った。

……元気でいるから、どうか元気でいて。
誰と居てもいいから、元気で……