失恋のお話 2
このまま会わないまま終わりにも出来るんだろうけど
それはしたくなかった。
何を言われて傷ついたとしても、
最後に大好きな恋人の顔が見たい。会いたい……
珍しく定時で仕事が終わった日、恋人の会社に向かい
近くで出てくるのを待った。
冷静に落ち着いて話さなきゃ。
未練たらたらにみっともなく縋るようなマネはしたくない。
最後までカッコつけていたい。
なのに、「今日までありがとう」なんて言われたら
最後の最後に少しだけ本音が出て、涙も出てきたから
振り返らずに立ち去った。
その日また枯れ果てるほど泣いて、
訳わかんなくなるほど酒を呑んだ。
人生初の大失恋に、大打撃をくらって
「アナタ無しでどうやって生きればいいの」なんて
演歌か何かで聞いたようなセリフがピッタリ合うくらい、
辛くて辛すぎて、どうしていいか解らなかった。
もう翌日からは泣かなくなったけど、
別れた恋人との事をあれこれ思い返しては後悔してばかりだった。
悔しくなったり自分に腹を立てたり。
毎日呑まないと眠れなくなり、
眠くなるまで呑み続けるから酒の量も相当だった。
酔っては別れた恋人の使ってたベッドに寝っ転がり
まだ残る匂いを感じながら眠った。
残してった歯ブラシも捨てられなくて、
このままここにいれば、もしかしたら帰ってきてくれるかもなんて
未練だらけで、他に何も考えられない程だった。
匂いも痕跡も段々と消えていくのが悲しかった。
流石に仕事に支障きたす程では無かったけれど
ろくに飯も食べずに、夜は酒を飲んでいたからか
身体はどんどん痩せてしまい、
別れて1年経つ頃、とうとうぶっ倒れた。
誰から聞きつけたのか知らないけど
よく行ってた店で働いてた子(?)が看病に来てくれて、
回復してからも暫く毎日のように来ては
食事を作ってくれて、酒を呑もうとする自分を止めてくれた。
「もう家で呑むのは禁止よ?
呑みたくなった時はうちの店でだけ。わかった?」
「解ったよ。ありがとう。
もう大丈夫、明日からちゃんと自分で飯作って食べるし
健康管理もするから。助かったよ、感謝してる。」
「アタシはずーっとここに居ても良かったんだけど?(笑)」
「ゴメンね?(笑) 今度店に顔出すから。ママにも会いたいし。」
「うん。ママも喜ぶよ。伝えとく!」