お題メーカーにお借りしました!
「おい、起きろくそデク、買い物行くって言ったろーが」
「あいてっ…うぅ、もっと優しく起こせないの?」
「あ?優しくだぁ?」
「もっとこう、…っ」
「起きろ、
「ふぁ、ああああ、イケメンずるい」
「ハッ、ざまぁwww」
起こす時は軽く蹴って布団剥いで起こした癖に、僕が強請ると優しい声で耳元で囁くとか反則だぞかっちゃんっと起きながら耳を抑え真っ赤になる。
…くぅ、世の中の女の子に聞いて欲しい、こんなイケボな声…いや、やっぱりダメ。かっちゃんは僕のだからこんな甘い声出して欲しくない。
「なに百面相しとんだ、おら行くぞ」
「ま、待って待って〜」
そんなこんなでデパート来たんだけど、かっちゃんは適当に店に入ってはウィンドウショッピングをしている。 僕はどうしたらっと周囲を見渡すと、かっちゃんに似合いそうな服を見つけて走り出す。 かっちゃんが「おい、勝手に動くなっ!」と言うも、この階にいるからー!待ち合わせはこの階の降りるエスカレーターねーっと手を振ったら仕方なさそうに舌打ちしてた。
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side デク
というわけで、僕なりに服を見立てようと服を見るんだけど、なんかかっちゃんに似合うのばっか目に入って仕方ない。 あ、これもかっちゃんに似合いそう…って違う違う、此処に来たのは自分の服探すためってかっちゃんに最初に言われたんだった。
だけど、チョイス出来たのは全てかっちゃんを想像してしまった服で…決まらなかった。
「はぁ〜、末期だ…」
「…テメェ、何も買ってねぇじゃねーか」
「かっちゃんこ…そって、凄い買ったね、いくら分だよ」
「あ? なんかわかんねーけど、いつの間にか買っとった」
「(高額納税者怖い…)」
「それより、これ…ちっと行きつけの店あっから、そこで試着させて貰え」
「へ?」
「お前用の服…って、ちげぇからな偶然だぞ」
「う、うん…ありがとう、でも、か、返せないよこんな高いの」
「あ? 彼氏が恋人に服贈るなんざお返しはテメェ自身だろーが」
「うぐっ」
こういう時だけ素直なのなんなのかなぁ、君はっと顔を思わず覆ってしまう。耳まで真っ赤だよかっちゃん!僕のライフはゼロだよぉぉぉぉぉ。
「かっちゃんの服は?」
「あ? …そういや、テメェに似合うのばっか見繕って忘れてたわ」
「マジか、かっちゃん…好き」
「あ? たりめぇだ、俺以外好きだったらぶっ殺すわ」
ギュンっとオールマイト顔になってしまったのは許して欲しい。好きだよかっちゃん、心臓が踊ってるよっと彼に心で叫びながら端の服屋に連れていかれた。 ここ、さっき僕がかっちゃんの服迷ったとこだっと中に入る。
「いらっしゃいませ〜、あら爆豪さん、今日はどのようなご要件で?」
「ちっと奥の試着室貸せ、誰もいれんな」
「あ、どうぞ〜…あら、先程のお客様じゃありませんか、爆豪さんの知り合いだったんですね」
「えっ、えと、さっきはそのぉ…冷やかして…すいません」
「いいえいいえ、仕方ないですよぉ〜爆豪さんの服を選んでたなら納得しちゃいます、難しいですよね、センスが良い彼氏さんだと」
「あ? てめぇ、さっき此処にきてたんか」
「うっ、うん…自分の服選ぼうとしてたのに、ついつい君に似合う服見つけちゃって…でも、そのぉ、怒られそうだから想像だけに…」
「ヂィッ…後で見てやる、今は行くぞてめぇのだ」
ぐいっと腕を引っ張られお姉さんに会釈してから急いで階段を登っていく、VIP1と書かれた部屋に連れ込まれると、試着室にしてはだいぶ広い部屋が広がっていた。 鏡がデカい…1人で試着する用なの?本当に?っと少し疑いたくなるレベルの広さだった。
「ちっと用意するから待っとけ…」
「え? う、うん…」
かっちゃんは先程持ってた結構な紙袋を置くとテキパキとハンガーにかけて行く。 それ、全部僕の!?っと目で訴えると、耳まで真っ赤にしながら「いつの間にか買ってたんだよ、視線がうぜぇ!」と言われた。 かっちゃんが好きすぎて辛い、そういえばさっきのお姉さんに言い忘れてたけど、僕も爆豪 なんだよねーっと左手の薬指を見てふんふんっと少しだけ嬉しくなった。
次の付き合い記念日には認知させてくれるって言ってたから、ちょっと嬉しいな〜って顔がにやけちゃうっと笑っていると、かっちゃんが「キメェ」って言ってきた。酷い…
「ほれ、これ着てみろや」
「な、なんか、子供っぽくない?」
「三十路手前とは思えねーよな」
「うぐぐ…」
最初に渡されたのは少し淡い色の緑と白のTシャツで、少し緑のシャツの下から白い生地が出てる感じの涼しいTシャツだ。んで、普通の黒のスキニーに僕の真っ赤なスニーカーって感じだ。 かっちゃんは見た後に高校生っぽいなって笑った。もう、30手前なのにぃっと頬を膨らまして睨みつけた。
その後もいくつかの服を着せられるも、かっちゃんはそれらしい反応は無かったが、似合わない訳では無かったのか買ったのを満足そうに片付けていた。
「うっし、帰るぞデク」
「え? ま、待ってよかっちゃん!僕、かっちゃんの服選びたいっ」
「…は?」
「だ、だって、僕もかっちゃんに似合いそうなの見つけたのに、僕だって男だよ? プレゼントした服着て欲しいもん」
「もんとか、ざけんなキメェ」って言われるかも知れなかったが、今の僕には効かない。だって、あれだけ多くの服を貰ったのに僕は贈り返せないなんて、嫌だよっと目をギッと睨ませながら彼に視線で告げた。 彼は「あーーー、わーったよ、着てやる」っと半ば諦めたように告げると、僕は彼の腕を掴んで僕の御用達の店に歩いて行った。
「…おい、デクてめぇ、まさかこれ着せる気じゃねーよな」
「え? ダメ? かっちゃんに似合うと思ったんだけど」
「お前のセンスは自分だけならとは思ってたが、人様に害を及ぼすレベルたぁなー、テメェのセンス叩き直してやろうか、クソが!」
「そこまで!?」
「お前は、俺にこれを着せて脱がせたいんか?」
「うん!」
「…マジで言っとんのか?」
「もちろん!」
僕の本気の目を見てっとかっちゃんに告げると、かっちゃんはその文字を見ながらため息を何回か分けて吐いていた。そこまで嫌なのか?っと彼の服の裾をくいくいと引っ張って見上げれば、かっちゃんは顔を合わせてから「ちゅっ」と軽いリップ音をさせて口付けてからそのシャツを受け取ってくれた。
「(これ着て、セックスするとか、俺はどんな羞恥なんだよ、つかクソナードの御用達の店!コラボ品置いとくんじゃねーよ!)」
かっちゃんはその日、僕とのセックスの時にそのシャツを着てくれた。
胸元には『オレが来てやったわ!』っと大きく書いてあり、普通のTシャツに見えて、実はオールマイトの『私がきた!』コラボの時に出たものだ。
この時に1年A組は皆がセリフを言ってみて、かっちゃんはTシャツに書かれたそのセリフを言ってくれたのだ。 オールマイトは憧れだけどかっちゃんは昔からの僕のヒーローで、言われてみたかったんだよねぇっと言ってはくれない彼の代わりに、そのTシャツの文字で我慢したという訳だ。
「はわわ、かっちゃん大好きーーー!」
「どわっ、いきなり飛びつくんじゃねーよ!俺も好きだっての、クソナード」
「かっちゃんからの服、大事に着るね?」
「ん」
「かっちゃんも、その服は僕のためだけにとっといてね?」
「わーっとるわ、つか外で着るには流石に俺は趣味悪くねぇ」
「ひどいっ」
そんな言い合いをしながら僕とかっちゃんは布団にダイブしてイチャイチャした。
たまにはヴィランに会わないこんな日もありだよね。
END