お題メーカーにお借りしました!
「げっ…」
「ん、どうしたのかっちゃん?」
「はいっ」っと珈琲を入れた僕とお揃いのマグカップを机に置く。 彼は「あーっ」と言葉を濁しながら一言「わりっ、さんきゅ」と告げ、珈琲をちみっと飲んであちっと感想を漏らす。 当たり前でしょっとクスクス笑えば、かっちゃんは僕の膝に頭を乗せながらぐでんっと腕を投げ出すようにした。
「なんかあった?」
「んぁ、これ…」
「さっき借りてきたDVD? なんかあったの?」
「中身みりゃわかる」
彼に言われて借りてきたソレを見ると、うわぁっと眉を下げ苦笑いになる。
そこには借りた物とは違う内容のDVDで、しかもアダルト物だった。 これを普通の入れ物と間違うとか、しっかり確認していない証拠ではないかっとケースに直しつつ明日、交換してもらおうよっと袋に直そうとした。
けれど手が伸びてきて直すのを制止されると、その手の主はニヤリと笑いながら僕の膝から頭を起こしてソレを取り上げた。 あー、こういう時の彼はろくでもない考えをしているなっと視線を外して、ソファーから腰を上げた瞬間だった。 ぐいっと手首を捉えられソファーに押し戻されると、耳元に彼の唇があった。 彼は少し低めの声で「なぁ、普段見ねぇし…見てみようぜ? クソナードくんはどーせ初めてだろ?」などと言ってきたから、僕は真っ赤になってしまった。 僕のおかずは大体がかっちゃんだから、性的興奮材料もかっちゃんしかいない、するとかっちゃんは僕から離れてDVDをデッキにセットしてから戻ってきて僕を後ろから抱きしめるように座り直した。
「ちょ、かっちゃん…」
「てめぇが、AV見て勃起しねぇか見てやるよ」
「し、したら、どうするの、さ」
「期待してんじゃねぇぞ淫乱が…もち…」
するっと腰から服の中に手をいれられると、肌を弄りながら耳裏に息を吹きかけつつ「お仕置に決まってんだろ?」と吐かれた言葉に、僕の股間がギュンッと少しだけ反応してしまった。
【数時間後】
「なぁ、R付いてたよな?」
「あぶないのって、あのベットシーンだけじゃなかった?」
「しかも、綺麗にぼかしてんじゃねぇか、Rつけんくていーだろーが、期待したわ」
「期待してたんだ、かっちゃんのえっち」
「あ? てめぇだってしてただろうがっ! お仕置って言葉だけでえろい顔しといてよく言うわなー」
あの後、流れ始めたテレビの中の映画に固まると、幼馴染の男女が大きくなって再開して幸せになるラブストーリーだった。 高校卒業と同時に離れ離れになり、互いは思いあっていたが気持ちを伝えられず色んな相手と付き合っていた。 そんな数年後、互いに恋人を持ちつつ結婚まで考えていた相手も居たのだが、偶然出会った2人はまるで会えなかった分の距離を埋めるように抱き合いベットシーンに突入したのだ。 しかも、それ以降のエロシーンも無く、なぜ18禁マークを付けたのだろうかなどと考えて、今の僕とかっちゃんの会話だった。
「でも、普段は恋愛映画とか見ないから新鮮だったかも」
「すげぇ昼ドラじみてたけどな」
「ふふ、そうだね。でも設定が幼馴染だったからついつい気になっちゃった2人の行方」
僕が入れてきていて冷めたココアを口に含んで飲みながら呟く。
彼はソファーに凭れていた身体を起こすと、隣じゃなく下に座っていた僕を引き上げ膝に乗せて真っ直ぐ見つめてきた。 赤い鋭い全てを見透かすような瞳にドキッとすれば、頬に手をおいて顔を近づけていく。
先程のような互いに別の相手が居るわけではないし、これから先もきっと僕はこの人だけなんだろうと嬉しくなり唇を重ねた。
重ねた唇を何度も離したりくっつけたりを繰り返す口付けは急に彼が隙間から入れてきた舌で深くなっていく。背中に手を置き、彼のシャツを握りながらその口内で動く舌を甘受しつつ、ぴくんぴくっと弱いとこを舐められる度に震えてしまう。 唇を離すと互いの間に糸が引かれポタッと下に落ちる。
彼は少しだけぼーっとする僕の口端から流れていた唾液を舐めるとゆっくりソファーに押し倒してきた。
「んっ、かっちゃん…する、の?」
「あ? たりめぇだろ、テメェで興奮してんのに…あんなくだんねー映画のお陰でお預け食らったんだからなこっちは」
「ふふ、でも物語結構良かったんでしょ?」
「あんだけ人間関係ドロドロしてなきゃ、更に良かったわ」
「かっちゃん潔癖だもんねぇ」
「つか、好きなやつ以外に触る趣味がねぇ、あと何としてでも手に入れるしな」
「流石はかっちゃんだ…僕のヒーロー、大好きだよ」
するりと彼の首に手を回すと抱きついてちゅっと耳に口付けた。
その瞬間、腹にゴリっとしたモノを当てられ「煽んな」と言われ組み敷かれてしまった。 明日は互いに非番だ、いくら相手を取り込んでも許してもらえるだろうっと2人で落ちていった。
END