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お題メーカーにお借りしました!





今日はかっちゃん、飲み会って言ってたなぁっと時計を見つめる。
2人で買った壁時計がまだ飲み会が始まって間もないだろう19時辺りを指していた。 今日の飲み会は爆豪事務所の人達とって言ってたから切島くん、上鳴くん、瀬呂くんも含んだ人達なんだろうなーっと携帯を弄りながら壁時計を何度も見つめる。
そんな何回見つめても秒針は変わらず進むし、時間は早くはならないのにっと言い聞かせつつ見てしまう。

互いに時計を買ったのは意味がある。それは彼の時間、僕の時間を共に互いの物である証だ。 かっちゃんと結ばれて籍をいれ初めての互いへのプレゼントだった。 指輪を貰った時は本当に幸せで涙が枯れるんじゃないかってほど泣いた。そんな僕とかっちゃんは大概一緒にいる。
夜勤の時は互いにできるだけ夜勤に入るし、日勤とか早番とかの日は夜は一緒に過ごすようにしていた。
でも、やっぱり仕事の付き合いはあって、今回はかっちゃんが飲み会に参加しなければ行けなくなったので、今は家に僕一人である。会社が違うとこういう所で寂しくなるなぁなんてワガママを思ってしまう。

結婚してからは付き合いたての頃よりワガママになってしまった。
でも、そんなワガママすら受け入れてくれちゃうから、彼が更に好きになってしまうし欲張りにもなる。
まだ30分も経ってないのに、携帯のLI〇Eを開いて彼に通話を繋げてみてしまった。すぐ切れば大丈夫だよね、なんて簡単な気持ちで掛けた通話。
声が聞きたくて、でも聞いてしまえば会いたくなるから数コールで出なかったら諦めて寝ようっとドキドキしながらボタンをタップした。


プルるるる、1回目…ぷるるる…2回って、え?
なんでか早めに音が止んで向こう側が無言になって驚いてしまった。
すると、向こう側から小さく「んだよ、デク」と返ってきて僕は携帯を床にゴトッと落としてしまった。



「はわはわわ、か、かちゃ、かっちゃん!」

「かちゃかちゃうぜぇ、んだよ」

「い、いやいや、飲み会中だろ!出ると思わなくて…」

「つか、携帯落としたろ大丈夫なんか…別にいいだろ、俺の勝手だ」

「そ、そうだけど、なんだろ、その…嬉しくて、へへ」


僕が電話越しにそう告げると、彼は黙り込んだ。
怒らしてしまったのだろうかっと青ざめれば、急いで彼に向かって声を出した。


「ご、ごめんねかっちゃん! 少し、ほんの少しだけ声が聞きたかっただけなんだ!」

「邪魔するつもりはなくて、ごめんね!バイバイ!先に寝るね!」

「えと、あの、おやすみなさい!」


っと一気に告げてからLI〇E通話を切った。 あっちの返事も聞かずに切ってしまったが、きっと帰ってきてからのお仕置コースだろうし、それは明日に回して貰おうっとソファーから立ち上がり寝室に入っていく。
真ん中に2人の寝室、その両隣にかっちゃんと僕の個室がある。やはり結婚してもそこはプライベートって領域だから、互いに納得して作った部屋だ。
そんな2人の寝室に入ると、今日は1人だからやけに静かなベットに乗り上げ、布団に蹲る。 枕はかっちゃんのに顔を埋めてしまえっとグリグリと枕を潰すように動いた。 暫くするといきなり鍵穴がガチャガチャ言い始めて僕はガバッと起き上がる。

ど、泥棒!? いや、なんでこんな時間に…っと僕が1人なのを狙って?などと考えながら、パリッと5パーセント出力を身体に纏えば、寝室の扉から少し外を覗いた。 電気を消していたから姿が見えないが、間違いなく鍵を開けた犯人は迷わずこっちに向かってきた。 そして、少し力を込め扉が空いたその瞬間…なぐっ……ることは無かった。



「あっっっっっぶねぇな!クソデクが!」

「ご、ごめんなさい!ど、泥棒かと思ってぇ」

「泥棒が鍵あけっかよ!」

「だ、だって何回も鍵ガチャガチャするから…」

「あ? それは…クッソ、仕方ねぇだろ」

「え?」

「…テメェに早く会いたくて、鍵穴に上手く鍵がハマんなかったんだよ…くそが」

「…かっちゃん…」



耳まで真っ赤にしつつ、少し汗をかいてるかっちゃんに胸がキュンってした。 僕のためにわざわざ走って帰ってきてくれたのかなって自惚れてしまう。 でも、その反面、切島くん達や事務所の人に申し訳ないなぁっと思いつつも、目の前の彼の姿に嬉しくて抱きついた。


「かっちゃん! へへ、えへへ、ありがとう!」

「…っせぇわ、さ、寂しい時は素直に言えや…飲み会なんざ行かねーから」

「それはそれで、申し訳ないから…うん、時たま、断ってくれたら…その」

「あ? 参加するのを決めりゃいいだろ、てめぇと俺が共通の飲み場なら行くでいーだろーが」

「そ、そういうの、あ、有り? 確実に自分たちの個人的意見取り入れてるけど…」

「ありっつーか、当たり前だろーが、嫁を優先してぇんだよ」

「うっ、うぅ、かっちゃんがかっこよすぎて死ぬ」

「あ? 死ぬ時は一緒にって言ったろーがクソナード、ほれ来いや、寂しいの上書きし殺したる」

「う、うぅ、すきだぁぁぁぁぁ」

「はんっ、たりめぇだろ」



彼の逞しい身体に抱きつき直し、擦り寄ると先程の寂しさが嘘のように消えていった。 かっちゃんの体温と言葉で僕の心は埋め尽くされた気分で幸せだった。皆には悪いが、彼は皆のヒーローである前に僕のヒーローなのだからっと顔を上げて頬に口付けた。 その瞬間、かっちゃんの顔が「すんっ」て顔になってから暫くして、「口にしろやぁぁぁぁぁ」っと雄叫びを上げたのだった。防音で良かったっと僕は口に口付けながらそんなことを考えていた。




「かっちゃん、わざわざ帰ってきてくれてありがとう」

「わざわざじゃねーわ、俺がテメェに会いたかったんだ…」

「…ぐっ」

「おい、顔がすげぇブスだぞ」

「うるさいやい」







End

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