初恋戦争
【初恋戦争・爆豪視点】
「それで、半分野郎と眼鏡はこれで怒ってるわけか?」
「当たり前だ、例え本気でなくとも…子供を作ろうとしていたわけだろう?」
「緑谷くんが可哀想だとは思わないのかい君は!」
「ま、待ってよ2人とも…どうしてそんな、話になるの? かっちゃんと子供の話はかっちゃんの、浮気相手の人との話で…」
「ガキの話もだけど、お前も何の話ししとんだ、浮気なんざしてねぇっての…」
俺は気を取り戻した真面目ーずに囲まれながら、デクを抱っこしたまんま事情聴取をされていた。 デクの薬指の指輪を触りながらちゅっと口付ければ、真っ赤になるデクにニヤニヤっと楽しくなる。
「だ、だって、かっちゃんが女の人を家にあげて…あんな優しい声で…子供の話なんてするから…」
「あー、それについて今から謎解きすっから、緑谷はちっと黙っててな」
くそ髪とあほ面がデクと俺を離すと、次は俺に写真を突きつけてきた。
楽しそうに笑うデクの母親である引子さんとそれをみてる優しげな俺の画像だ。 デクはこれを見ながらこんな顔、初めて見るっとブツブツ言っていたが、周りは知ってる。俺がこいつを見る時は大体こんななんだと。
「それで? 僕のお母さんとかっちゃんでなんで子供の話?」
「まずは、それを話す前に最初の疑問な。爆豪、緑谷のお母さんとは2週間前に会ったんだよな?」
「ん? あぁ、夕飯作りに来てくれたんだよ。俺とデクの様子も心配だったらしくて」
「それが2週間前で、この画像がつい最近の3日前位のなんだよ、緑谷も知ってんじゃねーか?」
「え、うん。3日前はお母さんと光己さんと食事に行く日で、かっちゃんは先に終わったから家のお母さんを目的地に案内してくれたんだ」
「それで、待ち合わせてそこに着くまでの写真がこれなんだ」
「そうなの? こんなに幸せそうな顔で歩いてるんだね…びっくりしたもん最初」
「そりゃー、引子さん見てっとお前思い出すからな」
「ふぇっ!?」
話がまたも脱線する前に半分野郎が話を続けてきた。
「んで、3日前のこれは置いといて、2週間前だ。その日、この家に緑谷のお母さんが来たよな?」
「さっき言った通りだわ、夕飯作りに来た。だけどコイツが飯要らねーとか連絡きたから、遅いからって引子さんにはその日帰って貰ったわ」
「え、あの日来てたのお母さんだったの!?」
「おう? つーか、来てたの知らなかったんか? 夕飯、残ったの食わしたろーが」
「かっちゃんの食べすぎてて…今度お母さんの食べに行くよー」
「俺も行くわ、引子さんの飯好き」
「はいはい、それはまた後で話せよ。んで、続きな…その日お前と引子さんの会話聞いてもいいか?」
「会話? あー…」
俺は少し考えてからチラッと横目でデクを見てから隠しとくのもなぁっと思ってから耳を赤くしながら頭をかいてから、口を開いた。
「あの日、煮込み料理教わってて…煮込み終わるまで引子さんとこの先の話をしてたんだよ」
「この先?」
「おう、てめぇにもいつか話さねーとって思っとったから丁度いいわ」
「僕にも?」
「あの日、引子さんとババアにずっと相談してきた個性の人が見つかった話をした。デク、お前にも相談してたアレだ」
「…あ、うん…見つかったんだ」
「…おう。それで、お前に話す前に引子さんと丁度会ったから、その日に話したんだわ。ガキの話…」
「お母さんにしてたんだ…」
「やっぱり男同士だし、お前にも負担掛けちまうからな。親にも承諾欲しかったんだわ俺が…んで、その話をしたら引子さんが意外と乗り気になっててくれてさ、俺とお前の子…欲しいって言ってくれたんだよ…」
「…あっ、あの時の話って…」
「ん?」
「いや、あのっ、実は…」
俺と引子さんの会話を聞いてたと聞けば俺は恥ずかしさでそばに居たくそ髪達を爆破してやった。 そんときの俺の声が甘すぎて浮気と勘違いしたデクの頭をわしゃわしゃ撫でくってから息を吐いて互いの馬鹿みたいな勘違いに笑った。
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互いに話し合ったあと、5人にお礼を告げたあと帰宅させ、目の前にいたデクを抱きしめる。 こいつが変な勘違いしたのは元々俺のせいだなっと苦笑いすれば、顔をあげたデクが笑ってから俺に口付けてきた。
そして2人で今までのことやガキの頃の話もした。
わかったことは、俺はこいつの母親に、こいつは俺のババアに淡い恋心を抱いた事があったって真実だった。
子供なんざ目の前の綺麗な思い出に、いい記憶を植え付けてきやがる。
俺にとってはガキん頃の優しくて可愛いと感じた女の人がこいつの母親だった。俺を良く叩き、よく叱る自分ちのババアと違って、俺がデクを泣かした後、ババアに泣きつくデクを慰める母親に「オレはあやまんねー!」っと叫んだ後に殴られるのがいつもの日常だった。 そんときに絶対、引子さんはデクだけじゃなくて俺の頭も撫でて「大丈夫よ、勝己くんは、出久の為におこってくれてるんだもんね」と笑った。 危ねぇからっと素直に言えない俺をわかってくれたように抱きしめて撫でてくれたその優しさに俺は憧れ、大好きな人だった。これが多分、俺の初恋なんだっと大きくなるにつれて思った。 どんな女を見ても上っ面の優しさだけなんだと知った。
だけど引子さんは違った…ずっと変わらず俺とデクのことを心から心配してくれていた。そんな人の愛情を受けて育ったデクは本当に強くて優しい奴に育ったと感じた。 それと同じくらいこいつの強さが羨ましかった。
こいつを好きになったのは運命なんかもなっと…隣に腰掛けたこいつを見た。
「かっちゃん、僕ね…かっちゃんのお母さんのこと好きだった」
「わーっとる」
「かっちゃんに似て素敵な人だったから」
「ははっ、だとしたら目が腐っとんのかもな」
「えぇー、でも、本当にあの頃はかっちゃんが女の人だったらきっとあんなだったと思ったもん」
「俺も」
「へ?」
「お前が女だったら引子さんみたいになったかもなって思ったわ」
俺らは見つめ合うとにへらっと笑った。
多分、俺らの初恋の相手は一生越えられるやつは居ねぇかもなっと零した。
END