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お題メーカーにお借りしました!




雑誌に掲載された熱愛報道の文字をなぞる。 これで何回目かもわからないくらい載ったソレを僕はいつまで不安な気持ちで見続けないといけないのだろうっと膝を抱えて蹲る。
彼が好きで愛しくて、その分彼への不安は募るばかりだった。
彼は絶対したくない事はしない、それがわかってる。幼馴染なのだからどんな性格なのかもわかりきっている。なのに、なのに不安は被さってくるばかりだ。


「かっちゃん…辛いよ」


僕は1人の空間で静かに呟く。 今回の報道もデマだと信じている、信じさせて欲しかったのにっと雑誌を開いたまんまテレビを付けたあとの記者会見にて、僕は彼を諦めないといけないのだと、そう分かってしまった。
相手は大手企業の娘さんで、かっちゃんのヒーロー事務所のサイドキックも担っていたらしい。 援助金なども出していて、今後かっちゃんが独立する為の資金も約束してくれていた大事な方みたいだった。
そして、援助金と共に最高のバックアップを用意してくれた相手側の要求は娘とかっちゃんの結婚だった。

僕とかっちゃんの関係は公にできないし、する必要もないと思っていたからしていなかった。互いと家族だけが分かっててくれればいいと。
でも、そんなわけない…僕は初めから気づいてた、僕は彼が誰かに取られたくなかったから、ちゃんと示したかったのに…彼が言いたくないならと我慢してた、でもそうじゃなかった。 君は僕といつ離れてもいいように、証拠を作らないようにしたかったんじゃないかと…言わなければ、認知させなければ、いつ関係が壊れても気にならないんだからと、みみっちい彼の事だ…きっと、僕との関係を認知されればいつか別れが来た時にめんどくさい事このうえないのだと思ったのだろう。

告白も僕から、指輪もない、そんな関係…いつ崩れてもおかしくなかったんだよ。だから、終わらすのも僕からしてあげないとっと立ち上がるしか無かった。




「おい、デク…」

「んー?」

「最近、帰り遅くねぇか?」

「そう? ボードに書いてある通り、パトロールとか日勤終わったあとに付き合いがあるからかなぁ」

「…ふぅん、そういや俺も今度飲み会あっから遅くなる」

「わかったー」



僕はかっちゃんの言葉にドキッとした。 仕事終わったあとに部屋探してますなんてバレたら何を言われるか、早めに別れを切り出しかねない彼ならっと荷物は少しずつ少しずつレンタルで借りたコンテナに預けていた。
グッズとかは流石に掃除の時にバレちゃうから、表的な物は最後に纏めてを考えていた。衣類も最低限残しておいた。



________




「おかしい…」

「ん?何がだよ爆豪…」

「わかんねぇけど、デクの様子が可笑しいんだよ…」

「緑谷と言えばさっ!」

「黙れあほ面」


BooooMの音と共にあほ面を少し爆破するも、「緑谷の事なのにぃ」の言葉に手を離してやる。


「マジで緑谷の事に関しては優しいのねお前…」

「んで? なんだよ、アイツの事って」

「あー、偶然だからマジかはわかんねぇけどさ、不動産屋から出てきた」

「あ、俺も見たわ。てっきり爆豪と居たのかと思ったから声かけたらさー、グッズ預けるコンテナ借りるために来たって言ってたな」


コンテナ…グッズ預けるほどあったか? いや、買ってたのか? それにしては部屋はそんな狭くなかった気がすっけどなっと目の前の酒を口に含む。



「あと、やたらと仕事終わったあとにブラブラしてるよな」

「そうそう、最近は日勤の後とか、1人で過ごしてるの見たって聞いたわ」

「は? アイツは仕事終わったら色んな奴に誘われっから飲みに付き合っとるって…」

「えー、緑谷見かける時いつも1人だぞ?」

「うん、轟達が飲みに誘っても断られるって…」

「…なんか隠しとるな、今度聞くわ」

「脅すの間違いじゃねーのー、痛い痛いやめっ」


軽く爆破してから金を置くと、帰るっと告げ、アイツに告げた時間より早めに帰宅することにした。
するとアイツは男を中に通していた瞬間を目の当たりにし、俺は流石に我慢ならず急いで帰り、ドアをあけて中に突入してやった。



________



「ほわっ、かっ…かっちゃっ…」

「よぉ、デク…こら、どういうこった? 男を彼氏が不在中に中に誘うわ、最近誰かと飲みに誘われるっていう嘘もつくわ…何しとんだテメェは」


いきなりの相手の登場に僕は正座して下を向いた。
彼の言葉にビクリと肩を震わすも、心が彼氏が不在中の言葉に囚われた、不謹慎だが彼は僕の彼氏だと言ってくれたのだ。
でも、彼には彼女がっとまた胸がチクリと傷んだ。


「あのぉ、荷物は…」

「あ? 今日はキャンセルだわ、つか今まで運んだコンテナの荷物をむしろこっちに持ってきてくれや」

「え、ですが…」

「俺はこいつの伴侶になる予定だから、大丈夫だわ。契約者は血縁ならいーんだろが」

「あ、はい。み、緑谷さん、宜しいんですか?」

「う、お願いします…」

「それでは、こちらに移動しますね」

「うぅ、夜にも動いてくれる引越し業者やっと見つけたのにぃ」

「まず、説明しろやゴラッ」


軽く蹴飛ばされれば、床にダイブした後に彼を見上げた。
うぅ、声が怖いっと震えつつ彼に説明すべく口を開いた。



「んで、勝手に考えたあげく、決めつけて逃げ出す覚悟を決めたってことか? あ?」

「うっ、だって…僕、僕から解放してあげないと、君はずっと僕なんかに縛られて…むぐっ」

「あんな、俺は縛られてるとか思っとらんわ…」


ぎゅっと抱きしめてくれるこの腕に手を置いて目を閉じた。


「ふぁ、うぇ…綺麗な女の人だったもん、かっちゃんいつもの報道と違って否定文も出さなかったもん、それって、彼女と一緒になるからなんだろう? 独立するのに…僕、邪魔なんだもん、でも、でもぉ…君が好きだから君にさよなら言われたくないから、僕から言おうって、覚悟してたのにっ…さよならって言いたかったけど、声が喉につかえて声にならなかったんだよぉ」

「ばぁか、否定文はとうに出しとるわ、あれは出される前に止められなかったやつなんだよ、どーせ会社から貰った奴だろうが…お前のことだからダイナマイトの記事が載ったぞーとかで中身確認前に受け取ったんだろーが」

「うぐ、否定できません」

「ったくよぉ、俺はてめぇからの告白もなにもかもを受け止める覚悟はとうに出来とんだから、変な勘ぐりいれとんな」

「で、でもかっちゃんから告白聞いたこともないし…物も貰ったこと…」

「あのなぁ、言葉やものよりも…大事なんは気持ちだろ、俺がテメェの元に帰ってきたいって思っとるそれが何よりの証拠だろーが」


ぎゅっと抱きしめてくれる彼の体に手を回して抱きついた。
あー、好きだなぁってなった。






END

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