召喚したようです?????
「ほれ」
「え? …なにこれ」
制服を脱いで、シャツを着直した僕にカッチャンが指輪を差し出してきた。
首を傾げて受け取れば、僕が持った瞬間に指輪は輝き出して模様が浮かび上がり左手の薬指に嵌め込まれた。 僕はひぃぃっとソレを抜こうとすればきっちり収まって抜けなくて彼を見た。 彼は顔色ひとつ変えずにその指輪に口付けてから僕の顔を見てくる。恋人が居るのにこの人はっと思うのに顔が良すぎるのと、やはり外見はカッチャンだから断りにくいのもあった。僕ってちょろいなぁっと思いつつも、その指輪を電気にかざすように上にあげた。
「これ、どうすればいーの?」
「てめぇが、痕以外の方法つったから作ったんだわ…それで俺ともう1人のデクと連絡とれる。お前が危険が迫ったら教えてくれるわ」
「えぇ、僕と!? そんな高機能…うぅ、いいのかなぁ」
「アイツが作れつったんだわ…ったく人使い荒いのとあっちのテメェの神経の図太さがわかったわ」
「あ、あはは、…僕って結構だよ? 彼は嬉しいんじゃないかな、君と対等でいれて…僕は、彼にとって、そんなことできやしないから」
「…はぁ、めんどくせっ。あんな…こっちの俺がチキン野郎だから敢えて言わないでやったけど教えてやんよ」
ガタッと椅子から立ち上がった彼は頭をガシガシ乱暴に掻き乱しながら僕の隣に腰掛けて僕を抱きしめ膝に乗せた。 まっすぐ見つめてくる赤い瞳に囚われそうになるのを必死の理性で留まり、見返す。頬を撫でれば、どっちからかは分からないが互いに顔を寄せ唇を重ねた。 これは僕の意思でもあって、もう1人の僕に申し訳ないなっと思ってしまった。
「んっ、んん…カッチャン…教えてくれるって、いったぁ」
「あ? お前が誘うからだろ…安心しろ、優しくしてやらぁ」
口付けから解放されれば、布団に押し倒され彼は着ていたシャツを乱暴に脱いで床に落とす。僕はその逞しい身体にボッとあかくなりつつも、いつも見てる彼とは少し違う骨や肉付きに手をそっと添えた。 お風呂で見たような彼の肉体とは違い、彼よりも確実に鍛え抜いた肉体で、腹筋も綺麗に割れているその姿に、いつもあっちの僕はこれに抱かれてるのかっと考えてしまい、真っ赤になって顔を隠した。
「恥ずかしがんなよ、デェク♡ 沢山、可愛がってやるよ…」
「ま、待って…待って待って…ぼ、僕、初めてはかっちゃんじゃないとやだっ」
「…っ」
僕の心から出た言葉にカッチャンは手を止める。 かっちゃんはやっぱりどの世界でもカッチャンで…優しかった。 はぁぁっと盛大なため息の後に僕の服を直しながら膝に座らせ抱きしめてくれる。 落ち着けるように背中を撫でられれば、ありがとうっと彼の背に手を回した。
「俺も焦ったわ、話の続きすんぞ…んで、ソレが終わったらさっきの続きやる」
「ふぇ!? 納得してくれたんじゃ…」
「入れなくてもできんだろ。つか、そんなガッチガチの緊張した身体じゃ俺のもん入るわけねーだろーが、入りやすく調教してやんよ」
「え、その…それは、そのぉ」
バンっと壁に手をつかれ所謂壁ドンをされた僕は耳元で「気持ちよくしてやるよ」っと言われ…「イケボずるいっ」と耳まで真っ赤に顔を染め上げることとなった。
暫くヤルかやらないかで揉めていると、カッチャンの通信機が鳴って僕は服装を正してから通信機のボタンを押した。
すると、今日の昼のように映像が浮かび上がり、あっちの世界の僕が映し出される。 僕はなんとなく、先程の行為を思い出しては彼に申し訳なさでギュッとシャツを握ってしまった。
『かっちゃん! 彼に無事に指輪は渡せた?』
「おー、お前の設計図をまんま写したからな」
『ありがとう! これで彼と君の最中の声も録音できるよ』
「やっぱり付けてやがったか、変態ナードめ」
『当たり前だろ!僕はお預けなのにキミだけ気持ちいい思いしようなんて…僕は僕なんだから沢山抱いた姿見せてもらわないと!』
「…ちょ、待って2人とも…なんの話し…」
「あ? だから言ったろーが、俺もコイツも互いに自分なら気にしないんだよ…」
「気にしよう!?」
『あれ? もしかして、気にしてて出来てない感じ? かっちゃんにしては珍しいもんね…スグ食べないの…僕なんか出会ったその日に襲われたのに』
「チッ、そんなん仕方ねーだろ。俺はずっとてめぇが欲しかったんだわ」
「そ、そこまで好きなら彼を大事にしなよ」
『それとは違うんだよね〜、ほら、やっぱり気持ちいいことは共有しないと! かっちゃんに任せれば、君も直ぐに尻で快感拾えるよ!』
「ちょっ、僕ぅぅぅぅぅ!? デリカシーーーーー」
「ねぇだろコイツにゃ…」
僕を挟みつつ、僕の尻の開発の話を聞いていると羞恥心で耳を塞ぎたくなった。 映像の中の僕は僕なのに男らしいし、いや元々男だけど、僕より相当男らしいぞっと思った。カッチャンなんか僕相手なのに優しく笑いかけていて、イケメンっと心の中で呟いた。 すると映像越しに話していた彼らはいきなり、顔を寄せ映像なのに口付けをしていて、なんか見ていられなくなった。
「な、何してるのさぁ」
「え? んなもん、キスだろ」
『へへ、かっちゃん。僕…君のものにされるの待ってるから、早くそっちの僕もトロトロにしてね?』
「任せろや…お前はどんなセカイのお前でも俺のにするわ」
『うん!最後まで諦めないのが君だもんね、大好きだよ僕のかっちゃん』
「はっ、たりめぇだわ。お前も無理すんなよイズク」
ちゅっともう一度映像越しに口付けしてる2人にあかくなりつつ視線を逸らしてしまう。 なんなのこの人たちはーっとベットから降りて「僕、飲み物取ってくるから…その間に積もる話しは終わらせといてね」っと言って部屋を出ていくことにした。 ちゃんと鍵も掛けてだ。帰ってきたら変な匂いしてないといいなぁっとため息と共に僕は1階に足を向けた
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『行った?』
「おう…なんか分かったんか」
『実は、君の飛ばされた世界についてなんだけど…飛ばされる場所に意味があったみたいで』
「…あのお前になんかあったってことか?」
『じ、実は…そのぉ』
「あ? なんだよ…言いにくいんか?」
『拗れてる世界での僕と君らしいんだ…』
「は?」
『魂が共鳴はしてるから、素直になれば直ぐにくっつくとは思うんだけど…過去がそっちの彼らは酷く拗れてるみたいで…』
「それが俺が飛ばされた理由となんの関係が…」
『実は、魔法陣を開発した2人が言うには、魂の共鳴が消えかかっている世界に飛ばされるみたいなんだ』
「…おい、魂の共鳴が消えるってことは」
『うん、そっちの僕らがくっつかないと、僕らたちにも危険を来す可能性があるってこと…まぁ、未来はその世界ごとに違うからこの先はわからないけど…生まれ変わってから、魂の共鳴が絶たれる可能性もあるってこと』
「んなこと、させやしねぇ…俺には一生てめぇだけなんだよ」
『うん、僕もいつまでもどの世界でも君とがいいよ…だからお願いかっちゃん…少し君が悪役になってしまうけど、1週間以内に、荒療治でも構わない!そっちのかっちゃんに自覚させてあげてほしい、それが魂の共鳴を強く結びつけてくれる最後の試練だと思うんだ』
「…はぁ、わーった…手段は選ばねぇよ…なぁデク…まじで俺のもんにしていいか?」
『…ふふ、やっぱり気にしてるんじゃないか君は…可愛いね、大丈夫だよ。初めて、大事にしたげてね』
「帰ったら、めちゃくちゃしてぇ」
『僕も、待ってるよかっちゃん…』
暫くしてから僕が入ってくると、カッチャンはベットに横になり、先程の魂の共鳴の話をしてくれる。 かっちゃんの自覚については伏せて教えられた僕は、呑気に1週間彼と離れなければいいかっと楽観的に考えていた。
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