初恋戦争
【初恋戦争・爆豪視点】
飯を作りながら同棲相手の帰宅した音に手を止める。 最近は帰りが戻ってきてるけど、気になってついつい出迎えると、抱きしめて香りを確認する。 今日はあの変な匂いはしねぇなっと首筋を嗅いで、シャツを確認する。 アイツには似合わない真っ赤な色もねぇし、今日も会ってねぇみたいだなっと安堵するも、俺のした行為にビクッと肩を震わして敏感な態度を取った姿にムラッとするも、そんな顔を別のヤツにもっと思うとイライラしてしまい手首を掴んで食事を用意していたテーブルに連れていき椅子に座らせた。
「な、なに…かっちゃん…」
「てめぇに話がある…嘘つかないで答えろ」
「え、僕…かっちゃんに嘘ついたことなんかないよ!?」
「わかんねぇから聞くんだろーが!」
俺がダンっと机を叩くと目の前のモサモサした少年は涙目になっている。 そんな顔をさせたかった訳じゃねぇのにっと俺は急いで立ち上がり泣かせてしまった事に対して謝罪してから抱きしめた。 あいつは謝ってくるが、謝るのは俺の方なのにっと辛そうな顔したそいつの頭をわしゃわしゃしてから真っ直ぐ見つめ直した。 俺がこいつを泣かしてしまった事に心を痛めたのをこいつは気づいたのか、俺の目元を触りながら苦笑いしていた。だが、それはそれだっとに聞きたかった本題に入るために俺はこいつを離して椅子を引っ張り傍に座って口を開いた。
「俺がお前に、聞きたいこと…あって…」
「うん…なぁに?」
「その、お前の…」
「うん?」
「お前の浮気相手について、なんだけどよ」
俺のこの言葉に目の前の奴は何言ってんだって顔をした。 こいつのこんな顔を幼馴染として生きてきてから初めて見た気がした。 俺はその後に「いや、俺が気にしてる訳じゃなくてよ、やっぱり付き合ってる者として?」や「テメェが好きなら仕方ねーとは思ってっけどよ、でもお前は俺のものであって…って聞いてっか?」と俺が声を掛けた瞬間に、こいつはキッと俺を睨みつけてきて、次はコイツが立ち上がり俺を怒鳴りつけてきやがった。
「き、君って本当に最低だな!」
「あ? いきなりなんだよっ!」
「ここまで最低だったなんて、流石の幼馴染である僕もびっくりだよ」
「だから何がだよっ!」
「自分の浮気が原因で別れたくないからって、勝手に僕を浮気した者扱いして分かれ切り出そうとか、みみっちいにも程があるだろ!」
「あ!? 誰が浮気が原因でてめぇと別れるなんて話ししたんだよ!そもそも浮気したのはてめぇで事実じゃねぇか!まるでしてませんって顔すんなよ、このクソナードがっ!童貞卒業した気分はどうだよ、このくそやりちんナードがっ!」
「こっっっっのっ、言わせておけば…歯ァ食いしばれよかっちゃん!」
「ハッ!てめぇがな、せいぜい火傷に気をつけろや、このくそデクがぁぁぁぁぁ!」
こいつが身体中に青い光を纏い、俺が掌で火花をパチパチと発火させると同時に扉が開く。 俺らは今にでも殴り合いそうなその瞬間に間にでかい氷の壁と、両腕をくそ髪としょうゆ顔に捕まれ動きが封じられた。 デクはあほ面と眼鏡が止めていて、俺らは個性を解除してから少しだけ放心状態になった後にゆらりと立ち上がり、一緒に来ていた大家さんに謝ってから5人の止めに来てくれた友人を不本意ながらも中に通したまんま机に案内した。
デクも流石に申し訳ないと悟ったのか、半分野郎と眼鏡の間に座らせられたまんま下を向いている。 あの路地裏組と呼ばれたコイツらのこんな空気初めてみたかもしんねぇっと横目で青ざめて座るデクを見た。
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暫くしてから俺とデクが落ち着いたのを確認した5人が、「まずは話を整理しねぇか?」とくそ髪にしては珍しく意見を述べていた。 確認したところで何も変わんねぇと思うけどっと俺らは思ったが、一応話し合いはするべきかっと互いに机に座り直した。
俺の横にはくそ髪としょうゆ顔、アイツの横には半分野郎と眼鏡が立っていてあほ面は真ん中に椅子を持ってきて腰掛けていた。
「まずは、相手の確認なんだけどよ…お前らが互いに浮気してた人ってこの人達で間違いねぇか?」
しょうゆ顔が俺の目の前に出てきた携帯の画面に俺はカッと赤くなった。なんでこれをっと顔を上げれば、目の前のデクも俺とは別に見せられたであろう写真にあわあわと狼狽えていた。 コイツらはデクの相手も知ってんのかよっと3人の顔を見直した。 5人は頷いてから真ん中に2つの携帯を置いた。
その携帯の画面には先程、俺と多分コイツが見せられたであろう画像が映し出されていた。
その画像に映る俺とこいつの顔はめちゃくちゃ笑顔で相手が大事なんだと分かるような顔をしていたと5人は伝えてくるが、俺は恥ずかしさで顔を覆うことしか出来んかった。 それは目の前のこいつもそうだったようだ。
「なんで、こんなもん…」
「嘘、僕…この人の前ではこんな顔してるの…嘘だよォぉぉぉぉ」
真っ赤になるこいつをクソかわっと思いつつも、出された画像にため息が出てしまった。 浮気相手、なっとその画像を見つめると自分の恥ずかしさにも腹がたったが目の前のこいつのその画像に映る顔にも腹が立って立ち上がると、胸ぐらを掴んで顔をよせた。 周りが「待て、何すんだよ爆豪」「離すんだ!爆豪くんっ!」「緑谷、逃げろ」などと聞こえるが、こいつは知ってる。俺が何をしたいかをっと近づけた顔をそのまんまに周囲など気にせず唇を重ねた。
「んぐっ、かっ、かっちゃ…!? 皆みてるよぉ!!」
「知るかよ!んな顔、あんな顔俺以外に見せてんじゃねぇ…」
「君こそ、僕以外にこんな顔…しないでよっ」
「あ? しゃあねーだろ…俺からしたらこの人は大事なんだっての」
「僕にとってもこの人は大事だもんっ!君を僕に出会わせてくれた人だもん」
「それ言ったらこっちもだわっ!この人のおかげでテメェと会えたんだろーが!」
俺らがわいわいと話を続けると、流石に痺れを切らした5人が俺とデクを離して落ち着かせようとする。
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