暴露大会とその相手は…
「それじゃあ、今回の主役がまだ来てねぇけど〜先に…プロヒーローになってからのA組の慰労会にかんぱーいっ!!!!!」
『かんぱーーーーーーーーいっ!』
今日は卒業後アメリカに飛びやがったどこかの馬鹿が帰国するって連絡が入った為のお祝いも兼ねた元クラスメート共の飲み会だ。
基本的にヒーロー科はクラス替えがねぇからご都合主義ってやつだが俺らは誰一人欠けることなくA組で卒業してプロヒーローとして全員活躍中である。
皆それぞれの考えてた事務所に入所し、俺に至っては有言実行というものであり卒業直ぐに大学とヒーロー両立し経営学学んで20歳までのたった2年で事務所立ち上げて切島と上鳴と瀬呂を引き抜いて活動してる。
文句も言わずに俺ん所来た3人には、まぁ感謝してやらんこともないっと考えながら時を過ごしてきた。んで、今年で23になろうとしてる俺にというか、雄英高校ヒーロー科A組のグループトークに珍しく連絡がはいった。
その内容を確認し、皆がこの飲み会をセッティングした。
『日本に!僕が来るっ!』
そのトークに皆が反応し既読をつけたが、その後から奴からの反応は無く、飲み会の話がまとまった後に「皆ありがとう!帰国して、荷物預けたら向かうね」のメッセージと共に帰国日を確認し全員が休暇をとって参加したのだ。 それが今日だ。主役は遅れてくるもんなのだっといいつつ「ごめんねっ!帰国した後の書類だけ終わらせてこないとっ!」のグループトークが入った為に先に始めようということになった。んで、今…この状況だ。
そんな主役も登場してない数分に1人の男が爆弾を落としてきやがった。
「俺さ、今だから言えるんだけどさぁ…」
ポツっとまだ酔ってはいないものの、主役が来る前に吐き出そうかと過去の暴露大会をしていいか?っとお伺いも立てずに喋りだしたアホ面に周りは黙って聞いてやる体勢にはいる。
「…切島には悪いけどさ、俺…おれぇ…高校ん時、緑谷の事好きだった」
そんな爆弾を投下してくるもんだから、恋バナに抜け目ない女子の奴らも耳をダンボにしながら近寄ってきた。 こんな事から始まった俺らA組の飲み会での暴露大会だった。
俺、爆豪勝己は悟った、主役が居ないからこそできた曝露だなっと。
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「初めて緑谷見た時はさ、マジでもっさいやつだし、爆豪に殺されそうだしでめちゃくちゃ関わりたくなかった…でも、でもよぉ、1番さ…傍に居たら癒される奴だったんだよなぁ」
「それわかるわ〜、なんつーか癒し系だったよな!」
「瀬呂と電気がいうのもわかる気がすんな、てか謝る必要ねぇだろ? 俺もお前らに言ってねぇけど、高校ん時は緑谷好きだったし」
「初耳!! しかもさりげなく彼氏アピすんなよ切島、名前呼びとかおまっw」
「え? だってよぉ、皆そうじゃね? 女子も男子も一部は別としても大体が緑谷好きだったろ? なぁ、麗日!」
「えっ!? う、うちに聞くん!?」
「麗日も好きだったから、アイツに思い寄せてるやつ大体気づいてただろーしな」
「うぐっ、まぁ…多分大半は皆…デクくんと思っとる」
「ほらな〜」っと盛り上がる会話に中学の頃を思い出せば俺なんか輪に入れることも出来ねぇくらいの頃だなっと口端をあげて冷めた笑いを零してしまう。 今ではこうやってこいつらとこんな曝露できんのも確かに平和の象徴を受け継いだヒーロー様のおかげかもなっとまだ現れない外国のヒーロー様を思い出した。 その会話は終わることなく俺も交え話は広がっていった。
今、アイツが此処に居たらきっと…真っ赤になって皆にお礼言ってんのかもなっと少し思い出してしまった。今さら…昔を思い出しても仕方ねぇのにっとあの日最後に笑いかけた卒業式のお前に俺は…っと1口酒を口にしてから周囲の話を黙って聞いていた。
「緑谷ってさ、ほら? なんつーか、存在が癒しだったからさぁ〜ついつい甘えたくなる時あんじゃん?」
「あるある、あと…絶対助けに来てくれるって思っちまうんだよな」
「爆豪が攫われた時なんかさ…あ〜幼なじみなんだなぁとか思ったし…いつもはあんなに爆豪に爆破されてたり睨まれてたりすんのに、心配すっげぇする」
「あと、人の悩みにすっげぇズカズカと入ってきては壁ぶち壊してくよな…初めて戦った時思った…」
「わかるぞっ!俺も路地裏で戦ったあの時の君と緑谷くんには凄いお節介だなと感じたしな」
「ヒーローはお節介が付き物なんだからしゃーねぇだろーが」
1人1人がデクとの思い出を語りつつ、話に花を咲かせていく。 既に30分は経っているが主役は現れずに話は進んでいく。 その時に丸顔と耳が傍に寄ってきてなにやら話し始めた。
「でも、意外だったよね…まさか上鳴と切島とか」
「うちも!絶対切島くんは爆豪くんか芦戸さんかと思ったし!」
「あっ、あ〜確かに高校入学するまではそうかもな、俺アイツに憧れてたし…でもよ、実際入ってみたら色んな事あってよ…もち、爆豪も好きだけどあいつはなんつーか、そういう目で見れるような奴じゃなかったんだよなぁ。かっけぇってか。」
「デクくんなら良かったん?」
「あー…緑谷はな、んー…んん、こういっちゃなんだけど、助けに来てくれるとは思うし信じてっけど、ほら? 守ってもやりたくなる?つーの?」
「おぉ、わかるわかる! 絶対頼ったら助けに来てくれるだろうし見捨てないだろうけどさ、危ういとこあるもんな!だから、一緒に戦って守ってやりたくなる」
「あー、あ〜わかる気が…」
「その気持ちはワタシもわかるわ。彼、とっても素敵だけど…少し心配もするもの」
「梅雨ちゃんがそういうんならそうなんかも…? で、デクくんはでもすっごく頼りにはなるんよ!ホンマに!」
「頼りにならないとは言わねーけど、緑谷以外なら俺は…こいつだったんだよなぁ、守ってやりてぇってなったの」
「…っ」
「顔が真っ赤だぞアホ面、いつもよりアホ面じゃねーか」
「うっせぇよ黙れよ爆豪!」
「てか、俺はさ待てなかったんだよきっと…緑谷が外国行ってさ、既に5年じゃんか…その間にこっちの活動で色々あって、チャージズマとセロハンとダイナマイトと一緒に行動しててさ…」
「大爆殺神が抜けてんぞクソ髪」
「それでさ…わかっちまったんだよ」
「おい、聞けや…」
「久しぶりに会った時、あー俺の欲しかったのコイツかもってさ」
グイッとクソ髪がアホ面の肩を掴んで引っ張るとまだ酔ってはいねぇはずなのに密着して真っ赤な顔のアホ面の頬にキスしてやがった。くっそ、見せつけやがってっとイライラしつつ酒を飲み干す。 1時間は経過したのだが、主役はまだ来ねぇときた。帰ってきたんだから一目は相手を見て帰りたいと思うのも仕方ねぇと思う、なんせ久しぶりの顔合わせなのだからっとビールを追加して頼みながら、アホ面とクソ髪の指を見た。
俺の視線に気づいたのか、丸顔と黒目がニヤニヤと笑ってきやがる。
「あっれー?爆豪〜もしかして2人の指輪気になんの?」
「ちっげぇわっ!! 黙って飲んどけクソがっ!」
「意外やんね〜てか、意外というならもう一個ある!轟くんと飯田くん!こっちも意外やった! ウチは2人ともデクくんかと思っとったし!」
いきなり話を振られた半分とメガネは隣同士で座りながら酒を飲む手を止めて、丸顔を見つめて口を開いた。
何を言うんだろうなっと周りはドキドキして聞く体勢まんまんな姿に俺はまた「くだんねー」っと目の前の酒を1口飲んだ。
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