お題メーカーにお借りしました!
「かっちゃん!デートしよう!」
「あ?」
ブシっと飲んでた牛乳パックを握りつぶしたかっちゃんのストローから牛乳が飛び出た音がした。
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「おい、デートじゃねぇんかよ…」
「デートだよ?」
「デートってのは2人でするもんだろぉがァァァァァァ!」
「わわ、落ち着いてよかっちゃんー!仕方ないじゃん、あの時僕が誘ったら断って別のやつと行けって言ったのかっちゃんじゃん」
「だからって、クラス全員で行くのはちげぇだろ」
「話聞いてた芦戸さん達がクラス中集めたんだもん仕方ないじゃん…」
某日、俺はクソナードに誘われ、ガキ共の遊び場であるゲーセンに来ていた。 中学の頃はクソナード以外と結構行ってたけど、高校は勉強、訓練などに追われ久しく行ってなかったのを思い出す。
あん時は、高校を入る前の評価を落とさないようにダチを見張るために行っていたが、今回はそんな奴らも居ねぇし単に楽しめるだろうと強制参加で集まることになった。
今、隣にいるクソナードこと【デク】は俺の恋人で、やはり時が経つと関係も変わってくる。 2年の進級前に姿を消して、やっと俺の元に戻ってきた。
二度と失いたくねぇし離したくねぇっとアイツに告げて、思いを言い合って通じあえて今に至る。 そして、色んな
そんな平和が戻りつつの2年へ進級した俺とアイツの久々の休日へのお誘いがコレだった。
「欲しいものあったか、緑谷?」
「あ、轟くん! うん、これ大爆殺神ダイナマイトの新たな挑戦フィギュアだよー」
「これ、爆豪…じゃなくてダイナマイトが死柄木と戦った時のサポート科の…」
「あの時の爆ご、じゃなくてダイナマイトはかっこよかったよなぁー」
「最初に入学してきた頃とは大違いでしたわ」
「ホンマそれ! 今じゃデクくんと恋仲なんよー信じられんわ」
「幼馴染つよ〜!」
大爆殺神ダイナマイトのフィギュアを抱きしめながら皆に囲まれているあいつは、今や学生なのに2代目の【平和の象徴】としてその身を世間に認めさせていた。 なにもかもあいつのが上で腹立つ時もあったが、あの温もりが傍にある事を考えたら、いつかおい抜けばいいかっとなってしまう。 学生なのに平和を背負うこいつを支えてやれる男にまずはなろうっと輪の中にいるアイツを引っ張りスタスタと歩いていく。
「か、かっちゃ…ん? どこに…」
「ん…」
「わぁ、でっかい食パンだぁぁぁぁぁ!」
「これ、取るぞ」
「取るぞって…そんな簡単に」
「俺に出来ねぇことはねぇ」
「確かに…でも、なんで…?」
「あ? お前、よく俺の部屋で転寝すんだろ、身体痛めねぇように抱きつく物用意しといてやるって言っとんだわ」
「ふぁ、あう…あうぅ…」
真っ赤になるデクの頭をわしゃわしゃしてやってから両替してUFOキャッチャーに戻る。 あいつは見本の食パンクッションに顔をあててふにゃふにゃ〜とした顔で居たので「ムラッ」としたのを隠すように写メを撮って携帯を直した。 学校卒業と同時に同棲を始めて、その部屋にはあのクッション置こうなどと考えつつムラムラする気持ちを抑えながら彼の横に立った。
「あ、かっちゃん!見てみて!ほらぁ、サンドイッチぃー」
「…っ」
見本の食パンを少し折りたたみながら自分の頬をふにぃっと埋めてるアイツの姿にキュンってなった。 クソかわかよこいつはっと「ぜってぇ、取り殺したる」と言って機械の前に立つ。
500円入れて6回…っと考えながらブツブツ言ってアームを観察する。 自然と出ていたクソナードじみたそのブツブツに気づくと俺の分析にニヤニヤと笑うA組の奴らが居たのでとりあえずアホ面を蹴っといた。「理不尽!」っと叫ぶソイツを横にし300円でアームの開き方強さを測った俺は、手際よく端のタグを狙いピンポイントで掴んで引き上げていく。
1回で取れないのは把握済みだ、だからあえて300円使ってやった、覚悟しろや食パン野郎…。俺の顔はヴィランじみていたと後に語られることになる。
「ふぁぁぁぁぁ、凄いやかっちゃん!しかも2個!1000円で取れるなんて!才能マンだっ!」
「ふん、たりめぇだ。むしろ出来ねぇお前の方が凄いわ」
「いやいや、あんなに綺麗にタグに引っ掛けられる方が凄いからね!あー、さっきのかっちゃんの姿ノートに収め…ブツブツブツブツブツブツ」
「キメェ!」
「あいたっ!」
ズビシッと彼の頭にチョップ食らわし、食パンを貰った袋に詰めて各々遊んでいた奴らの所に顔を出す。 サバゲー、体育ゲー、ホッケー、カート系、音ゲー、メダルなど様々な物で遊んでいるA組面々を見れば来てよかったかとは思った。 1年の月日は早いもので、1年なのに様々な出来事がありすぎて学生らしいことをしていなかったと思い返すと今日は良き日なのだろうと、俺にしては珍しく変なことを考えてしまった。
隣で食パンを抱きながら見上げてくる幼馴染兼恋人を端に連れていけば、食パンを口元に持ってこさせ「ちゅっ」と軽く唇を重ねた。 「ふぁあっ」とか語彙が無いこいつをの手を握り俺はまた歩き出した。
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寮に帰り着けば各々、手洗いうがいを済ませてから共有スペースに集まる。
俺とデクは部屋に戻るわっと告げ、エレベーターに向かう。 馬鹿みたいに「蜜月ぅー」「部屋近づかない方がいい?ねぇ、いい?」などと女共が言ってきてが「おー、聞きてぇならどうぞ?」っと開き直れば、真っ赤になった女子陣と切島達が口を開閉させていた。 俺はんべっと舌を突き出してから「ざまぁwwww」とニヤニヤと笑って4階に2人で消えていった。
デクのあんなやこんな声を聞かすわけねぇだろーがっと小声で呟くと、隣を歩いていて聞いていたソイツは耳まで真っ赤に染め上げていた。
クソかわっと思いつつ、エレベーターの中でちゅっともう一度顔を寄せ唇重ねれば、俺が取った2つの食パンを抱きしめ、顔を埋めるデクの頭をわしゃわしゃしてやった。
部屋に戻ると、真っ赤になったソイツは俺の部屋の隅に座って食パンクッションをむぎゅーっと抱きしめている。
俺はクッションを抱いてるデクを引っ張り腕の中に抱き込むと、デクは俺を振り向いてひとつのクッションを渡してきた。何がしたいんだっと思っていれば、俺を見上げてきて「か、かっちゃんをサンドイッチしますっ!」などとほざいて来やがった。くっっっっっそカワッと上を向いて部屋の天井を仰ぐ。落ち着け俺っと目を閉じ目の前の俺に渡した食パンと元々持ってた食パンを使い俺を挟むとにへらっと笑顔を浮かべていた。
「あー…無理、抱くわ」
「え? ちょ、かっちゃん!? 今、そんな雰囲気じゃ無かっただろ?」
「仕方ねぇだろ、
「んもぉー、君のヤル気スイッチはいつ入るか分からないよぉ」
そんな言いながら俺を抱きしめてきたそいつの背中に、自分の持ってた食パンのクッションを置けば2人で布団に沈んだ。
「2人でサンドイッチだな」
「うぐ、かっちゃんが可愛いー」
「うぜぇわ」
グリグリと肩口に顔を擦り付けてきたコイツの頭上にちゅっと口付けてから笑った。 俺にとってはお前が一番かわえーわっと心で叫んで抱きしめた。
End